2021年秋つくば蘭展にて(4) つくばコレクションから(4) 今年のおすすめラン⑥ など

 11月6日に見に行った「つくば蘭展」(会期は10/31~11/7)で見たランの花を紹介しています。
 今回も、つくば植物園がコレクションしている野生ランの展示からです。つくば植物園には約3000種類もの野生ランが収集されていて、保存、研究、増殖が行われています。


バーケリア・スカンデンス
Barleria scandens 今年のおすすめラン⑥
メキシコの標高1000〜1900mの亜熱帯林に分布する着生種。花径は2~3cm
IMG_7980.JPG
 うどんのように太く、枝分かれしない根で、木や岩をよじ登る着生種。秋に落葉し、半年くらい休眠するので、雨が降らない期間が長い地域に分布しているそうです。鉢に植えると湿りすぎて腐るので、木の棒などに着けて根を空中に晒し、風と光にしっかり当てると元気に育つという。バーケリア属はカトレアと近種だそうだ。

以下は、南、北、中央アメリカに分布する原種ランです

オクトメリア・種名不詳
Octmeria sp. ブラジルに分布(オクトメリア・ロブスタに似ている)
オクトメリア属は中南米、西インド諸島に約150種確認された着生種
IMG_7978.JPG

エピデンドラム ベロスクリプタム
Epidendrum veroscriptum
メキシコ、ニカラグア、コスタリカの標高700〜1700mに分布する着生ラン
IMG_7974.JPG

プラティステレ・ステノスタキア
Platystele stenostachya
メキシコ~熱帯アメリカに分布する、超小型の花が咲く着生種
IMG_7972.JPG

ワーセウイッツェラ・マルギナタ
Warczewiczella marginata
コロンビア、ベネズエラ、パナマに分布。花径7.5cm
IMG_7969.JPG

ドラクラ・アフロデス
Dracula aphrodes コロンビアの標高1800〜1900mの雲霧林に分布
不気味な花は猿の顔のようにも見える。属名は、花が吸血コウモリを
思わせることから、吸血鬼として名高いドラキュラ伯爵にちなんだ
IMG_7967.JPG

マスデバリア・リギアエ
Masdevallia ligiae コロンビアに分布
IMG_7964.JPG

マスデバリア・コッキネア
Masdevallia coccinea コロンビア標高2500mまでの地域に生える地生種
花径は3.5~7.5cm
マスデバリア属は花の形が面白く、美しいので、ラン展には良く登場します
IMG_7962.JPG

マスデバリア・ルゴシラビア
Masdevallia rugosilabia ペルーの標高2000m辺りで発見された
IMG_7957.JPG

マスデバリア・ヒルツィイ
Masdevallia hirtzii エクアドルの標高1200〜1550mの雲霧林に分布
マスデバリア属としては小型の品種。花径は6cm 
IMG_7955.JPG

プロステケア・ビテレナ
Prosthechea vitellina 
メキシコ~ホンジュラスの標高1400〜2600mに分布する着生種
花が美しいので、ラン展では時々見かけます
IMG_7950.JPG

シシュワインフィア・プシラ
Cischweinfia pusilla
コスタリカ~コロンビアの標高600〜1000mに分布。花径2~3.75cm
IMG_7946.JPG

エリキナ・プシラ
Erycina pusilla メキシコ~南アメリカに広く分布
標高500~650mの木の枝に着生する。花径は2.5cmほど
IMG_7942.JPG

ミルトニオプシス・ビスマルキイ
Miltoniopsis bismarckii
ペルーの高度1000mの熱帯雨林に分布。花径3.5cm
IMG_7940.JPG
 11月6日撮影。
(つづく)

 9日は雨で予定の場所に行けませんでしたが、ホテルの温泉と、10日の立ち寄り湯でのんびりしてきました。

この記事へのコメント

  • オグリ君

    長さんご無沙汰しています。
    Blogは毎日見させていますが、体調が悪いと聞いていたのでコメントは差し控えていました。当方も同年齢位なので無理しないようしてます。無視せずにご自愛ください。
    ところで今日こんなWebを見ました!・・花を大事にする長さんにとっていかがお思いになりますか?
    参考まで(東京永田町で大量の胡蝶蘭がゴミ箱に捨てられいり!・https://news.yahoo.co.jp/pickup/6409447
    侘しい感じがしますね Byオグリ
    2021年11月11日 16:40
  • なおさん

    3000種もランを収集しているとはスゴイですよねえ。それぞれ生育環境も違うのでしょうから、それぞれ好ましい環境に近付けて育てるのも大変なことでしょう。全部のランが見事に咲くのかどうかは?ですが、美しく咲いたものを見せてくれるのはありがたいですね。

     雨で予定が狂ったとしても、湯治目的でのんびりする、というのも良さそうですよねえ。
    2021年11月11日 17:20
  • river

    愛好家は花が美しいか、花形に著しい特徴があり鑑賞が出来るかどうかで選ぶのでしょう。ここは研究が目的でしょうから展示会では見られないランも観られるようですね。
    2021年11月11日 18:54
  • 信徳

    色々なランが有るものですね。
    最後から二番目はオンシジュームに似ています。
    原種から作り出されて行くランが沢山有るのでしょう。
    2021年11月11日 19:16
  • eko

    約3000種類もの野生ランがあるんですか。それぞれの環境に合わせて育てるのも大変でしょうね。
    ドラクラは猿の顔に見えるとメジャーになりましたね。不思議な花です。
    マスデバリア・コッキネアはランとは思えないような花姿ですが、色鮮やかで綺麗です。
    エリキナ・プシラはオンシジュームに似た花ですね。
    最後のミルトニオプシス・ビスマルキイが綺麗ですね。
    雨で予定の場所に行けなかったのは残念でしたが、ホテルの温泉や立ち寄り湯でのんびり出来て良かったですね。
    2021年11月11日 19:47
  • 長さん

    オグリ君さん、コメントありがとうございます。
    骨折や捻挫ですから、歩けなかったりしたことはありますが、ブログの更新は2回休んだだけでした。ブログにも書いたように、私には軽い障害があるので、今後とも気をつけたいと思います。
    ご紹介の記事を読みました。コチョウランは贈答品の定番ですが、捨ててしまうなんて勿体ないことをしますね。けしからん事です。名札を外して、福祉施設なんかに寄付すれば喜ばれるし、名前を売ることだって出来るのにね。
    2021年11月11日 21:23
  • 長さん

    なおさん、コメントありがとうございます。
    この植物園にはラン関係だけで何人の学芸員や職員がおられるのかは知りませんが、それぞれ環境の異なる場所で生育してきたランですから、それぞれにあった育て方をするのは大変なことだと思いますよ。物によっては、10年育ててやっと花が咲いたなんて言うものがありますから、努力が結ばれたという喜びもあるでしょう。
    今までの1泊温泉旅行より、長い時間、温泉に浸かってきましたよ。
    2021年11月11日 21:28
  • 長さん

    riverさん、コメントありがとうございます。
    愛好家はご自分の好みに合った花が咲くランを主に育てておられますが、中には原種中心という方もおられるようです。
    ここは、研究目的ですから、花の善し悪しはあまり問題にならないようですが、こうした展示には向かないような品種も多いでしょうね。
    2021年11月11日 21:31
  • 長さん

    信徳さん、コメントありがとうございます。
    最期から2番目のエリキナ・プシラは確かにある種のオンシジュームに似ていますね。エリキナ属とオンシジューム属は分布域が重なりますが、生息域は多分異なっていると思います。
    ランは属内交配は勿論のこと、容易に属間交配が可能ですから、膨大な新品種が作り出されており、人口属もどんどん増えています。
    2021年11月11日 21:39
  • 長さん

    ekoさん、コメントありがとうございます。
    つくば植物園のラン担当スタッフの皆さんは相当苦労されていると思いますよ。
    ドラクラ属の中で、猿に顔に最も似ているのはドラクラ・シミアなのですが、今回は展示がありませんでした。
    マスデバリア属は花の形が変わっている上、派手な色ですから、育てている愛好家の方も多いと思われます。
    エリキナ・プシラは一部のオンシジュームに似ていますが、ランの中にはこうした「他人のそら似」も多いようです。ミルトニオプシスの仲間の中には菫に似たような花が咲くものがありますよ。
    雨では仕方ないですが、その分、温泉に浸かる時間が長く出来ました。
    2021年11月11日 21:49
  • ロシアンブルー

    野生ランのコレクション、3000種類ものランを保存・研
    究されているのも凄いことですね。
    お陰で展示され知ることができるわけですね。
    最初のランはうどんの様な根が岩をよじ登る着生ラン、
    ちょっと不気味、でも花を見てホッとします。
    マスデバリア属、変わった花ですね、エリキナ・プシラ
    人形の様です。
    2021年11月11日 22:08
  • 月奏曲

    マスデバリア・コッキネア、これ色も鮮やかで綺麗だし形も面白いですねぇ

    エリキナ・プシラ、土偶みたいw
    2021年11月11日 22:19
  • うふふ

    どのお花も美しいですね。
    野生ランが3000種類も収集されているのに驚きますが、保存、研究、増殖をなさるのですから素晴らしいです。
    いろいろご苦労もあるのでしょうね。
    おかげ様で楽しく拝見いたしました。
    箱根は雨でしたか。
    残念でしたけれど、ゆっくりできたのは良かったかもしれませんね。
    2021年11月11日 22:22
  • 長さん

    ロシアンブルーさん、コメントありがとうございます。
    世界の野生ランは15000種といわれていますから、その2割に当たるわけで、凄い数です。勿論、日本で最多の収集数です。
    うどんのような根というのはつくば植物園の研究者の表現ですが、面白いですね。
    マスデバリア属の花はそれぞれ個性的でバラエティに富んでいます。これぞラン科の植物と言っても良いでしょう。
    エリキナ・プシラ、黄色いスカートを履いていますね(笑)。
    2021年11月11日 22:24
  • 長さん

    月奏曲さん、コメントありがとうございます。
    マスデバリア属の花は個性的ですね。これは赤ですが、黄色やピンク、オレンジ、白など花色もバリエーションに飛んでいます。
    エリキナ・プシラ、土偶と来ましたか(笑)。
    2021年11月11日 22:28
  • 長さん

    うふふさん、コメントありがとうございます。
    3000種類ものランを育てるにはスタッフの数もかなり多くなければ出来ませんよね。
    種類によっては咲く時期が異なりますから、今回は秋に花が咲くものが並べられたのだと思います。
    伊豆の熱川に行く予定でしたが、雨で断念しました。箱根は午後2時頃には雨が止みましたが、早めにホテル入りしました。
    2021年11月11日 22:33
  • イッシー

    標高の高いところのランが多いんですね。
    着生らんってすごいな~。スデバリア・コッキネアとか、
    名前は覚えられそうにないけれど。。。
    2021年11月11日 23:09
  • nobara

    バーケリア・スカンデンスって不思議な生態なんですね。
    原種ランはこれがすべての原点のようなかんじですね。
    和種にも似たようなのがありますね。
    ランの中にはドラキュラみたいな悪魔みたいなのも
    おおいような気がしますが。どうなんでしょ?

    9日はどっこも、あいにくの雨でしたね。
    私もジムの往復でかなり濡れてしまいました。
    でも温泉♨でゆったりがい佳かったですね。
    2021年11月12日 08:31
  • すーちん

    おはようございます
    ユックリされて良かったです
    原種は良いですねー
    知人が蘭の原種ばかり育ててます
    2021年11月12日 09:02
  • 長さん

    イッシーさん、コメントありがとうございます。
    ランは地球上の植物の中では最も後発で、平地では生きていく場所がなかったので、条件の悪い高地や密林の中でしか生息できませんでした。高地の密林では地上に光が届かないので、木に着生するようになりました。
    ランの名前は私も覚えられません。
    2021年11月12日 11:01
  • 長さん

    nobaraさん、コメントありがとうございます。
    ランは平地では生きる場所が残されていなかったので、圧倒的に着生種が多いです。バンダなんかも鉢植えだと根腐れします。
    確かに、ランは綺麗なものばかりではないですが、展示するには不細工な物は並べにくいでしょうね。
    ホテルに早めに入り、温泉にゆっくり浸かりましたよ。翌日は立ち寄り湯に2時間半滞在しました。
    2021年11月12日 11:07
  • 長さん

    すーちんさん、コメントありがとうございます。
    初日は雨にたたられましたが、午後はゆっくりのんびりで、かなり気分転換できましたよ。
    カトレアのようなに華やかな原種もありますが、地味でも味わいのあるものもありますからね。
    2021年11月12日 11:10
  • 秋月夕香

    こんばんは。 今回は奇抜なデザインのお花が多いですね。
    驚きの形です。でもしぜんは色々生むのですね。
    プロステケア・ビテレナ~美しいですね。
    2021年11月12日 17:52
  • 長さん

    秋月夕香さん、コメントありがとうございます。
    ランの多様性の一端がご理解いただけたのなら、原種の色々を投稿した甲斐があったという事ですね。
    2021年11月12日 21:06

この記事へのトラックバック