桜の記事などで日数が経ってしまいましたが、多目的温室で開催された「琉球の植物」展(3/20~29)で見た植物の続きを投稿します。
今回は、シリーズ最終回で、渓流沿いに生育する植物などが登場します。
展示の様子
アマミアラカシ(奄美粗樫)
ブナ科コナラ属の常緑高木。琉球列島だけに分布する固有種。アラカシの変種。葉が縦に二つ折にされていることが特徴。12~3月頃、枝先の葉腋から紐状の花序を下垂、黄緑色の小花を多数つける。花後に、径1~3cmほどの堅果をつける。黄色いのは新葉
アマミカタバミ(奄美酢漿草、奄美片喰)
カタバミ科カタバミ属の多年草。奄美大島に分布(日本固有種)。一つの渓流沿いの苔むした岩場に生える。近縁種がオーストラリアにも隔離分布していると考えられている。絶滅危惧ⅠA類(CR)
花期は4~10月。花径は5mmほど。花はこちら(←クリック。つくば植物園で)
オオシロショウジョウバカマ(大白猩々袴)
シュロソウ科ショウジョウバカマ属の常緑多年草。琉球列島に分布する日本固有種。川沿いの湿った斜面に生育する。日本のショウジョウバカマ属の中では花序が最も大きい。花の色や付き方に著しい種内変異が見られる。個体数が少なく、特に徳之島では一産地に10個だけが生き残っている。園芸採取や自然遷移で減少している。
絶滅危惧Ⅱ類(VU)。 花はこちら(←クリック。つくば植物園で)
コバノアマミフユイチゴ(小葉奄美冬苺) 初見です
バラ科キイチゴ属の常緑低木。奄美大島に分布。一水系にしか分布しないする日本の固有変種。矮小化した葉を持つ。自生地は深い渓谷のため、その調査が難しい。もともと個体数が少ない。絶滅危惧ⅠA類(CR)
ムシャシダ(霧社羊歯) 初見です
メシダ科メシダ属の常緑シダ植物。徳之島、台湾、中国、ベトナム、ミャンマーに分布。2018年に日本で初めて徳之島で発見された。台湾の「霧社」で最初に発見されたことが和名の由来。絶滅危惧ⅠA類(CR)
クニガミサンショウヅル(国頭山椒蔓) 初見です
イラクサ科。沖縄島の北部だけに分布する日本固有種。渓流沿いに限って生育するため、ダム建設によっていくつかの自生地は消滅した。準絶滅危惧 (NT)。
花は直径4~6mmの白い単性花。雄花は頭状花序、雌花は集散花序
ダイトウサクラタデ(大東桜蓼) 初見です
タデ科イヌタデ属の多年草。大東諸島に分布。湿地に生育する固有種。シロバナサクラタデの変種。自生地では、湿地の埋め立てや外来湿地植物の進入により絶滅寸前。絶滅危惧ⅠA類(CR)
花はこちら(←クリック。別サイトが開きます)
ナンゴクシケチシダ(南国湿地羊歯) 初見です
メシダ科シケチシダ属の夏緑性シダ植物。九州(鹿児島)、種子島・屋久島、中国、台湾、南アジア、東南アジアに分布。山地の湿った場所に生育する。シケチシダに似るが、茎は匍匐せず立ち上がる。展示している株は植物園での胞子からの増殖株。絶滅危惧ⅠA類(CR)
アマミクサアジサイ(奄美草紫陽花)
アジサイ科クサアジサイ属の多年草。奄美大島に分布。日本固有種。奄美大島の2ヵ所しか自生していない。日当たりが良く、湿った滝の崖などに生育する。一つの自生地は道路沿いで、道路拡張などによる被害が心配されている。絶滅危惧IB類(EN)
花はこちら(←クリック。他サイトが開きます)。花期は8~9月
アマミサンショウソウ(奄美山椒草) 初見です
イラクサ科サンショウソウ属の多年草。奄美大島に分布する日本固有種。岩などの上に苔と共に生育する。もともと個体数が少ないうえ、ダム建設による環境消滅によって個体数が激減している。絶滅危惧ⅠA類(CR)。
花径1cmにも満たない白い花が咲くという(中央のものが花らしい)
コケタンポポ(苔蒲公英)
キク科コケタンポポ属の多年草。琉球列島固有種。徳之島、沖縄島及び西表島に分布。渓流の明るい岩場に生育する。葉と岩上の間に隙間を作らないようにして、増水時に流されないように対応している。絶滅危惧II類 (VU)
花はこちら(←クリック。つくば植物園で)
リュウキュウツワブキ(琉球石蕗)
キク科ツワブキ属の多年草。琉球列島固有種。ツワブキやオオツワブキの変種で、渓流沿いの岩場に分布。ツワブキが渓流沿いで葉を細くした狭葉現象を起こして、分化したと考えられている。育つ環境によるが、一般的に細長く、小さい葉のものが多い。準絶滅危惧種(NT)。ツワブキとの間に中間型が知られている。
花はこちら(←クリック。小石川植物園で)
ヒメキセワタ(姫着せ綿) 初見です
シソ科オドリコソウ属の多年草。九州~琉球、台湾、中国に分布。やや明るく、湿った林道などに生育する。琉球列島では、種子島、トカラ列島、奄美大島、久米島と不連続に分布する。道路工事や園芸採取などで減少している。絶滅危惧II類 (VU)
花はこちら(←他サイトが開きます)
アマミアオネカズラ(奄美青根蔓) 初見です
ウラボシ科エゾデンダ属の常緑羊歯植物。奄美大島、徳之島に分布する日本固有種。近縁なアオネカズラとは根茎の鱗片の先端が長くのびる点が異なる。森林伐採、園芸採取などで減少している。絶滅危惧Ⅰ類 (CR)
リュウキュウハナイカダ(琉球花筏) 初見です
ハナイカダ科ハナイカダ属の半落葉またはほぼ常緑の低木。奄美群島、沖縄群島に分布する日本固有種。本州~九州に分布するハナイカダの亜種。葉腋から出た花序の柄が葉の中肋と癒着し、花(果実)が葉の上につく。準絶滅危惧(NT) 写真は雄花
サキシマツツジ(先島躑躅)
ツツジ科ツツジ属の常緑低木。久米島、石垣島、西表島に分布。明るく、やや湿った環境に生育する。久米島産をクメツツジと区別する見解もある。絶滅危惧IB類 (EN)。 花径は5~6㎝。花期は3~7月
ヤドリコケモモ(宿り苔桃) 初見です
ツツジ科スノキ属の常緑低木。奄美大島固有種。湿った林床で、スダジイなどの老木に着生する。自生地は数カ所しか知られておらず、個体数もわずか。根元に水を貯める塊根(コブ)を持つのが特徴。絶滅危惧IA類(CR〉
オオタニワタリ(大谷渡)
チャセンシダ科チャセンシダ属の着生シダ植物。単にタニワタリとも言う。本州南岸以南~琉球列島、台湾、朝鮮、中国に分布。やや湿った林で樹木に着生する。葉の裏の胞子腦群がシマオオワタリに比べて長いのが特徴。園芸採取や森林伐採などで減少している。絶滅危惧II類 (VU)
沖縄でよく食用にされているのは別種のヤエヤマオオワタリ
(シリーズ終了)
「琉球の植物」展だけで、6回もお付き合いいただき、ありがとうございました。
次回は、松戸市内の桜並木を紹介します。
この記事へのコメント
nobara
いかにも渓流沿いみたいに造られているんですね
どれもこれも普通のモノと違わない感じで
名前が振ってないと、わからないです(^o^)丿
霧社羊歯などつい!武者羊歯と頭の中で変換しました。
アマミクサアジサイなどコアジサイみたいに見えますね
コケタンポポもカラクサナズナみたいと思いました。
キセワタはお花が同じ、姫だけに小ぶりで可愛いです
やはり琉球となると、本土とは様子が違うのですね(*^-゚)⌒☆
river
改めて「沖縄の植物」を再認識させていただきました。ケマラツツジ、サキシマツツジ、センカクツツジなどはサツキやアザレアを栽培しているので興味があります。
アマミクサアジサイは装飾花がありませんが榛名山で咲くクサアジサイには装飾花があります。
eko
オオシロショウジョウバカマは徳之島の一産地に10個だけしか生き残っていないとは大変ですね。ダイトウサクラタデはこちらの花と区別がつきません。アマミクサアジサイは装飾花がないコアジサイに似ていますね。どの花も絶滅しないことを願います。
琉球の植物展、ここでしか見られない植物ばかりで興味深く拝見しました。
イッシー
本土にも名前は似たようなのがありますが、
まさに独特な進化を遂げているんでしょうね。
海外の品種っていう感じがします。
もこ
植物園ならではの色々な植物たち
見せて頂きました。
コケタンポポの葉っぱだけ見ると
マーガレット?と思いました
長さん
基本的には鉢植えですが、周囲にコケを配置したりして、雰囲気を盛り上げていました。
葉だけの展示が殆どですから、専門家でも見分けはこんなんでしょうね。アマミクサアジサイ、葉だけではアジサイかどうかも分かりませんよ。
霧社は台湾名ですが、やはり「むしゃ」と発音するそうです。
カラクサナズナは見たことがないですが、コケタンポポみたいな花のですか。
離島の植物は、本土と同じ属でも進化の過程が違うのでしょうね。
長さん
今日は、こちらも昨日と打って変わって寒い日でしたよ。午前中、通院日だったのですが、染井吉野がかなり散っていました。
琉球の植物、絶滅が危惧されるものがこんなに多いとは知りませんでした。
クサアジサイには3弁の装飾花がありますね。
なおさん
長さん
こちらも寒くなって、雨が降りましたよ。
離島の植物は絶滅が危惧される植物が多いですね。珍しいからと採取する園芸業者もいるようです。
ダイトウサクラタデ、花はサクラタデに似ていますが、葉の縁に毛が生えています。
これまでにも、離島の北物が展示されることはありましたが、つくば植物園での収集品種がこんなに大量にあるとは知りませんでしたよ。
長さん
本土とは大きく環境が異なる島々で、気温や湿度も高いですから、多くの独自の植物が誕生したのでしょうね。沖縄本島だけでも見慣れない植物がたくさんありますから、更に離島となると、独特な商物も多いでしょうね。
長さん
コケタンポポの葉の形、たしかにマーガレットに似ていますね。
花を見てもタンポポの仲間とは思えませんよね。
長さん
時々、温室で沖縄や琉球の植物が展示されることがありましたが、収集品目がこんなにたくさんあるなんて知らなかったからびっくりです。
yoppy702
今迄のもそうですが、今回のも知らない名前ばっかし。(^^ゞ
○○アラカシ、○○カタバミ、○○ショウジョウバカマなど、○○の後は馴染みのある名前なのがあったので、それと紐づけて見てましたが、リュウキュウツワブキなんて、花は似ていても、葉っぱは全然ちゃいますね。
渓流沿いの岩場なので、環境対応したのかもしれないですが、植物の世界ってスゴイですね。
コケタンポポ属って知らなかったので、コケタンポポにメッチャ興味が沸きました。
コケって、結構、好きなんです。
メッチャ小さいですけど。(^^ゞ
この花も、メッチャ小さいんでしょ?
すーちん
琉球カタバミ
絶滅危惧種ナンですねー
毎日カタバミ取りに苦労してます-^^
花筏
不思議な樹ですねー
長さん
琉球の植物、色々あるものですね。希少なもの=絶滅が危惧されるものということでしょう。
リュウキュウツワブキは、「渓流沿いで葉を細くした狭葉現象を起こし」とありますが、確かに葉ぱ別物のように見えますね。
コケタンポポ、葉は苔には似ていませんね。花は画像をリンクしてありますが、花径は1.5cmほどで、タンポポには似ていません。
長さん
カタバミは良く増えますが、アマミカタバミはもっと増えてほしいものです。
ハナイカダ、たまに見かけますが、葉の中央から花が咲くなんて珍しいですね。