くらしの植物苑特別企画 「冬の華・サザンカ」展にて(4) サザンカ群の品種 ④ 肥後サザンカ & シシガシラ群、タゴトノツキ群、ハルサザンカ群など

 12月3日、「くらしの植物苑」(国立歴史民俗博物館)の特別企画「冬の華サザンカ」展(展示期間は11月26日~2025年1月26日)でサザンカの色々を見てきました。
 今回は、サザンカのうち、サザンカ群の花の続きで、肥後サザンカに分類される品種を紹介します。また、シシガシラ群、タゴトノツキ群、ハルサザンカ群のサザンカも若干紹介します。
 なお、品種の説明は吉井さんのHP(こちら)を参考にしました。

肥後サザンカ(サザンカ群)


色も香も(いろもかも)
濃い桃紅色、一重、内弁が立ち上がる、中大輪、11~12月、熊本(肥後)
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大 空(おおぞら)
白地に淡紅ぼかし、一重、平開咲き、極大輪、11~12月、熊本(肥後)
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銀 月(ぎんげつ)
白色で外弁の先端が帯紅、蕾は淡紅色、一重中輪、11~12月、熊本(肥後)
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桜月夜(さくらづくよ)
明るい桃色、一重、平開咲き、広弁、大輪、11~12月、熊本(肥後)
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白楽天(はくらくてん)
白色で弁端わずかに淡紅、一重、内弁が立つ、大輪、11~12月、熊本(肥後)
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春雨錦(はるさめにしき)
白地に桃紅色の覆輪ぼかし、一重、極大輪、11~12月、絹本(肥後)
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肥後雪山(ひごせつざん)
白色、蕾は帯桃色、一重、抱咲き、中輪、11~12月、熊本(肥後)
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緋の司(ひのつかさ)
濃紅色、時に短い白筋入り、一重、平開咲き、大輪、11~12月、熊本(肥後)
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シシガシラ群(カンツバキ群)
 中部地方に古木が多い「獅子頭」(関東地方では「寒椿」と呼ばれます)がもとになって作られたもので、真冬に八重や獅子咲きなどの華やかな花を咲かせます。樹形は立ち上がらずに、横張性のものが多く、枝葉が密生して、仕立てやすいものが多いようです。生態、形態的には、サザンカの自生種に近いグループで、樹形も自生種に似て、多くは立性です。開花期:11~3月。


玉 姫(たまひめ)
淡い桃色、千重、中輪
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タゴノトツキ群
 中国原産の「油茶」の系統を引くものと考えられています。園芸品種は少なく、古くから知られているものは「田毎の月」ただひとつです。
 なお、「田毎の月」の特徴は、白の小輪、一重咲(雄蘂弁化なし)、花の香は弱、萼苞は開花時には落下、葉の大きさは大、立性で横にも張る。


銀 宝(田毎の月の実生)
白色、一重、ときに唐子咲き、中輪、11~12月、埼玉(安行)
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ハルサザンカ群
 サザンカとヤブツバキの自然交雑で生まれたと考えられていて、開花が遅く、初冬から春にかけて(12~4月)、一重や八重、千重咲きまでさまざまな花を咲かせます(大きさは小輪~大輪)。花色は、白、桃、紅、紅色の覆輪ぼかし、縦絞りがあり、香りは殆どないものから強いものまであります。樹形は立性~横張性まで様々です。


三段花(さんだんか)
濃紅色、とき白斑、段咲き、小輪、12~4月、江戸→埼玉、愛知
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 取材に予定した時間をオーバーしたので、シシガシラ群やタゴトノツキ群、ハルサザンカ群については、来年1月に取材をしようと思っています。

 以下は、苑内で見た花や黄葉などです。


サフラン
アヤメ科サフラン属の多年草。原産は南ヨーロッパ~小アジア
よく似た花のクロッカス(別名:ハナサフラン)は春に咲く
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油 茶(ゆちゃ)桃花
ツバキ科ツバキ属の常緑高木。中国・台湾・ミャンマー・タイ・ベトナムの標高500~1800m帯に分布。花期は10~1月。名は実から油を採取したことによる
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イイギリ(飯桐)の黄葉
ヤナギ科イイギリ属の落葉高木。別名:ナンテンギリ(南天桐)
和名は、樹形が桐に似て、葉で飯を包んだためと言われる
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植物苑前のイチョウ並木の黄葉
今年は、散り始めたのが早いようだ
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 2024年12月3日撮影。

(シリーズ終了)

 次回は、皇居東御苑見た花や実などを投稿します。
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