今回は、展示されていたクリスマスローズの原種を紹介します。手ぶれ、ピンずれがありますが、ご容赦下さい。
クリスマスローズ(ヘレボルス、ヘレボラス)の原種はヨーロッパ全域から地中海沿岸、バルカン半島、黒海沿岸、中国(1種のみ)に自生しており、約20種が知られています。
クリスマスローズはキンポウゲ科ヘレボルス属の常緑多年草です。植物の形状から有茎種と無茎種に分類されますが、ニゲルと言う品種はその中間種とされることがあります。
交配種を見慣れていると、原種の花は少し地味に見えるかも知れません。しかし、華やかな交配種のもととなっているのはこの原種の花々です。本来の花弁は退化し、雄しべの外側のネクタリー(蜜腺)となっています。
ヴィリディス (無茎種)
原産はハンガリー、スロベニア、クロアチア、オーストリア、ルーマニアなど。花色は黄緑~緑(希に薄紫)。草丈15~30cmで、非常に小柄なタイプ。葉も大きくならず、芽も良く増える。秋にいち早く葉を枯らしてしまい、生育が遅いように感じられるが、弱くはない。
原産はハンガリー、ブルガリア、イタリア、スロベニア、ボスニア・ヘルツェゴビナなど。花色は黄~緑。草丈25~50cm。ハイブリッドに引けをとらないくらい大柄で強健、育て易い。香りのある個体が多く、凜とした立ち姿も良い。
原産はスロベニア、クロアチア。花色は緑~黒紫、赤紫。草丈20~45m。明るい草原や岩場に自生し、比較的育て易く、丈夫。株姿や葉の形状、花色に変異が多いのも特徴。
原産はイギリス、スペイン、ドイツ、フランス、イタリア、スイスなど。花色は黄緑~緑(花弁の縁に赤紫色のリップが入る個体も)。草丈40~100cm。細かく分かれた葉にベル型の花をたくさん咲かせる。生育が早く、大柄。地植えでも鉢植えでも良いが、寿命がやや短い。完全に後ピンなので、画像クリックで、以前に撮った画像が表示されます。
原産はイタリア。花色は黄緑~緑。草丈30~40cm。花が早く咲き、香りがある個体が多い。生育も早く、育て易い。葉の縁が鋸歯の様に細かい切れ込みが入り、繊細な印象。
原産はドイツ、イタリア、スイス、オーストリア、スロベニア、クロアチアなど。花色は白(咲き進むとピンク~赤に染まる個体も)。草丈20~40cm。ヨーロッパで本来のクリスマスローズというと、この種を指し、最もよく知られ、流通している。高温多湿に弱いので、管理や植え付ける場所など、注意が必要。
原産はスペイン(マジョリカ島)など、花色はあずき~緑、黄緑。草丈20~50cm。葉脈のように模様の入る鉛色の葉で、茎が小豆色なのが特徴。生育が早く、早咲き。やや寒さに弱いので、寒冷地では保護が必要。
原産はスロベニア、クロアチアなど。花色は薄緑~緑。草丈20~40cm。葉が良く分枝して、柔らかい印象なのが特徴。香りがある個体が多く、地域変種も多いため、人気種。
原産はクロアチア。花色は緑~黒紫。草丈25~40cm。小花柄と苞葉の裏に繊毛が生えるのが特徴。アルトロルーベンスを小柄で繊細にした印象で、生育はゆっくりだが、丈夫。
原産は中国(唯一のアジア産)。花色は白~ピンク(赤いペインの入る個体も)。草丈30~40cm。和紙のような質感で、透き通るような花弁が特徴。
実物の出展はありませんでしたが、原種クリスマスローズには、他に、以下の品種があります(全て無茎種)。
アブルジクス (原産はイタリア北部)、オリエンタリス(原産はトルコ、ウクライナなど)、シクロフィリス (原産はギリシャ、アルバニア、マケドニア、ブルガリアなど)、プルプラセンス (原産はハンガリー、ウクライナなどの中・東欧)、リグリクス(原産はイタリア)。
2023年2月18日撮影。
(クリスマスローズ展 シリーズ終了)
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