松戸みどりと花の基金主催「あさがお展」にて(1) 変化朝顔の親木(1)

 今年も松戸市の広報紙に「あさがお展」の開催が予告されていたので、8月6日に写真を撮りに行ってきました。
 主催は市内の緑化運動に取り組んでいる公益財団法人「松戸みどりと花の基金」で、松戸市が保有する「金ヶ作育苗圃」が会場になっています。

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会場に至る通路の生垣にアサガオが咲いていました
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 毎年、よしず囲いのスペースとビニールハウス、及び、そこに至る通路に並べられたテーブルに鉢植えが並べられていましたが、今回は、ビニールハウスなどは見当たらず、草地に大きなテーブルを並べ、そこに沢山の鉢植えが並べられていました。
 定刻前に到着したのですが、既に7~8名の人が見に来ておられました。

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毎回お馴染みのアサガオのフローティング。大輪が多かった
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 先ずは、「変化朝顔の親木」の紹介です
 (会場の説明文から) 一見、普通の花です。でも、この中に色々な変化のタネが隠れているのです。これらの株から採れる種が、来年、ビックリするような花を咲かせてくれるように、大事に育てています。
 変化朝顔の中には、ある一定の確率でしか現れないものがあります(出物=劣性遺伝)。その確率は、1種の変異=1/4)、2種の変異(1/16)、3種の変異(1/64)。これらの株は、2~3種類の変異遺伝子をヘテロ接合(注)で隠し持っています。
 (注)ヘテロ接合とは・・・、「遺伝学において、二倍体生物のある遺伝子座が Aa , Bb などのように同一でない対立遺伝子をもつ個体のことである。また、この状態を『へテロ接合である』という。 これに対し AA , aa , BB , bb などのように同一の対立遺伝子をもつ個体はホモ接合型(またはホモ接合体、同型接合体)といい、この状態を「ホモ接合である」という[。
 メンデルの法則では、この状態の生物においてはそのどちらか一方の遺伝子の形質のみが表現型として表れるとする (優性の法則)。この時、表れる方の遺伝形質を優性(顕性)の形質といい、遺伝子としては保持しているが表現型に表れないものを劣性(潜性)の形質という」(以上、Wikipediaより引用)

親木1(丸咲・赤紫、並葉・縮れあり)
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花や葉の形状は「くらしの植物苑」の資料(記事末)を参考にしています

親木2(丸咲き・淡青紫、並葉・斑入り・縮れあり)
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親木3(丸咲・青紫、南天葉)
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親木4(丸咲・白に赤紫の時雨絞り、孔雀葉)
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親木5(丸咲・赤紫、並葉・渦葉、枝垂れ)
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枝垂れは上に向かって伸びる性質を失ったもので、巻き付く力も無い

親木6(丸咲・赤紫・小覆輪、渦葉)
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渦葉は葉が縮れたように凹凸があるもの

親木7(丸咲、薄紫に赤の深覆輪、並葉)
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親木8(丸咲・赤紫に白の爪覆輪、トンボ葉)
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親木9(丸咲・薄青紫、笹葉)
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親木10(桔梗咲・赤紫の時雨絞、並葉・斑入り)
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桔梗咲は曜(花弁の折れ目)の先が尖っていて、桔梗の花のような形

親木11(丸咲・淡青色、孔雀葉)
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 親木の紹介はもう1回続きます。

 2023年8月6日撮影。


アサガオの葉や花のさまざまな変異
国立歴史民俗博物館「くらしの植物苑」でいただいた資料です
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(つづく)
 花ちょう遊館「高山植物館」の記事と交互に投稿します。

この記事へのコメント

  • nobara

    アサガオ、花の形状もさることながら
    葉っぱも、興味深いです。
    「アサガオの葉や花のさまざまな変異」が面白いです。
    わかりやすいですね~🌸と🍀
    早朝、勝負の展示会ですもんね(^o^)丿
    2023年08月08日 15:51
  • 長さん

    🚩 nobaraさん、コメントありがとうございます。
    アサガオは朝しか良い花が見られないので、久しぶりに早起きして行ってきました。
    アサガオは身近な花ですが、色々な変化があって面白いです、
    アサガオの研究は九州大学とくらしの植物苑が有名ですが、くらしの植物苑でいただいた資料は分りやすいです。
    2023年08月08日 18:56
  • イッシー

    街を歩いていると今の時期、朝顔も楽しみですよね~。
    こういう展示近くでやってくれないかな~。
    2023年08月08日 19:34
  • river

    変化朝顔は古典植物ですが一部の人しか伝わっていません。
    メンデルの法則が知られていない時代に次世代の変化花を期待して親木を育てるのですから大変です。オシベもメシベも花弁化した花はもはや種は出来ませんから親木を大切に育てるのですね。
    2023年08月08日 19:46
  • 信徳

    ヘテロ接合なる言葉が出て来て興味深いでした。
    半導体レーザー、太陽光発電などの半導体もヘテロ接合なる形で
    光を発信したり太陽光を電力に変えたりでアサガオとにらめっこしながら思い出しました。
    2023年08月08日 20:13
  • なおさん

     日本には種子が薬用(下剤)としていにしえに中国から伝わり、牛一頭と引き換えにするほど貴重なものだった、ということで牽牛花(けにごし)と呼ばれたものですが、花の方も美しいものですから、花も愛でられるようになったのでしょう。
     今昔物語には、税の督促に訪れた役人に朝顔の種子を摺り入れた濁り酒を飲ませて下痢させて、追っ払うハナシが出て来ます。

     並花でも十分美しいのですが、病膏肓に入る珍奇愛好家ですと、それでは飽き足らず、希少なもの有り難がるのでしょうねえ。
    2023年08月08日 21:19
  • 長さん

    🚩 イッシーさん、コメントありがとうございます。
    アサガオは身近な花ですが、展示会となると多くはありません。ここと、日比谷公園、靖国神社は既に終わりましたが、佐倉市の「くらしの植物苑」では明日9日から1ヶ月間開催されます。お近くではないですが、時間が取れれば見学してください。
    2023年08月08日 21:21
  • 長さん

    🚩 riverさん、コメントありがとうございます。
    変化朝顔の出現率は低いので、今回紹介したような親木の種を採取して、沢山蒔かなければならないので、大変だと思います。江戸時代は多くの愛好家がいましたが、今は愛好家が少ないようですね。
    九州大学と国立歴史民族博物館のくらしの植物苑で研究、育種が続けられていますが、もっと広がれヶ良いと思います。
    2023年08月08日 21:35
  • 長さん

    🚩 信徳さん、コメントありがとうございます。
    ヘテロ接合という言葉は今回初めて知りましたが、それをネット検索すると、太陽電池関係など、半導体研究の記述の方がずっと多いですね。
    2023年08月08日 21:40
  • 長さん

    🚩 なおさん、コメントありがとうございます。
    アサガオの種が下剤として日本に伝わったのは奈良時代末期だそうですが、花を観賞するようになったのはいつ頃からなのでしょうね。江戸時代には変化朝顔が出てきているので、それ以前なのでしょうね。
    2023年08月08日 21:47
  • yoppy702

    朝顔に特化した展示会、イイですね。
    「たかが朝顔されど朝顔」…
    長さんに、変化朝顔を見せて頂いてから、朝顔の奥深さ、素晴らしさを実感しましたが、朝顔って、小学校の観察記録でやってた程ですから、この言葉って真理ですね。(^^)
    アサガオって、どうしても行燈仕立てなど、つるを上に伸ばすって思ってたんですが、このテーブルに並べられてるのを見たら、垂らしてるのもあるんですね。
    こんな仕立てがあるんですね。
    来年、覚えてたらトライしてみよっと。(^^ゞ

    「変化朝顔の親木」、ビックリです。
    いわば、フツーの親。
    これから、あんな不思議な朝顔が誕生するんですね。
    これも、、、「鳶が鷹を生む」?(^^ゞ
    2023年08月08日 23:47
  • すーちん

    おはようございます
    花の変化も面白いですが
    葉もいろいろ変化
    あるんですねー
    2023年08月09日 07:54
  • 長さん

    🚩 yoppy702さん、コメントありがとうございます。
    アサガオは皆さん、子供の頃から馴染みがある植物ですが、形質が色々変化する植物であると言うことはあまり知られていませんね。
    基本的にはつる植物ですから、何かに巻き付いて上に登る性質がありますが、中には、親木5の様に、上に向かって伸びる性質を失ってしまい、巻き付く力も無いものが出現します。
    変化朝顔は種が出来ないものが殆どなので、こうした親木を育て、種を蒔いて、「変化」が出現するのを期待するほかは方法がありません。
    2023年08月09日 10:08
  • 長さん

    🚩 すーちんさん、コメントありがとうございます。
    アサガオの「変化」は、花だけでなく、葉の形や表面の状態などにもあらわれます。葉の変化と花の変化が連動して起こる場合もありますよ。
    2023年08月09日 10:11