2021年秋つくば蘭展にて(5) つくばコレクションから(5) 野生ランの色々

 11月6日に見に行った「つくば蘭展」(会期は10/31~11/7)で見たランの花を紹介しています。
 つくば植物園がコレクションしている野生ランの展示はおよそ200点に及びましたが、その紹介は今回が最終回です。


リパリス・ラティフォリア
Liparis latifolia 中国南部~東南アジアに分布 花径は1cmくらい
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リパリス・コンディロブルボン
Liparis condylobulbon 台湾、インドシナ半島、南西太平洋諸島に分布
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花が小さすぎて、アップは失敗。下の画像は10年ほど前に撮ったもの
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リパリス・ロンベア
Liparis rhombea マレー半島、カリマンタン島、ジャワ島に分布
白色の花弁に赤い模様が入る 花径は1cmくらい
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オベロニア・種名不詳
Oberonia sp. ニューギニア島に分布
日本では初めて見る花だそうです。花と言われても、小さすぎて分らない
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セロジネ・フィンブリアタ
Coelogyne fimbriata インド北部、中国、ベトナム、タイ、マレー半島に分布
標高1500mまでの森の中に生える着生種。花径は4~5cm
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こちらは唇弁が黄色い品種
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デンドロキルム・コーテシー
Dendrochilum cootesii  フィリピンの標高1200~2000mの
雲霧林に着生するフィリピン固有種。花径は1cmほど
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デンドロキラム・ウンカトゥム
Dendrochilum uncatum 台湾、フィリピンに分布
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 デンドロキルムは細長い花序に花がたくさん付くので「首飾りラン」の愛称を持っている。米が実った穂のようにも見えるため、フィリピンでは、ライスオーキッドとも呼ばれている。

フレアティア・パレアタ
Phreatia paleata 
スラウェシ島~メラネシアの標高400~740m帯の熱帯雨林に着生する
18~30cmほどの花茎の先端に径5mmほどの花を多数咲かせる
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グロメラ・種名不詳
Glomera sp.
ニューギニア島に分布。グロメラ属としては日本初の開花株
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デンドロビウム・ヒルスタム
Dendrobium hirsutum
ヒマラヤ、アッサム、バングラデシュ、シッキム、ネパール、
ブータン、ミャンマー、中国南部(雲南)、ベトナムに分布
距が長く、茎に毛が生えているそうだ
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バンダ・トリコロル(バンダ・トリカラー)
Vanda tricolor
ラオスとジャワ、バリ、ロンボク、スンバワなどに分布
花径は5~7cm。香りが強い(石鹸臭?)。バンダでは珍しく、鉢植え可能
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デンドロビウム・カスバートソニー
Dendrobium cuthbertsonii
ニューギニア島の標高2000~3000mの雲霧林の中に分布する着生種
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 花径は3cm位。花色はきわめて変異に富み、白、黄色、桃色、橙、紅、紫など。ツートンカラーになる個体もある。開花期は夏から冬だが、個々の花の寿命が非常に長く、半年も咲き続けると言う。これは受粉の確率がごく低いためではないかとも言われる。

デンドロビウム・ラエビフォリウム
Dendrobium laevifolium
ニューギニア島、ソロモン諸島、サンタクルーズ諸島に分布
標高600~2300mの木の幹や岩に生える着生種
花径2~2.5cm。2~3ヶ月間、咲き続ける
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デンドロビウム・ブラクテオスム
Dendrobium bracteosum
ニューギニア島とパプアニューギニアのニューアイルランド島の標高500m
までの低地に分布する着生種。花色は白やピンク、紅紫色などがある
花の寿命が長い(5か月以上咲き続けることがある)。ラン展で良く見かける
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 11月6日撮影。

 まだまだ紹介したい原種ランがありますが、今回で終了とし、次回から、愛好団体の出展したランを紹介します。
(つづく)

この記事へのコメント

  • イッシー

    小さい花もかわいいですね~!
    10年前の写真、判りやすく綺麗に撮られてますね。
    花と言われても、小さすぎて分らない。。もランなんですね~!
    2021年11月12日 12:16
  • nobara

    リパリスは?が並んでるようにも見えますね(^o^)丿
    リパリス・ロンベア、可愛いですね
    セロジネ・フィンブリアタ、お花が複雑で
    何かのキャラ?のようにも見えます((((^Q^)/
    フレアティア・パレアタ、白花サクラタデ?かと見まがうほど。
    バンダでもこんな小さなお花のがあるんですね。
    原種ランの守備範囲の広さにびっくりです\(◎o◎)/
    2021年11月12日 13:38
  • 寿々木

    ランの花珍しい物を拝見しました。今年の秋の異常気象、キンモクセイの2度咲きばかりで無く。シンビジュウムにも影響が出ました。秋になると新しい葉が出て、古い葉が枯れるのですが、これが2度起きました。
    2021年11月12日 14:21
  • river

    これだけ多種多様の原種のランを見せていただくと改めてランの奥深さを感じます。今でも新しいランの発見を求めて捜し歩く人がいるのでしょうね。
    2021年11月12日 17:12
  • 秋月夕香

    こんばんは。ステキですね。いろんな色、形、それぞれに進化しているのですね。

    デンドロビウム・ラエビフォリウム、とてもやさしい色、可愛いお花です。長く咲くのがいちばんいいかも~です。
    2021年11月12日 17:56
  • なおさん

    リパリス類というと、日本ではクモキリソウ、スズムシソウ、ジガバチソウなどが思い浮かびますが、海外のものはずっと多彩で面白いものが多いですね。

     その他の種もデンドロビウムの類もあれこれあって面白いものですね。
    2021年11月12日 18:26
  • eko

    野生ランの展示だけでもおよそ200点とは凄いですね。
    リパリスやオベロニアのこんな小さな花もランなんですね。
    セロジネ・フィンブリアタはSF映画に出てきそうな異生物のように見えてしまいました。
    デンドロキルムの細長い花序も面白いですね。フレアティア・パレアタはシモバシラの花を見ているようです。
    バンダ・トリコロルのカラフルな花色も強烈です。香りも強いのですね。
    デンドロビウムの仲間も色々ありますね。ブラクテオスムの花期が長いのは嬉しいですね。
    2021年11月12日 20:22
  • 長さん

    イッシーさん、コメントありがとうございます。
    10年前の写真は会場の照明のお陰です。
    10cm以上の花が咲くランがあるかというと、虫眼鏡でもよく分らない花が咲くランもあります。
    2021年11月12日 20:49
  • 長さん

    nobaraさん、コメントありがとうございます。
    確かに1枚目のリパリスは横顔が音符に見えます。2番目のリパリスは人形みたい。
    セロジネ・フィンブリアタの1枚目は後ろの花が重なってしまい、新弁が複雑に見えてしまいました。
    フレアティア・パレアタ、白花サクラタデを連想させますよね。
    バンダは網目模様の花だけではないことを知っていただきたかったのです。
    2021年11月12日 20:55
  • 長さん

    寿々木さん、コメントありがとうございます。
    シンビジュウムに今年2回目の新葉が出たのですか?それは不思議ですね。
    2021年11月12日 20:58
  • 長さん

    riverさん、コメントありがとうございます。
    現在でもランハンターが多分いるのではないかと思いますが、日本でも、2019年に神戸大学などによって奄美大島で新種欄が発見されたそうですよ。
    2021年11月12日 21:04
  • 長さん

    秋月夕香さん、コメントありがとうございます。
    ランの生息地は環境の良くないところが多いので、花の色や形だけでなく、葉や根なども多様な進化をしなければ生き残れなかったと言うことです。
    2021年11月12日 21:08
  • 長さん

    なおさん、コメントありがとうございます。
    日本のリパリス類は花が昆虫に見えるものが多いですが、世界には面白いものが色々あるようです。2番目のリパリスなんかは人形にも見えますね。
    デンドロビウムも多彩です。育てるのが比較的簡単なので、ラン展でも良く目にします。
    2021年11月12日 21:12
  • 長さん

    ekoさん、コメントありがとうございます。
    3000種のうちから、この時期に咲いている200種ですから、かなりの数と言って良いでしょうね。
    リパリスを3種類並べましたが、それぞれ個性がありますね。
    セロジネ・フィンブリアタは唇弁の縁が細く切れ込んでいます。
    フレアティア・パレアタがシモバシラの花に見えましたか。サクラタデに似ているというご意見もありましたよ。
    バンダ・トリコロルはバンダ属の中では変わった花が咲きますね。
    花保ちが良いのは良いですが、ランの方としては花粉を囲んでくれる昆虫が来てくれるまで頑張らないといけないので、種の死活問題ですね。
    2021年11月12日 21:26
  • 月奏曲

    リパリスはちっこかわいいですねw

    バンダ・トリコロル、なかなか個性的w
    2021年11月12日 22:52
  • すーちん

    おはようございます
    熱帯でも標高2000mというと
    可なり温度は下がるところにも
    咲くんですねー
    2021年11月13日 08:27
  • 長さん

    月奏曲さん、コメントありがとうございます。
    リパリスの花は小さいです。2番目は人形みたいにも見えますね。
    バンダ・トリコロルはバンダ属の中でも変わった花です。
    2021年11月13日 10:10
  • 長さん

    すーちんさん、コメントありがとうございます。
    ランは熱帯樹林帯に分布するものが多いです。雨が多いところは雲霧林と言いますが、気温は低いでしょうね。
    2021年11月13日 10:12
  • ジュン

    これも蘭かと思えるものから
    美しい姿の蘭まで
    拝見させていただきました
    2021年11月13日 10:49
  • ロシアンブルー

    野生ランの着生種、小さな花はたくさん穂のように咲き
    目立たないですね。
    花の寿命が長い、受粉の確立が少ないということも納得
    出来ますね。
    ランの花って実に面白いですね~、人の顔に見えたり、
    人型に見えたり、どこかの国の人形に見えてしまったり
    興味が湧きます。
    2021年11月13日 10:53
  • 長さん

    ジュンさん、コメントありがとうございます。
    原種ランは極めて多様性に富んでいて、面白いです。私がラン好きになったのも、この多様性からです。
    2021年11月13日 12:21
  • 長さん

    ロシアンブルーさん、コメントありがとうございます。
    こんなに小さな花が咲くラン、送粉者はどんな昆虫なのでしょうね。近くに昆虫が来てくれれば良いですが、昆虫が極めて少ないと、長く咲き続けて、来るのを待つしかないわけですね。
    ランの花は多様性に富んでいるが故に、人型に見える品種も色々ありますよ。
    2021年11月13日 12:24

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