この朝顔展は、公的機関としては日本最大規模で、変化朝顔(正木系40系統、出物25系統)、明治時代以降の大輪朝顔25系統程度、ヨーロッパ・北米産の近縁の朝顔10系統程度、計約100系統、約700鉢が展示されます(苑のHPから)。
朝顔の展示場所は受付を入って正面の東屋の周囲(下の写真1枚目)、受付の右手のよしず張り(同2枚目)、東屋の左手にあるビニールハウスなどです。
< 変化朝顔の名称について >
変化朝顔には特異な名称が付けられています。第一次ブーム(文化・文政期)の番付表にはその走りが見られますが、第二次ブーム(嘉永・安政期)に基本が出来上がります。それは、葉の色、模様、質+花の色、模様、花弁の形、咲き方、花弁の重ねを順番に記述し、必要に応じて付加していくというものです。
下の、正木系統・歴黄-44の場合、次の行に「黄/斑入/蝉葉 浅葱/吹掛絞/丸咲/大輪」と、分りやすいように標記しましたが、実際には「黄斑入蝉葉浅葱吹掛絞丸咲大輪」と記述されます。青字の部分が葉についての記述、赤字の部分が花についての記述というわけです。(くらしの植物苑のパンフレットからの引用を含む)
今回は、よしず張りの展示台に飾られた朝顔(正木系統)の紹介です。
正木系統とは種が採れるものです。変化の程度は低く、シンプルな形のものが多いです。説明は、くらしの植物苑での正木系統の管理番号、銘、葉の特徴、花の特徴の順です。
なお、花の咲いていない個体の紹介は省略しています。
正木系統 歴黄-44 「初 霜」
黄/斑入/蝉葉 浅葱/吹掛絞/丸咲/大輪
正木系統 歴黄-43 「雪月花」
黄/斑入/蝉葉 白/丸咲/大輪
正木系統 歴黄-33 「太平洋」
黄/斑入/蝉葉 紺/丸咲/大輪
正木系統 歴黄-7 「花 王」
黄/斑入・蝉葉 桃/複輪/丸咲/大輪
正木系統 122 「源 平」
黄/斑入/蝉葉/青軸 白地/紅時雨絞/咲分/大輪
(この花には紅時雨絞は出ていない)
正木系統 歴黄-41 「日本晴」
黄/斑入/蝉葉 浅葱/丸咲/大輪
正木系統 歴黄-6 「栄 冠」
黄/斑入/蝉葉 紅/縞/丸咲/大輪
正木系統 歴黄-1 「吾妻絞」
黄/斑入/蝉葉 紅・吹掛
正木系統 「社頭の秋」
黄/斑入/蝉葉 茶/丸咲/大輪
正木系統 114 「団十郎」
黄/蝉葉 栗皮茶/丸咲/大輪
正木系統 146 「右 近」
青/斑入/蝉葉 淡黄/やや縮み咲/中輪
次回は、よしず張りの展示台に飾られた正木系統や出物系統の紹介です。
(つづく)
この記事へのコメント
信徳
見るからに伝統、古典さを感じます。
色は茶色のアサガオが多い様な気がします。
river
こちらでは朝顔展が開かれることがないので変化朝顔を見ることはありません。「団十郎」の栗皮茶が良いですね。
もこ
とても色々あって覚えるのは難しいですね。
nobara
正木系統「団十郎」渋いですね~「右近」など
歌舞伎の系統の名前みたいです。
夕菅
朝顔は手間暇かかる植物ですし、花は朝しか見られないのであまり育てたことがありません。
でも拝見するとこんなに日本の古代色を遺しているのは朝顔だけかもしれませんね。
日本晴れの爽やかな青、社頭の秋の渋いピンク、團十郎の臙脂がかった赤色、いいですね〜
これらを保存するため努力されている方々に頭が下がります。
無門
朝顔は毎年のように
棚を作ってすだれのように
育てていました
どの花を見ても
昔であったような気がします
棚を作らなくなってて
何年だろう・・・
なおさん
長さん
この植物苑は、国立歴史民俗博物館の一部門だけに、昔から日本人に親しまれてきたアサガオ、サザンカ、古典菊などの収集/展示に力を入れています。
花色は色々ありましたので、今後の記事で紹介します。
長さん
お宅のアサガオは4種類だけになりましたか。もう種が採れる頃なのですね。
関東でのあさがお展はここと、日比谷公園、松戸市、横浜位だと思います。
「団十郎」は超有名品種ですね。
長さん
テレビで変化朝顔の紹介がありましたか。
朝顔の第4次ブームは2018年頃だそうなので、それがまだ続いているんですかね。
朝顔の変化は記事中の図に載っているものだけではないので、覚えるのは難しいです。
長さん
種が採れる正木系統の朝顔だけでも色々な咲き方があるので、奥が深いです。「団十郎」は超有名品種です。歌舞伎の名を取ったものが多いのは江戸時代に歌舞伎が流行ったからでしょうね。
長さん
この植物苑は、道路が混雑していなければ、我が家から1時間20分程度で到着します。今回も朝早く家を出て、植物苑には9時10分に到着、車内で朝食を食べ、9時半の開園に間に合いました。
この植物苑は九州大学の次に古典朝顔の収集数が多いのではないかと思います。
種で維持しなければならないし、変化朝顔(出物)を咲かせるには種もたくさん蒔かなきゃならないので大変だと思います。
長さん
お宅では毎年のように朝顔の種を巻いておられたのですか。
今回紹介した朝顔は江戸時代から受け継がれてきた品種で、銘があります。この中で、市場に出回っているのは、超有名種の団十郎くらいなものでしょう。
最近、ブログ関係に割く時間が少なくなり、訪問はしておりますが、コメントを残すのは「花ブログ」に限らせて頂いております。ご了承下さい。
長さん
朝顔の観察は小学校低学年のカリキュラムに入っていますが、これは日本だけでしょうね。
家庭ではこの様な転倒的な品種は殆ど手に入らないので、市販の種を蒔くくらいですよね。
eko
グリーンカーテンとしてアサガオを毎年育てていますが、今年は暑すぎてカーテンになる前に駄目になってしまいました。
「社頭の秋」や「団十郎」など茶系の花が素敵です。
イッシー
行きたい気持ち山々ですが、いかんせん遠いです。笑
アサガオ好きにはたまりませんね。
yoppy702
まぁ、こちらのは、イマイチでしたけど、でも変化朝顔が少しあって楽しめました。
こないだの、「たかが朝顔 されど朝顔」…
これもズキンと来てます。(^^ゞ
約100系統、約700鉢…ものスゴイ世界です!(^^)(^^)(^^)
<さまざまな葉の変化 さまざまな花の変化>
花は勿論なんですが、衝撃(?)を受けたのが葉っぱ。
観葉植物じゃないけど、これだけ多彩な葉っぱには驚きました。
これだけでも芸術ですね。
作出家の御苦労の賜物でしょうけど素晴らしいです。
正木系…可愛いなぁ~と、ほっこりと観賞出来ます。(^^ゞ
「社頭の秋」、「団十郎」…
シブイ色ですね。
斑入り葉も素敵です。
すーちん
映像
綺麗ですねー
自宅のアサガオ撮るのに
苦労しましたー^^
長さん
初めて朝顔展をご覧になる人は、こんなに変化に富むものなのかと、ビックリされるでしょうね。
今年は暑すぎてアサガオのグリーンカーテンは出来ませんでしたか。残念ですね。来年からは暑さに強いノアサガオなんかの方が良さそうですね。
長さん
青梅市から佐倉市は遠いですよね。我が家から一般道で1.5時間も掛かりますから。
今回のシリーズも長くなりそうなので、画面で楽しんで頂ければ幸いです。
長さん
昨年、朝顔展にいらっしゃいましたか。
収集数では九州大学が一番ですが、公開される朝顔展ではここの変化朝顔が一番多いのではないかと思います。
まだ、正木系統の紹介ですが、今後、これがアサガオ?何とイノも登場しますよ。
銘が着いている品種の多くは江戸時代から受け継がれてきたもので、中でも「団十郎」は超有名です。
長さん
綺麗なアサガオも沢山あったので、気がつけば、2時間も撮影していましたよ。勿論、アサガオだけじゃないですけどね。