市川市「万葉植物園」にて(3) マツカゼソウ、ツユクサ、ダイダイ、ツリガネニンジン、マキエハギ、ヒサカキ、ハマヒサカキ、ヤマホトトギス、ニワウメ、キビ

 9月10日に行った、市川市「万葉植物園」で見た花などを記録しています。
 久しぶりに、マツカゼソウやマキエハギ、ヤマホトトギスを見る事が出来ました。いずれも、好きな花なのです。


マツカゼソウ(松風草)
ミカン科マツカゼソウ属の多年草。ミカン科では唯一の草本
本州から九州の山野に分布。花期は8~10月
万葉集には出てこないが、見たかった花です
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花径4mmほどの4弁花ですが、下側の花は5弁ですね
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ツユクサ(露草)
ツユクサ科ツユクサ属の一年草。原産は日本を含む東アジア
花期は6~10月。別名:蛍草。万葉名は月草(つきくさ)
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 月草に 衣は摺らむ 朝露に 濡れての後は うつろひぬとも
 作者不詳 巻7-1351


ダイダイ(橙、代々)
ミカン科ミカン属の常緑樹。インド・ヒマラヤ原産
万葉名は阿部橘(あべたちばな)
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 吾妹子(わぎもこ)に 逢はず久しも 甘美物(うましもの)
   阿倍橘の蘿生(こけむ)すまでに   作者未詳 巻11-2750


ツリガネニンジン(釣鐘人参)
キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草。日本では北海道~九州に分布
花期は7~11月。万葉名は三枝(さきくさ)
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 春されば まづ三枝(さきくさ)の 幸(さき)くあらば
  後にも逢はむ な恋ひそ吾妹(わぎも) 柿本朝臣人麿歌集 巻10-1895


マキエハギ(蒔絵萩)
マメ科ハギ属の落葉小低木(多年草)。本州から琉球、朝鮮・中国に分布
花期は8~9月。花の長さは6mmほどと小さい
名の由来は、まっすぐ伸びた細い花柄が蒔絵の手法を思わせるためと言う
万葉集にはハギの歌が一番多いが、マキエハギの名では登場しない
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ヒサカキ(姫榊、柃)
モッコク科ヒサカキ属の常緑低木~小高木
花期は3~4月。雄花・雌花・更に両性花も持つらしい
万葉名は賢木(さかき)平安期以降はサカキをさすようになった
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 ひさかたの 天の原より生れ来る 神の命(みこと)
    奥山の 賢木の枝に しらか付け・・・ 大伴坂上郎女 長歌 巻3-379


ハマヒサカキ(浜姫榊)
モッコク科ヒサカキ属の常緑小高木。花期は10月~2月(ヒサカキは3~4月)
万葉名は賢木(さかき)。ヒサカキと区別していなかった?こんな花が咲く
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ヤマホトトギス(山杜鵑)
ユリ科ホトトギス属の多年草。日本固有種。花期は8~9月
北海道の南西部から九州の林縁や明るい林に生える
白地に紅紫色の斑点がある花弁が大きく反り返るのが特徴
花弁は6枚で、長さは15~20mmくらい
万葉集に鳥のホトトギスは出てくるが、花は詠われていない
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これはつぼみ
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ニワウメ(庭梅)
バラ科ニワザクラ属の落葉低木。中国原産。花期は4月
万葉名は 朱華(はねず)、唐棣。こんな花が咲きます
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 夏まけて 咲きたるはねず ひさかたの 雨うち降らば 移ろひなむか
  大伴家持 巻8-1485


園内の風景その3
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キビ(黍、稷)
イネ科キビ属の一年草。原産地は諸説あり、はっきりしていない
日本では五穀の一つとされる。万葉名は黍(きみ)
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 梨(なし)棗(なつめ) 黍(きみ)に粟(あは)つぎ 延(は)ふ葛(くず)の
 後(のち)も逢(あ)はむと 葵(あふひ)花咲く  作者不詳 巻16-3834

 2022年9月10日撮影。

(つづく)

この記事へのコメント

  • イッシー

    マツカゼソウかわいいですね~。初めて見ました!
    ツユクサとのコラボもいいですね~。
    マキエハギも初めてです。面白い植物園ですね。
    2022年09月15日 12:51
  • 信徳

    ♪マツカゼ騒ぐ丘の上、とは関係ないですね!
    ミカン科で唯一の草本とくれば珍しいのでしょう、そこいらの
    野山で見た事が有りません。
    ホトトギスの色々、蕾が付いてきました。タイワンホトトギス
    キイジョウロホトトギス、ホトトギス三色、ヤマホトトギスは種を蒔いたところです。
    2022年09月15日 13:24
  • river

    マツカゼソウは赤城自然園でお馴染です。
    月草尓 衣者将揩 朝露尓 所沾而後者 徒去友 1351
    月草で 衣は摺り染めにしよう 朝露に 濡れたそのあとは 色があせても
    ツユクサの青い色は洗うと消えてしまうので染物の下絵を描くために使われています。
    2022年09月15日 13:33
  • もこ

    マキエハギ シロにピンクの差し色可愛いです
    2022年09月15日 15:23
  • nobara

    マツカゼソウ、花も可愛いですが
    葉っぱも好きです(^o^)丿
    リズミカルな葉っぱですよね~
    ツユクサは我が家に蔓延っています。
    苞の中の様子を観察しています。
    苞の中に3~4個の花芽があります。
    一番後ろに雄花がスックと立っていますが
    これはすぐに落ちてしまいます。
    双子ちゃんを見つけるにも楽しみです。
    三枝と書いてさきくさと読ませるのですね。
    さえぐさって呼んでしまいますよね。
    マキエハギ、可愛いですね
    2022年09月15日 15:33
  • eko

    マツカゼソウは初見です。ミカン科の唯一の草本ですか。可愛い花が咲きますね。五弁花の花もあるんですね。
    ツユクサはどうしてもトンボの顔に見えてしまいます。万葉の時代からあるんですね。
    マキエハギの花、白地にピンクの模様が入って可愛いです。
    ヤマホトトギスの白地に紅紫色の斑点が可愛いです。蕾は面白い形をしていますね。
    2022年09月15日 18:14
  • なおさん

    柑橘系の果樹ばかり見慣れていると、マツカゼソウもミカンの仲間??とにわかに信じがたいですよねえ。西洋ハーブですとヘンルーダというところでしょうか。

     ツユクサはこの当時から花びらを布にこすりつけてじか染めという草木染めがなされていましたが、水に濡れるとすぐ色褪せてしまうので、儚いものの例えとされたものですね。

     ツリガネニンジンは、3枚輪生ですから、さきくさと考えるひとも居ることでしょう。万葉植物の書籍を見ると、さきくさは春まず咲くということで、ミツマタが妥当だろう、という説も有力なようですね。

     ヒサカキは早春の花で、花の香りはガス臭いでがす、とすわガス漏れ騒ぎかとなるものですが、ハマヒサカキは初秋に咲いて、やはりガス臭いでがす、と大騒ぎになるようですねえ。
    2022年09月15日 19:19
  • 無名子

    こんばんは!
    マツカゼソウ、可愛い花ですよね (^o^)
    今日投稿した アキカラマツ とよく混同してしまいます。
    同じ里山、アキカラマツは尾根筋に、マツカゼソウは谷の沢近くに咲いています。マツカゼソウ、今年は見に行き損ねてます。
    ヤマホトトギス、群馬は絶滅危惧種に指定されています。
    咲きそうな蕾が可愛いですね。
    花弁を反り返らせた姿も好きです (∩.∩)
    2022年09月15日 19:24
  • 長さん

    イッシーさん、コメントありがとうございます。
    マツカゼソウ、風に揺れて撮りにくかったですが、アップの写真はこの1枚だけがピントが合っていました。
    マキエハギ、可愛いでしょう?
    2022年09月15日 21:20
  • 長さん

    信徳さん、コメントありがとうございます。
    >♪マツカゼ騒ぐ丘の上
    三橋美智也ですね。それを知ってる私も歳だなー(笑)。マツカゼソウは植物園でしか見たことが無いです。
    ホトトギス、3種類が咲きますか。ご自宅で見られるなんて、良いなー。
    2022年09月15日 21:25
  • 長さん

    riverさん、コメントありがとうございます。
    マツカゼソウは目黒の自然教育園と箱根湿性花園でしか見たことが無いです。
    万葉集の歌に平易な文章を添えようと思ったのですが、長くなるので止めました。
    京友禅の下絵を描くには、今はツユクサ科のオオボウシバナを使っているそうで、それを栽培しているそうですね。
    2022年09月15日 21:32
  • 長さん

     もこさん、コメントありがとうございます。
    マキエハギ、シンプルな赤い斑ですが、とても可愛いですね。
    2022年09月15日 21:34
  • 長さん

    nobaraさん、コメントありがとうございます。
    マツカゼソウの葉の着き方がリズミカルですか。なるほど。
    ツユクサが蔓延っていますか。今や、我が町内を回っても発見出来ないのですよ。苞の中までは見たことが無かったので、今度発見したら見てみましょう。
    三枝、現代ではさえぐさとしか読みませんよね。
    マキエハギ、久しぶりに出会えました。
    2022年09月15日 21:41
  • 長さん

    ekoさん、コメントありがとうございます。
    マツカゼソウ、初見ですか。私も植物園でしか見たことが無いです。たまたまアップで撮った花が5弁でした。突然変異でしょう。
    ツユクサがトンボの顔に見えますか。それは面白い。
    マキエハギ、可愛いでしょう?今回出会えて良かったですよ。
    ヤマホトトギスの蕾、形はホトトギスやタイワンホトトギスに似ています。
    2022年09月15日 21:49
  • 長さん

    なおさん、コメントありがとうございます。
    そうそう、ヘンルーダも草のように見えますが、木本でしたね。
    引用したツユクサの歌はまさに染めた色が朝露のせいで色が変わってしまったという内容ですね。
    ネットにはサキクサはミツマタ説もでていました。
    ヒサカキの花はガス臭いですか。小さな花なので鼻を近づけてことがないです。
    2022年09月15日 22:03
  • 長さん

    無名子さん、コメントありがとうございます。
    マツカゼソウとアキカラマツを混同ですか。アキカラマツを良く見ると、花弁がなくしべが目立つので違いに気付くでしょうが、遠目では同じに見えますか。
    ヤマホトトギス、群馬県では絶滅危惧IA類ですね。千葉県は無印ですが、もともと無いのかな。同じような花が咲くヤマジノホトトギスの花弁は反り返りませんね。
    2022年09月15日 22:12
  • yoppy702

    マツカゼソウ、初めてです。(^^ゞ
    とっても綺麗な花ですね。
    へぇー、これ、ミカン科なんですね。

    ツリガネニンジンも万葉の花なんですね。
    万葉名が三枝…
    マキエハギ、初めて見ました。
    シラハギは良く見ますが、こんなのがあるんですねぇ…
    このハギ、生で見てみたいです。(^^ゞ

    園内の風景その3…
    やっぱ、ここイイ感じですね。(^^)
    2022年09月16日 00:28
  • すーちん

    おはようございます
    松風草
    可愛らしい花ですねー
    蝶が飛んでる様^^
    2022年09月16日 08:32
  • ジュン

    マツカゼソウ&マキエハギ
    初めて見ました可愛いですね
    小さいお花見逃しそうです
    2022年09月16日 09:01
  • 長さん

    yoppy702さん、コメントありがとうございます。
    マツカゼソウ、私も植物園でしか見たことが無いです。
    万葉の植物名と現代の植物名が全く違っているものがいくつもあります。その辺の歴史を調べるのも面白いかも知れません。
    マキエハギは赤い筋がなんとも言えず可愛いです。これも、あまり目にしません。
    2022年09月16日 15:26
  • 長さん

    すーちんさん、コメントありがとうございます。
    マツカゼソウの花はあまりにも小さいので、思わず近寄ってしげしげと見てしまいます。
    2022年09月16日 15:29
  • 長さん

    ジュンさん、コメントありがとうございます。
    マツカゼソウやマキエハギは普段目にすることが出来ない、珍しい植物だと思います。どちらも、植物園以外では見たことが無いです。
    2022年09月16日 15:30

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