前回までな屋外で咲いていた花などでしたが、今回は、熱帯雨林植物温室の向かい側にある多目的温室で見た、「琉球列島に自生する植物」の紹介です。
ハマゴウ(浜栲、浜香、蔓荊)
シソ科ハマゴウ属の常緑小低木。日本では本州~琉球に分布
琉球の代表的な海岸植物で、砂浜に這うように生育する
花期は7~9月。花冠の長さは12~16mm
オオシマガンピ(大島岩菲)
ジンチョウゲ科ガンピ属の落葉低木。日本固有種(奄美大島、徳之島)
やや明るい林縁などに生育する。花期は7~8月。花径は8mm
花弁に見えるのは、4裂した黄色い萼片。環境省の絶滅危惧IA類(CR)
ホソバワダン(細葉海菜)
キク科アゼトウナ属の多年草。島根県・山口県の日本海側から沖縄、
朝鮮半島南部・中国の海岸の岩場から山裾にかけて生育する
アゼトウナに酷似しているが、本種は葉が茎の基部を抱く
花期は10~11月。花径は1.5cm。葉に強い苦みがあり、沖縄県では
「ニガナ」(んじゃな)の名で流通する。なお、ニガナはキク科ニガナ属
イソマツ(磯松)
イソマツ科イソマツ属の低木状多年草。絶滅危惧Ⅱ類(VU)
琉球列島、伊豆七島、台湾の海岸沿いの乾燥した石灰岩地に分布
地下部は薬として利用されるため、採取により減少している
花期は8~9月。花径は5mmほど。別名:イソハナビ(磯花火)
数輪見られる花は赤紫色で、白っぽいのは色があせた花
カラコンテリギ(唐紺照木)
アジサイ科アジサイ属の常緑低木。日本(八重山諸島)、台湾、中国に分布
和名は、中国産のコンテリギ(ガクウツギの別名)の意から。花期は3~8月
白~淡い黄色の装飾花(萼片)の形態によって、八重山産をヤエヤマ
コンテリギとして、変種レベルで区別する見解もある
ヤエヤマノボタン(八重山野牡丹)
ノボタン科タシロノキ属の常緑低木。南琉球固有種(石垣島、西表島)
ハシカンボク属とされてきたが、つくば植物園の研究によって
タシロノキ属の1種とすることが適切であることが判明した
モロコシソウ(唐土草) 初見です
サクラソウ科オカトラノオ属の多年草。千葉~琉球列島に分布(日本固有種)
昔、中国から渡来したと考えられていたが、つくば植物園による研究によって
日本固有種と判明。沖縄では、草を乾燥させ、箪笥の防虫剤として利用する
別名:ヤマクネンボ(山九年母、ミカン科のクネンボに似ていることから)
花径は1~1.2cm。花期は7~8月。蒴果は球形で径約6mm、下向きで灰白色
オキナワテイショウソウ(沖縄禎祥草)
キク科モミジハグマ属の多年草。琉球列島の固有変種
奄美群島~八重山群島の山地の臨床のやや乾燥した環境に育成する
花期は10~1月。花径は2cmほど。別名:マルバハクマ(丸葉白熊)
アマミカタバミ(奄美酢漿草、奄美片喰)
カタバミ科カタバミ属の多年草。奄美大島に分布。絶滅危惧IA類(CR)
川沿いの苔むした岩に生える。近縁種がオーストラリアにも隔離分布している
花期は4~10月。花径は5mmほど
次回は、温室前の花壇で見た花などです。
(つづく)
この記事へのコメント
river
nobara
イソマツ、スターチスによく似てる?と思ったら
イソマツ科なんですね。ニワハナビと呼ぶのも似ていますね。
ガクウツギ、好きなお花です。どこが違うの?ってレベルですね。
テイショウソウはこちらは初秋ですね。
長さん
私も、飛行機代が只だった関係で、沖縄には何度も行き、現地の植物園も見て回りましたが、これらの植物はいずれも見たことがありません。絶滅危惧とはなっていないものの、沢山あるという植物ではないようです。
つくば植物園の説明書きにはいずれも変種とは書かれていませんでした。ご承知のように、琉球レットは古い時代に大陸から切り離されているので、長い間に特異な発展を遂げたものと理解した方が良さそうです。
なおさん
僕は九州も沖縄も行ったことがないのですが、沖縄や小笠原の離島をあちこち訪ね歩くなどというのは、お金もヒマもないと出来ませんよねえ。
長さん
ハマゴウ、爽やかな花色ですね。ユーカリのような香りがするそうです。
イソマツは小さな花が密集して咲くので、スターチスに感じが似ていますね。宿根スターチスの和名がニワハナビですね。
カラコンテリギとガクウツギ(コンテリギ)の相違点についてはどの図鑑にも明確なことが書いてありません。
テイショウソウの花期は9~11月ですね。昨年10月末に、アコね湿性花園で見てきました。
長さん
神代植物公園でハマゴウをご覧になりましたか。ハマゴウは本州以南に分布しているそうなので、伊豆諸島にも分布があるのですね。
在職中は飛行機代が只だったので、沖縄にはよく行きましたが、小笠原諸島となると空港がないで、行くだけでも大変ですね。
eko
ハマゴウは花色が涼しげで素敵です。
ホソバワダンはニガナそっくり、イソマツはスターチスに似ていますね。スターチスはイソマツ科、似ていて当然でした。
ヤエヤマノボタンは可愛いピンク、シベがカギ状に曲がっている特徴はノボタンと同じですね。
モロコシソウはもちろん初見です。
オキナワテイショウソウは花びらがクルンとして可愛いですね。
ミキ
先日植物多様性センターで観てきましたが、少し早かった
のと、カンカン照りできれいに撮れませんでした。
ヤエヤマノボタンは花が小さいのに、雄しべの感じが
シコンノボタンと同じようですね。
葉もそっくりです。
そして花の色が可愛らしいです。(^^♪
yoppy702
興味津々です。(^^)
ハマゴウは聞き覚えのある名前ですが…
これでシソ科なんですね。
ホソバワダンが「ニガナ」って言われると、似てる!って思います。(^^)
でも、属が違うんですね。
ヤエヤマノボタン…
以前ですと、「八重山の牡丹」って読んでたと思いますが、「野ボタン」というのがあると知ってから、この種類は間違えずに読めるようになりました。(^^ゞ
ノボタンの花は特徴がありますね。
アマミカタバミって、画像を見て、カタバミやと納得しましたが、、花径が5mmなんですか!
しかも、「川沿いの苔むした岩に生える」って、奄美のカタバミさん、スゴイですね。
すーちん
モロコシソウ
可愛らしい花ですね
防虫剤にとは
ショウノウのようなニオイが
するんでしょうか
長さん
つくば植物園は離島の植物、とりわけ絶滅危惧種の収集育成に力を入れています。
スターチスはムラサキ医の萼の色が残るので,ドライフラワーとして人気がありますが、イソマツは花後の色が悪いです。
ノボタン属はしべが途中で曲がっているのが特徴ですが、ヤエヤマノボタンは属が異なるだけに、しべの色も太さも異なるようです。
テイショウソウは昨年箱根湿性花園で見てきましたが、花弁は反らずに真っ直ぐでした。
長さん
ハマゴウの花、咲き始めというのを7月29日の記事に投稿されていましたね。
ヤエヤマノボタンの花径は2~3cmですから、径7cmのシコンノボタンと比べるとかなり小さいです。しべが曲がっているのは共通ですが、ヤエヤマノボタンの方が、しべが太いです。
長さん
多目的温室は琉球列島や小笠原諸島の植物が展示されていることが多いです。
ハマゴウは本州にも分布があるので、どこかの植物園でご覧になったのかもね。
ノボタン(シコンノボタン)は花径が7cmほどもありますが、ヤエヤマノボタンは2~3cmですから、かなり小さいです。花弁数も5枚と4枚ですから、相違点はいくつか確認できます。
アマミカタバミ、左手前の葉と比べて見ラバ分ると思いますが、とても小さい花です。
長さん
モロコシソウ、撮影時は特に臭いを感じませんでしたが、はを乾燥させたものからは、カレーのような臭いを発するそうで、防虫剤や芳香剤として有用なのだそうです。