くらしの植物苑2022年「伝統の朝顔」展にて(6) 変化朝顔・出物系統の親木(牡丹咲き以外)

 8月16日、千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館のくらしの植物苑で開催中の「伝統の朝顔」展(8/03~9/04)を見に行ってきました。
 これまで正木系統の変化朝顔を紹介してきましたが、今回からは出物系統の紹介です。
 「正木」とは種が採れるタイプのことで、その種を植えたものも同じ変化が起こりますが、あまり激しい変化は起こりません。「出物」とは遺伝子の組み合わせによって、1/4、1/16…等の確率で雄しべや雌しべまで激しく変化し、種が採れない株が出現するタイプのことです。
 出物は種が採れないため、同じ親株の種から育った、変化していない兄弟株を種採り用に育てます。これが、出物系統の親木と言われるものです。従って、花は普通の朝顔と同じようなものも多数存在します。親木から変化の大きな「出物」を期待するには、出物親木の種を沢山育てる必要なあります。
 今回は、出物系統の親木のうち、牡丹咲き以外を紹介します。これらは主にビニールハウスに展示されていました。
 説明は、銘、葉の特徴、花の特徴の順です。なお、品種の番号は整理のために私が付けたものです。


出物系統の親木の展示風景(今年の開花は遅れているようです)
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出物系統の親木1
青/斑入/抱/常葉 ・ 淡藤鼠色/丸咲
花は普通ですが、斑入り葉で、内側にカール(抱)している
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出物系統の親木2
黄/抱/常葉 ・ 瑠璃/丸咲
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出物系統の親木3
黄/抱/常葉 ・ 紅/丸咲
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出物系統の親木4
黄/抱/蜻蛉葉 ・ 紺/吹雪/丸咲
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出物系統の親木5
青/打込/弱渦葉 ・ 青/丸咲
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出物系統の親木6
青/渦葉 ・ 江戸紫/丸咲
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出物系統の親木7
青/斑入/蜻蛉/孔雀葉 ・ 石化/枝垂 ・ 淡紅/覆輪/丸咲
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出物系統の親木8
青/斑入/渦葉 ・ 葡萄鼠/丸咲
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出物系統の親木9
青/渦/蜻蛉葉 ・ 紅/筒白/丸咲
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出物系統の親木10
萌黄/縮緬葉 ・ 白/筒紅/台咲
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出物系統の親木11
萌黄/縮緬/立田葉 ・ 白/筒紅/台咲
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出物系統の親木12
黄/縮緬葉 ・ 瑠璃/台咲
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出物系統の親木13
黄/孔雀葉 ・ 紅/台咲/孔雀八重
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出物系統の親木14
青/打込/桔梗渦葉/短毛 ・ 淡藤/切咲
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出物系統の親木15
黄/抱/丸葉 ・ 紅/吹雪/丸咲
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出物系統の親木16
青/斑入/笹葉 ・ 茶/覆輪/車絞/切咲
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 2022年8月16日撮影。

 次回は、出物系統の親木で、牡丹咲きの品種を投稿します。
(つづく)

この記事へのコメント

  • 信徳

    斑入り葉の植物は一般的に希少で特に山野草は高価です。
    アサガオも同様なのでしょうか?笹葉で切咲のものなど斑入りで
    珍しいのでしょう!
    2022年08月24日 12:42
  • イッシー

    遺伝子組み換えみたいなことをやるのでしょうか。
    種は取れないので再現性はないけれど、時に変わったのができるということなのかな。いずれにしても奥が深い世界ですね。
    2022年08月24日 12:49
  • river

    生物の世界ではメンデルの分離の法則、独立の法則、優性の法則の3つが知られています。でも変化朝顔の世界ではこの法則が必ずしも通用しません。トランスポゾンという細胞 内において ゲノム 上の位置を 転移 することのできる 塩基配列 があるからです。動く遺伝子と言われるもので突然変異もこれによるもののようです。予測できない変異を起こすこともありますが長い経験から組み合わせによりある程度予測が出来るようになりました。その組み合わせの元となるのが出物系統の親ですね。たくさんの種を播いて選別するのですが双葉の時から正常の葉ではないので分かります。
    話は違いますが雪割草にも千重咲きの親と言うのが存在します。
    2022年08月24日 16:21
  • yasuhiko

    さすが、歴博の変化朝顔展は、
    系統だった展示で見応えがありますね。
    こちら、日比谷公園でも変化朝顔の展示が
    ありますけど、もっと大雑把な並べ方を
    していたような気がします。
    2022年08月24日 16:35
  • nobara

    出物?はそういうモノなんですね。
    出物腫物、なんて言葉がありますが?
    出所はそんなことなんでしょうか?
    説明をきいても他との区別がさっぱりですが(^o^)丿
    突然変異みたいなモノなんでしょうか?
    切咲なんて、基部まで切れ込んでいますね。
    ホタルブクロでそのように切れ込んだのがありました。
    ピンクオクトバス?だったかな~
    2022年08月24日 17:29
  • 無名子

    こんばんは!
    出物系統、再現性に乏しいような・・・
    正木系統の方が分かりやすいですね。
    何となく分るような・・・ 頭が痛くなってきました (^◇^)
    2022年08月24日 19:24
  • なおさん

    沢山種子を播いても狙い通りの変化物が発現するとは限らず、ごく一部にしか現れない、というのではあまり営利向きとは言えず、マニアや研究機関向きですかねえ。場所も労力も手間ヒマも根気もいるというのはタイヘンで、シロウトには並花を愛でるのが1番ですかねえ。
    2022年08月24日 19:25
  • コスモス

    出物系統とは開花してみないとどんな花になるかわからないのですか。
    花は普通のものが多いようですが、葉が変化に富んでいますね。
    2022年08月24日 19:48
  • eko

    出物系は種が出来ないので親木を使ってどんな花が出来るのか分からないのが面白いのでしょうね。でも手間のかかることですね。最後の斑入り、切り咲きなど変異し過ぎのような気もしますが面白いですね。
    2022年08月24日 20:10
  • 長さん

    信徳さん、コメントありがとうございます。
    アサガオの場合は斑入り葉が出る確率は高いようです。一年草なので種を入手することになりますが、朝顔展で入手するのが簡単そうです。くらしの植物苑でも6月に有償頒布が行われています。
    2022年08月24日 21:21
  • 長さん

    イッシーさん、コメントありがとうございます。
    遺伝子組み換えは一般の人では出来ないですから、全て、親の種に隠れている遺伝子が偶然発現するのを待つというスタイルですね。ですから、親木から種を沢山採って、沢山蒔くと言うことが必要です。
    2022年08月24日 21:25
  • 長さん

    riverさん、コメントありがとうございます。
    遺伝学についてもお詳しいですね。最近読んだ論文の中ではこんな(↓)のが面白かったです。
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/56/1/56_560102/_pdf
    へー、雪割草にも千重咲きには親があるのですか。株分けだけかと思っていました。
    2022年08月24日 21:31
  • 長さん

    yasuhikoさん、コメントありがとうございます。
    ここは流石に国に付属機関だけのことはありますね。
    日比谷公園の大輪朝顔展や変化朝顔展には、コロナ前に何度か見に行ったことがあります。今年は開催されたそうですね。
    2022年08月24日 21:39
  • 長さん

    nobaraさん、コメントありがとうございます。
    変化朝顔の出物とは、偶然に出るものといった意味ではないかと思います。つまり、隠れていた遺伝子が偶然発現(≒突然異変)して、親とは異なる形質の朝顔が出た、と言うことでしょう。
    糸咲きのピンクオクトバスの場合は、ホタルブクロの変種であるタケシマナ(カンパニュラ)を改良したものだそうですよ。ブルーオクトパスという新小品も出来ているそうですね。
    2022年08月24日 21:54
  • 長さん

    無名子さん、コメントありがとうございます。
    正木系統は親と同じものが出ますが、出物系統は変化の再現というか、新しい変化というか、そういうものを期待して親木を育てているようです。
    2022年08月24日 21:57
  • 長さん

    なおさん、コメントありがとうございます。
    出物系統の朝顔はまさにマニアの趣味の世界ですよ。我々シロウトは、その変化を楽しませてもらうだけですね。
    しかし、研究機関にとっては遺伝子の発現の仕方を知る上で、アサガオをかなり重要視しているようで、アサガオゲノムのかなりの部分が解析されたようです。
    2022年08月24日 22:03
  • 長さん

    コスモスさん、コメントありがとうございます。
    出物系統は多くの場合、親と同じものが出てくるそうですが、変異が起こる場合は、双葉が出た段階で形状が異なることが多いそうです。
    2022年08月24日 22:07
  • 長さん

    ekoさん、コメントありがとうございます。
    出物系統は多くの場合親と同じものが出来るのですが、少ない確率で変化が出るのを楽しみにするわけで、まさにマニアの世界ですね。
    斑入り葉、切れ咲きはまだまだ序の口ですよ。
    2022年08月24日 22:09
  • ミキ

    「伝統の朝顔展」すごいですねぇ。
    江戸時代の朝顔市の模様を本で読みましたが、
    時代が変わっても受け継がれて、マニアの方々の
    努力には驚きしかあrません。
    出物を育てるには同じ親から生まれた?きょうだいから
    種を採り・・・凄まじい程の根気に仰天しました。
    №16の親木でやっと何となく理解できたかな?
    葉も形が違ってきれいですね。(^^♪
    2022年08月25日 00:08
  • 行き当たりばったり

    おはようございます。
    いつものように見事に分類されています(笑)
    ただ、私の目ではなかなか違いを認識するのが難しいです。
    それにしても育て上げる、それを種として維持する---難しいことなんでしょうね。
    2022年08月25日 07:14
  • すーちん

    おはようございます
    生産者としては
    じっくり観て貰いたい
    でしょうねー
    2022年08月25日 08:45
  • オグリ君

    猛暑、真夏日もひと休みかな?
    この夏は暑くて遠出もままならず!・・きれいな朝顔には出会いできませんでしたが、長さんの”朝顔”を見て楽しんでいます・・ありがとうございます! 
    Byオグリ
    2022年08月25日 09:37
  • 長さん

    ミキさん、コメントありがとうございます。
    ここは国の付属機関ですから、学術的な意味合いもあって、変化朝顔を保存、育成、展示をしています。
    愛好家の展示は、東京だと日比谷公園で開催される朝顔展があります。多分、今年は明日からではないかと思います。皆さん、かなりの情熱を持って育てていらっしゃいますよ。
    2022年08月25日 17:07
  • 長さん

    行き当たりばったりさん、コメントありがとうございます。
    ここの展示は鉢ごとに名札がきちんと付けられているので、それを基に、系統別に投稿しています。
    ここは国の付属機関ですから、組織の業務としてやっていますが、愛好家の方たちは個人で栽培するわけですから、大変なご苦労だと思います。
    2022年08月25日 17:10
  • 長さん

    すーちんさん、コメントありがとうございます。
    ここは国の付属機関ですから、組織の任務として栽培、保存を行っていますが、大変な作業だと思いますよ。ですから、毎年見に行ってあげなくては(笑)。
    2022年08月25日 17:12
  • 長さん

    オグリ君さん、コメントありがとうございます。
    朝顔は遅くとも10時まででなければ萎んでしまいます。朝が弱い私ですが、頑張って見に行きましたよ。朝の内なら暑くはないと思ったのですが、やはり暑かったです。
    2022年08月25日 17:16

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