今回は、多目的温室で見た花などです。昨年11月に行ったときは世界の珍しい野生ランの展示でしたが、今回は南西諸島や小笠原諸島など、亜熱帯に分布する絶滅危惧種などが展示されていました。
オキナワスミレ(沖縄菫)
スミレ科スミレ属の多年草。沖縄固有種。絶滅危惧IB類(EN)
学名はViola utchinensisで、沖縄の方言が入っている
花径は2cm位。分布地には、他の貴重な植物も自生しており、
その環境自体が国の天然記念物として、保全されている


アマミアセビ(奄美馬酔木)
ツツジ科アセビ属の常緑低木。奄美黄島の固有種
以前は沖縄本島にも分布するリュウキュウアセビとされていたが、
近年、花の形態が異なるため、新種として区別された
リュウキュウアセビは絶滅危惧IA類(CR)だが、これは未指定
アセビの中では花冠が大きく、葉が肉厚なのが特徴

ナガミカズラ(長実葛)
イワタバコ科エスキナンサス属のつる性常緑多年草。絶滅危惧IA類 (CR)
日本(西表島)~中国、東南アジアに分布。日本では1973年に西表島で発見、
その後、2004年に牧野植物園とつくば植物園の調査で再発見(1集団のみ)

変わった花です(花冠は緑~オレンジ、長いのは雌しべ、茶色のが雄しべ)

アリサンバライチゴ(阿里山薔薇苺)
バラ科キイチゴ属の常緑小低木。日本(与那国島)と台湾に分布
オオバライチゴ(別名:リュウキュウバライチゴ)に似ているが、葉形が
幅広いこと、葉の両面に毛が多いことで区別される。台湾との共通種と
されているが、分類研究の必要な植物だそうだ
阿里山は、台湾の阿里山山脈を中心とする山岳地帯の地名

ダイトウワダン(大東わだん、大東海菜)
キク科アゼトウナ属の2年草。ホソバワダンの変種。絶滅危惧IA類(CR)
沖縄県北大東島・南大東島に分布。日本固有種。葉は食用とされる
花期は11~3月。花径は約1.5cm。ブタナやオニタビラコに似ている


ヒメキランソウ(姫金瘡小草)
シソ科キランソウ属の多年草。日本(九州~琉球列島)、台湾に分布
佐賀が北限。九州産と琉球列島産とには花の形態などに異変があり、
分類研究が必要だそうだ。福岡、佐賀、熊本では絶滅危惧種に指定

姫とつくが、キランソウに比べ花は大きく(径1cm)、群生することが多い

ドナンコバンノキ(渡難小判の木)
トウダイグサ科コミカンソウ属の落葉低木。与那国島固有種
絶滅危惧IA類(CR)。2001年に登録された珍しい植物で、
地元でも知っている人は少ないという
渡難とは、渡るのも難しい島という与那国島の方言名


初めてここで見た時(2014年1月)には、こんな実が出来ていた

オオシロショウジョウバカマ(大白猩々袴)
シュロソウ科ショウジョウバカマ属の常緑多年草。琉球列島に分布
日本固有種。絶滅危惧Ⅱ類(VU)。個体数が少なく徳之島では約10個だけ
川沿いの湿った斜面に育成する。日本のショウジョウバカマ属の中では花序
が最も大きい。花の色や付き方に著しい種内変異が見られるそうだ

こちらは咲いたばかりの、新鮮な花

次回は多目的温室の続きと、絶滅危惧種植物温室で見た花です。
(つづく)
この記事へのコメント
イッシー
日本列島は南北に長く、孤島みたいなところも多いから
変わったのもいるんでしょうね。本州にあるのとそんなに見分けがつかないのもありますね。私はただ花を撮って楽しんでいるだけなのですが植物に詳しい人には深い楽しみがあるのでしょう。
nobara
TOPは咲き進んだ?姿なんですね。
utchinensisって方言が学名に??
照葉していますね。海岸性なのかしら?
アマミアセビらしきのを、民家で見かけた気がしますが。
ダイトウワダン、海岸で三日得るホソバワダンと見分けがつきません。
ヒメキランソウは宮古島でも沖縄本島でも群生してるのを見ました。
蔓がランナー化して蔓延りますよね。
ドナンコバンノキはコミカンに姿がそっくりですね。
実の色が黒いのを除けば(^o^)丿
無門
環境自体が国の天然記念物
まさにそうですね
その環境がピンチにさらされている地球
どこかでブレーキを
利かせられないものか
eko
オキナワスミレ、可愛いです。学名にutchinensisと沖縄の方言が入り固有種だと分かりますね。
ナガミカズラは花とは思えないような変わった花ですね。
オオシロショウジョウバカマも美しい花ですね。
多目的温室で貴重な花々が見られるのは良いですね。
はるる
ショウジョウバカマ、植物園では名前も難しいですが、
よりきれいに咲いているんですね。
冬場に見られるのは嬉しい花ばかりです。
亜熱帯の花たちですね。
なおさん
自生地でみるのが一番ですが、情報もなしにやみくもに行っても空振りになるでしょうから、ガイド付きだと良いでしょうねえ。
river
長さん
多目的温室、今回は絶滅危惧種の展示でしたが、昨年11月に行ったときは世界の原種ランが展示されていました。
今回は小笠原諸島の植物は展示がなかったのですが、離島は固有種が多いようです、
長さん
オキナワスミレ、1枚目は良く確認しませんでしたが、咲き始めかも知れません。生育地は海岸で、確かに葉には光沢があります。
ホソバワダンもここで見たことがありますが、葉が細いわけでもないですね。
ヒメキラン異なりましたか。
ドナンコバンノキの実はコミカンソウに似ていますね。
長さん
絶滅危惧種の自生地には、学術的な目的以外では立ち入らないようにしないといけませんね。珍しい植物は盗掘も絶滅の原因になっていたりしますしね。
長さん
貴重な固有種が絶滅の危機にさらされているのは残念なことです。
学名は登録者が付けることが出来るので、方言が入ったりすることがあります。
ナガミカズラの花、形も色も変わっていて、面白い形ですよね。
オオシロショウジョウバカマ、綺麗な花ですよね。本土のショウジョウバカマより、かなり大きいです。
長さん
この植物園では絶滅危惧種の収集、保護、育成に力を入れています。増やすことが出来れば、自生地に戻すことも考えているそうです。そうした活動の一環で、こうして展示もしてくれているので、ありがたいです。
長さん
小笠原諸島はもちろんのこと、南西諸島の絶滅危惧種を現地で見ようとしたら、大変は費用と日数がかかりますよね。現地に行っても、どこに分布しているのかさえ分らない者もあります。こうして、労せずして見る事が出来るのはありがたいことです。
長さん
絶滅危惧種は現地に行ったとしても、そう簡単に見つかるわけではないので、こうした展示はありがたいです。
絶滅危惧種植物温室は常時展示があるのですが、その時に咲いているもの以外は殆ど展示がありません。
月奏曲
これもちょっと虫っぽいw
オオシロショウジョウバカマ、これは咲くとかわいいですねぇ…
蕾はワラワラしてるけどw
すーちん
ナガミカズラですか
地味な花ですが
変わってますねー
お辞儀してるみたいですー
信徳
アリサンバライチゴが出てきました。
一般的に暖かい沖縄、台湾の草花は大型で色が濃いのが特徴的でしょう。
昨日は台湾の春節、台湾の友人とSNS新年会やって飲み過ぎました(笑)
長さん
ナガミカズラ、例えるなら、バッタ類ですかね(笑)。
オオシロショウジョウバカマ、本州で見かけるものよりかなり大型ですが、花の大きさは同じくらいです。
ロシアンブルー
珍しいものばかりです。
絶滅危惧植物ともなれば貴重ですね。
ドナンコバンノキの黒い実が並んで可愛いです。
オオシロショウジョウバカマも大きな花序なんですね。
長さん
ナガミカズラの花、変わっていますね。送粉者は特定されていないようですが、鳥がホバリングして蜜を吸うのではないかと思います。
長さん
今回は南西諸島の絶滅危惧種でしたが、小笠原諸島の植物も展示されます。固有種が多いですが、アリサンバライチゴのように、南西諸島が北限のものもありました。
SNSで新年会ですか。顔を見ながらだと楽しいので、ついつい飲み過ぎましたか。
長さん
この植物園は絶滅危惧植物の収集・保護・育成に力を入れているので、そうした植物が展示されるわけです。現地に行くのは灰変なので、こうした展示はありがたいです。
オオシロショウジョウバカマ、花の大きさは本州で見るものとあまり変わりませんが、花付きは段違いですね。
秋月夕香
温室の中なので沢山のお花がさいていますね。
アマミアセビ~こういうかんじですか、お花が咲いたらきれいそうです。
長さん
アマミアセビはまだ咲き始めでしたが、本土のアセビと殆ど同じ様な姿になりますが、大きさはアマミアセビの方が若干大きいです。