この時期は「瑞祥のかたち」と題した展示で、3月2日まで公開されています。
館内では、撮影禁止の作品(3点)以外は、写真を撮ることが可能だったので、展示された33点の中から、いくつか紹介します。
展示室入り口のパネルです
皇居三の丸尚蔵館にHPはこちらです → クリック
(展示会の特設サイトへのリンクがあります)
陶彫唐獅子(とうちょうからじし)
沼田一雅 昭和3年(1928) 陶磁
青銅製のブロンズ像のように見えるが、濃緑色の釉薬が施された焼き物。旧秩父宮家の依頼を受けて、表町御殿の玄関脇を飾る置物とした制作された。寺社を守る狛犬の様に、口を開いた阿形像と、口を閉じた吽形像で一対一組となっている
二見浦旭日波涛図(ふたみがうらきょくじつはとうず)
土佐光貞 江戸時代 絹本着色
古来、伊勢の景勝地として知られる二見浦の夫婦岩に打ち付ける波と朝日を描いた。夫婦岩は、二見興玉神社の御神体・興玉神石と朝日を拝む鳥居として信仰を集めた。土佐光貞は禁裏繪所預として、朝廷に関する重要な画事をこなした
宝船「長崎丸」
江崎栄造 大正5年(1916) 玳瑁(たいまい、海亀の一種)、木、蒔絵
大正5年11月に大正天皇が福岡県下を行幸の折、長崎県から献上されたべっ甲細工の宝船「長崎丸」。日輪に鶴が描かれた帆に風をはらみ、大海原を進むこの宝船には、農産物や水産加工物など、長崎県の重要な産物27種類が積まれている
蓬莱山(ほうらいさん)
横山大観 昭和3年(1928) 絹本着色
神々しい山に、神の使いである鹿が並び、仙界に棲むという鶴が飛翔している。蓬莱山は富士山と結び付けられることもあり、生涯に2000点近い富士山を描いたといわれる横山大観は、仙境を描くこの画題も多く手掛けた。昭和の大礼において久邇宮家から献上された
日出処日本(ひいづるところにほん)
横山大観 昭和15年(1940) 紙本着色
昭和15年に開催された「紀元二千六百年奉祝美術展覧会」の出品作品。生涯に2000点近い富士山の絵を描いたとされる大観だが、中でも本作は最大級の大きさを誇る。富士山は日本の国土を象徴する重要なモチーフだった
寿老人鶴亀図(じゅろうじんつるかめず)
橋本雅邦 明治33年(1900) 絹本着色
皇太子嘉人親王(後の大正天皇)と九条節子(貞明皇后)のご成婚を祝うために、宮内省で奉仕する職員一同から献上された作品。長寿を願う鶴や亀、寿老人のほか、霊芝や松竹梅といったおめでたいモチーフが描かれている
珊瑚樹鉢植置物(さんごじゅはちうえおきもの)
鉢:高橋凌雲 大正3年(1914) 珊瑚
海深く長い時をかけて生育した生木を採取した宝石珊瑚は、その名の通り、宝石として珍重される水産物です。明治36年(1903)に開催された第5回内国勧業博覧会に出品されたもので、後に珊瑚を樹木に見立てた鉢植え型の置物になった
朝暘鳴鳳之図(ちょうようめいほうのず)
小室翠雲 大正14年(1925) 絹本金地着色
鳳凰の番が、雲海から顔を出す朝陽を眺めている。ここは鳳凰が棲むという伝説の山。崑崙山なのかもしれない。水墨山水画を得意とした小室翠雲には珍しい濃彩の作品。大正天皇大婚25年を祝って、日本銀行総裁より献上された
白磁麒麟置物(はくじきりんおきもの)
12代酒井柿右衛門 昭和3年(1928) 陶磁
力強くバランスの取れた体躯、風にたなびく鬣(たてがみ)などの造形に、聖なる麒麟の凛とした様が際立つ。潔くムラのない白磁一色で聖なる姿を表現した、12代酒井柿右衛門の気概を感じさせる作品。昭和の大礼に際して佐賀県より献上された
桐に鳳凰之図(きりにほうおうのず)
川端玉章 明治33年(1900) 絹本着色
鳳凰が梧桐(あおぎり)の樹上に降り立つ姿を描いた。川端玉章は円山派の画家で、帝室技芸員に任命された。やはり帝室技芸員の石川光明による軸先の彫刻も見事。明治33年の皇太子嘉仁親王(のちの大正天皇)の結婚に合わせ、文部省高等官一同より献上された
麒麟香炉(きりんこうろ) 初公開
江戸時代(19世紀) 銅、鋳造
麒麟を象った香炉で、背中を丸く切り、蓋としている。後肢を折り曲げて座り、左脚をやや持ち上げながら後ろを振り返り、尻尾が上方へ湾曲する麒麟の姿は、中国の古器などに見られる形を踏襲している。かつて、日光にあった山内御用邸に伝わった
麒麟置物(きりんおきもの) 初公開
昭和3年(1928)頃 銅、鋳物
明治44年(1911)に完成した日本橋の麒麟像は、有翼の麒麟として知られている(こちら)が、本麒麟の背中にも翼が生えている。古くからの麒麟の形には翼はなく、近代以降の新しい姿と言える。昭和の大礼を祝して、香淳皇后のご兄妹より贈られた
2025年2月11日撮影。
次回は、埼玉県花と緑の振興センターで見た花などを投稿します。
(つづく)
この記事へのコメント
river
今から16年も前に国立博物館で開催された「皇室の名宝」展を見たことがあります。私のお目当ては伊藤若冲の「動植綵絵」でした。以来皇居三の丸尚蔵館はいつか訪れてみたいと思っていたのですが未だにチャンスがありません。
私の手元には週刊朝日百科「皇室の名宝」12巻があるだけです。
信徳
横山大観の絵は足立美術館で見た記憶があり後は色々見ていますがどれも立派なものですね。
nobara
満70歳以上は無料なんですね。
有難いですね(*^-゚)⌒☆
3点の禁撮以外はお写真も可能だなんて!
なんらかで見たようなものも多いです。
日出処日本(ひいづるところにほん)
いかにもという印象です。
白磁麒麟置物(はくじきりんおきもの)
白磁や青磁が好きなので興味津々!
柿右衛門さんでしたか、納得です。
麒麟って、よく使われているんですね~
香淳皇后って確か島津家ゆかりでしたね。
我が家の祖父母の所にもお写真が掲げてありました。
長さん
16年前に、国立博物館で「皇室の名宝」展をご覧になりましたか。
新しい建物が出来上がってから、気になっていたのですが、今回、初めて入館してみました。
今回の展示は2室だけなので、小規模な展示ですが、今後も、展示品が変わったら見に行ってみましょう。
週刊朝日百科で「皇室の名宝」が発行されていたのですか。
長さん
ここには国宝9件をはじめ、重要文化財も多数収蔵されているようなので、花の取材を兼ねて、見に行ってみたいと思います。
足立美術館にいらっしゃいましたか。我が家も2008年3月に行って、大観の作品も見てきましたよ。残念ながら、撮影禁止でしたね。
長さん
今回の展示は前期と後期に分かれていて、今回は後期でした。
改築以前は一部屋だけの展示でしたが、今回はかなり広かったです。
さすがに、高価なものは撮影禁止でした。でも、過去に旧館で国宝が展示されたことがあったので、今後、見ることができるかも。
白磁や青磁がお好きですか。高いでしょうね。
イッシー
65歳以上無料にしてほしい。。
yoppy702
エッ!一般が1,000円やのに、70才以上は無料!
太っ腹やなぁ~(^^)
「瑞祥」というと、吉兆と同じ、<めでたい事が起こる前兆>ですね。
それを具現化した展示やから、見るだけでハッピーになれそうです。(^^ゞ
ボクは、美術品はメッチャ疎いですが、どれも、かなり貴重な作品のようですね。
夫婦岩から上る朝日は、小学校の臨海学習に行った時に見た事があります。
それ以外でも、夫婦岩は何度か見てますが。(^^ゞ
宝船って、べっ甲細工なんですね。
今の時代では、こんな作品は作れないでしょうね。
疎いボクでも、横山大観は知ってます。(^^ゞ
さすが、皇居の博物館や。
ボクやったら、これを見ただけで自慢しそうです。
「珊瑚樹鉢植置物」って、本物の珊瑚ですよね?
スゴイなぁ…
珊瑚の置物というだけでも驚きますが、姿が美しいですね。
HPも見ました。
このHP、見ごたえがありますね。
素晴らしいレポ、ありがとうございました。(^^)
なおさん
長さん
>65歳以上無料にしてほしい。
そうですよね。天皇家のお宝は国のお宝でもあるのですから、広く国民に見てもらった方が良いですよ。
長さん
東京まで来ていただかないと見ることができないのは残念ですね。
三の丸尚蔵館のお宝は、恐らく地方で公開したことがないのではないかと思います。いずれも貴重なものですから、安全性や保安の面でもかなり費用が掛かってしまうでしょうし…。
展示替えになったら、また覗いてみますので、記事にしたいと思います。
長さん
どれも「お宝」ですよね。
改装前に2度ほど拝観したことがありますが、広さがずいぶん大きくなったので、今後の展示も楽しみです。撮影禁止でなければ、またご披露します。
コスモス
PCの世界はわからない事が多く、困ります。
三の丸尚蔵館は昨年行ったときに改装中だった所ですか。
70歳以上が無料ですか。65歳以上ではないんですね。
それにしても一般の人が1000円というのは高すぎませんか?
夕菅
こういう展覧会があるとは知りませんでした。
撮影出来なかった3点って何でしょう?
HPを開いて照合しました。
①若冲の「老松白鳳図」、②「蓬莱山絵巻」、③結城素明「鳳凰の図」の3点でしょうか?
特に①は素晴らしそうです。見に行けなくて残念です。
長さん
ウイルスソフトが発信者のIPアドレスがわからなくする機能があるのですね。便利な反面、不便なこともあるのですね。
新しい三の丸尚蔵館は改装ではなく、新築で古い建物は壊されました。現在、現在の倍くらいに広げる工事が進められています。
以前は確か無料だったと思いますが、現在でも展示スペースはかなり広くなりました。しかし、1000円と無料というのは落差が大きいですよね。
長さん
新しい建物が出来上がって、皇居三の丸尚蔵館の職員が呼び込みをしていたのですが、入館したのは今回が初めてです。
撮影禁止はメモしなかったのですが、⓵と②は撮っていないので、多分そうでしょうね。もう1点は、目録23番、正封勲造の玳瑁(亀)のべっ甲彫刻(伊勢海老)だったように記憶しています。なお、結城素明の「鳳凰の図」は前期の公開で、今回は展示なしでした。