11月24日、佐倉市にある国立民族博物館・くらしの植物苑に「伝統の古典菊」(開催期間は11月の2日から28日)という特別企画を見に行ってきました。
古典菊は、嵯峨菊、江戸菊、伊勢菊、奥州菊、肥後菊、丁字菊の6種類で、今回は奥州菊や丁字菊を取り上げます。
奥州菊(大掴み)とは(苑のリーフレットから引用)
江戸時代の末頃から、奥州八戸地方で盛んに栽培された大菊の系統です。
外側の管状の走り弁を周囲に長く伸ばし、内側の花弁は両手できつく掴んだように巻き、何段にも力強く盛り上がって咲きます。
厚物の変化系で、大掴みとも呼ばれます。
丁字菊とは(苑のリーフレットから引用)
江戸時代に盛んに栽培されていた菊で、外周に平弁の舌状花が伸び、中心の筒状花の花弁が大きく発達して盛り上がって咲きます。この盛り上がった形が、香料の丁字(クローブ。フトモモ科の植物)の花に似ていることから名づけられました。アネモネ咲きとも呼ばれています。
11月24日撮影。
次回は、江戸菊を紹介します。
(つづく)
日本の菊について(苑のリーフレットから引用)
菊(イエギク)は、日本本来の伝統的な園芸植物と考えがちですが、中国大陸を原産地としており、古くからさまざまな系統が幾度にもわたって日本に持ち込まれたと考えられています。
中国では紀元前から霊薬として菊が栽培されていたとされ、唐の時代までには花を観賞するための品種が多数作りだされました。
鑑賞用の菊の誕生には、ハイシマカンギクとチョウセンノギクの二つの変種が関わったと考えられています。
日本での古典菊の独自の育成は、平安時代~鎌倉時代にさかのぼるものと考えられ、特に「嵯峨菊」と「伊勢菊」は古い伝統を受け継ぐものとして知られています。その後、古典菊の隆盛に大きく関わったのが江戸時代に育成が始まった「肥後菊」と「江戸菊」です。
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この記事へのコメント
信徳
モッテノホカがこんな形で咲いたら大収穫になって宜しいかと(笑)。
river
丁字菊は江戸時代には人気が高ったようですが最近は栽培する人が少なくなっているようです。
なおさん
古典園芸植物は同じ仲間でも地方により変異がいろいろ見られるのが興味深いですよね。
秋月夕香
この辺りも菊はさかんですが、種類や名前はほとんどしりません。あきになると駅前で色々イベントもありますが、コロナがあるので最近はイベントもすくなくなりました。
nobara
どれもこれも素晴らしい
厚物の変化系なんですね。
リバーシブルの花が重厚ですね。
丁子菊はアネモネ咲きみたいで可愛いですね。
岸の羊蹄は団子菊を上品にした感じ?((((^Q^)/
一口に丁子咲きと片付けられませんね。
長さん
奥州菊は、菊花展で厚物と呼ばれる菊を更に植えに盛り上げ、両手で横から掴んだような形をしています。
花弁数が多いので、食用菊としたら多分大味で美味しくないかも。
長さん
農林水産・食品産業技術振興協会のHPは見たことがありますが、他には、美濃菊を古典菊6種類に含めているHPは発見出来ませんでした。
丁字菊は日比谷公園の菊花展で見たことがありますが、普段は目にしませんね。見るとしたら、マーガレットの丁字咲きくらいでしょうか。
長さん
寒い八戸地方で菊作りが盛んだったというのはちょっと意外ですね。これら6種類の他に、美濃菊も古典菊とされているようです。
長さん
菊は種類が多すぎて、私には苦手な植物ですが、古典菊は花が大きかったり、咲き方に特徴があったりするので、覚えやすいです。
長さん
奥州菊はその盛り上がりが半端ではないですね。厚物のうち、厚走りを更にこんもりさせたような感じで、他にこんなに厚くなる菊はありませんからね。リバーシブルの紫光殿はそれほど厚くならないようです。
丁字菊はいわゆるアネモネ咲きですね。中央がこんもりするタイプと岸の羊蹄のように盛り上がらないタイプがあるようです。
月奏曲
白雲丸は清楚でいいなあ
同じく元禄丸も結構好きw
eko
日本の古典菊の育成は平安時代~鎌倉時代までさかのぼって長い歴史がありますね。
うふふ
古典菊が6種類もあるのですか。
日本では、平安時代から鎌倉時代までさかのぼるとは恐れ入りました。
源氏物語にも菊のことが度々出てきますね。
仇やおろそかにしてはいけません!!
イッシー
御苑のより種類が豊富。
こんなにあると楽しいでしょう。
すーちん
豪華な菊ですねー
素人でもこんなに育てられ
ますかしら^^
ジュン
手間がかかるのですね
アネモネ咲き
余り見たことがないのです
菊も奥が深いののですね
長さん
紫光殿は奥州菊の割には花弁数が少ないですね。
丁字菊は白がお好みに合いましたか。
長さん
古典菊は、一般的にはこの6種類ですが、丁字菊に代えて美濃菊を入れるという説もあるようです。
盛り上がった奥州菊の中心はどうなっているのかと不思議に思いますね。
丁字菊は2系統あるように見えますね。
長さん
キクは日本のものと思われますが、家菊のルーツは中国や朝鮮半島にあったのですね。呼んだことがなかったので知りませんでしたが、源氏物語にも菊が登場しますか。
長さん
新宿御苑の菊も伝統がありますが、古典菊というより、仕立て方の伝統を受け継いだものでしょうね。120種以上展示されていたので、紹介できなかった品種もあります。
長さん
古典菊をご家庭で育てられている方もおられるので、多分大丈夫でしょう。
長さん
古典菊は、どれも、伝統通りに咲かせようとすると大変なようです。
アネモネ咲きは、アネモネはもちろんのこと、マーガレットやラナンキュラス、クリスマスローズ、ダリアなどにもそのような咲き方の品種があります。
コスモス
永楽殿の中を覗いてみたい気がします。
丁字菊は時々見ますが、これをアネモネ咲きともいうんですか。
菊が中国から持ち込まれたというのは最近知りました。
それから独自の品種を作り出す日本人の技術力は素晴らしいですね。
長さん
奥州菊の花弁は外側の成長が内側に比べてちょっと早いことで、花弁が内側にカールするというしくみのようです。花弁の内側には両性花があり、紫光殿はそれがよく分ります。
両性花がこんもり盛り上がるのをアネモネ咲きと言うそうです。
日本に自生する菊もありますが、家菊のルーツは中国や朝鮮半島なのだそうです。