2021年秋つくば蘭展にて(1) つくばコレクションから(1) 今年のおすすめラン①~③ など

 まだ右足はかかと歩きしていますが、車の運転が出来そうなので、11月6日に妻と「2021つくば蘭展」を見に行ってきました(HPはこちら)。会期は10月31日(日)から11月7日(日)で、予定では11月2日に行く予定でしたが、ランは大好きなので、どうしても見ておきたかったのです。
 11月6日は土曜日だったので来園者が多く、駐車場が満杯で、植物園の北側にある研究棟の駐車場に案内されました。


「つくば蘭展」のチラシです
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 会場は、熱帯資源植物温室内で愛好団体が出品された作品の展示、多目的温室でつくば植物園の野生ランコレクションの展示に分かれています。
 今回は、つくば植物園の野生ランコレクションの展示からご紹介しようと思います。


多目的温室の展示の表示です
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ディモルフォルキス・ベッカリー
Dimorphorchis beccarii 今年のおすすめラン①
ニューギニア島の低地の木や岩の上で、直射日光が当たる場所に着生
現地では葉の長さが1.5m、花茎が5~7mになり、巨大ランの部類
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↑ のっけからピンずれ写真でお恥ずかしい
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 ショクダイオオコンニャクを発見したイタリアの探検家・ベッカリが発見したので、学名は彼に因む。古今東西の研究者で最も多くのランの新種を発表したルドルフ・シュレヒテルをして「これまでに出会った最も奇妙なラン」と言わしめた種です。
 国内の植物園での展示は珍しく、つくば植物園では10年目にやっと開花した。その時の花茎に、3年目の今年も花を付けている。花は1か月くらい咲き続ける。ボルネオ島にはディモルフォルキス・ローウィ(Dimorphorchis lowii)が分布。ディモルフォルキス属はバンダやフウランの近縁種。


パフィオペディルム・サンデリアヌム
Paphiopedilum sannderianum 今年のおすすめラン②
ボルネオ島低地の一ヵ所、石灰岩の崖のみに分布する希少種
世界で最も長い花のひとつで、花弁の長さは1mに達することがある
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 ちょっとした風でも揺れる花弁はきらめいて目立つので、何らかの昆虫を誘うと考えられているが、昆虫は特定されていない。また、何故こんなに長く進化したのかも未解明。
 1885年に発見された後、100年近く誰も見つけられなかったので、一時は存在自体がフィクションとされていた。
 パフィオペディルムはクマガイソウやアツモリソウの近縁種。


以下、アジアに分布するパフィオペディルムの原種を紹介します。

パフィオペディルム・プリムリヌム
Phafiopedikum primukinum
スマトラ島北部の標高500-1500mに分布
同属のリーミアヌムに似て、黄色い花を付ける。この種の変種とすることも
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パフィオペディルム・アリーアヌム
Paphiopedilum areeanum
中国南西部~ミャンマー北部に分布
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パフィオペディルム・プリムリヌム・プルプラスケンス
Paphiopedilum primulinum purpurasscens
スマトラ島の平地から標高500mの地域に生える地生種
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パフィオペディルム・スピケリアヌム
Paphiopedilum spicerianum
中国(雲南省)~ブータンの標高300~1300mの山地に生える地生種
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パフィオペディルム・カロスム
Paphiopedilum callosum
インドシナ~マレー半島の標高300~2000mの山地に生える地生種
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パフィオペディルム・ディアンツム
Paphiopedilum dianthum
中国南部、ラオス、ベトナムの標高500〜1450mの
湿った石灰岩地帯の森林に分布する地生種
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パフィオペディルム・ミクランサム
Paphiopedilum micranthum
中国南部とベトナム北部の国境地帯にある狭い地域にのみ自生する
地生種で、石灰岩地帯の山間の森林に分布する。膨らんだ芯弁が特徴
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コリバス・ピクツス
Corybas pictus 今年のおすすめラン③
スマトラ島、ボルネオ島、ジャワ島の山地の雲霧林で、森に苔が生える
ような場所に分布する。地中に球茎があり、落葉後は休眠する
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 奇抜な花の形はきのこに擬態していると考えられているが、検証はまだ不充分。しかし、コリバス属のオーストラリアやニューギニアに分布するいくつかの種にはキノコバエがやってきて花粉を運ぶことが観察されている。

 11月6日撮影。
(つづく)

 昨晩、手違いで、作成中の記事が投稿されてしまい。一部の方に見られてしまいました。

この記事へのコメント

  • なおさん

    体の調子が万全でなくとも、好きなものなら見ておきたいですよね。ラン好きな方なら、見ずにおくとかえって欲求不満のイライラがつのり、精神衛生上はよろしくないですかねえ。
    2021年11月07日 12:10
  • eko

    今年もラン展の季節ですね。ご不自由な足でも行かれたのですね。好きなランを見れば気分も晴れますね。
    世界の野生ラン、どれも個性的ですね。ディモルフォルキス・ベッカリー、葉の長さが1.5m、花茎が5~7mの巨大ラン、何と表現していいのか、奇妙すぎます。
    リボンのような花弁の長さが1mのパフィオペディルム・サンデリアヌムは可愛いですが、不思議な花姿です。
    コリバス・ピクツスはきのこに擬態しているんですか?
    不思議なランばかり、一堂に見られるのは良いですね。
    2021年11月07日 15:53
  • river

    パフィオペディルム・サンデリアヌムのポリネーターは一体どんな虫なのでしょうか?長く伸びた花弁がなんとも不思議ですね。
    ランは不思議な花形のものが多いですがコリバス・ピクツスも例外ではないですね。
    2021年11月07日 16:40
  • イッシー

    珍しいランが目白押しで凄いですね。
    流石に見たことの無いようなのばっかりです。
    かかと歩きでの撮影行をされましたか!
    奥様心配されませんですか。
    まあ、言っても聞かないでしょうけれど。爆
    2021年11月07日 17:52
  • 月奏曲

    あまり無理なされないように…とはいえリハビリも大事なんですよねぇ…

    なんか変わったランがいっぱいw
    ディモルフォルキス・ベッカリー、これもランの仲間なんだw

    パフィオペディルム・サンデリアヌム、これも変わってますねぇ…なんでこんなに長いのかwなにか理由あるんでしょうけどねw
    2021年11月07日 18:02
  • 信徳

    かかと歩きでも好きなのは止められませんか。十分注意して
    間違っても転倒などしない様にユックリと歩いて下さい。
    パフィオペディルムは色々な奇形がありますね。
    2021年11月07日 19:02
  • はるる

    ランがお好きなので、お気持ちはよくわかります。
    行くことができてよかったですね。
    気分も落ち着いたのではないですか。
    ラン、驚きながら拝見しています。
    いつもながら美しいですし、変わった姿も楽しめます。
    2021年11月07日 19:30
  • コスモスコスモス

    かかと歩きでも車の運転はできましたか。
    大好きなラン展が見られて良かったですね。
    多少の不調があっても、好きなものは見たいですね。
    珍しいというより奇妙なランばかりですね。
    葉の長さが1.5mに、花の長さが1mにもなるものがあるんですね。
    クマガイソウやアツモリソウの近縁種と言われると、納得しますけど。
    2021年11月07日 20:45
  • 長さん

    なおさん、コメントありがとうございます。
    仰る通りです。日に日に良くなっている感じがするので、運転は片道だけと言うことで行くことにしましたが。
    やはり大好きなランを見ると、うっとうしさを忘れます。
    2021年11月07日 21:02
  • 長さん

    ekoさん、コメントありがとうございます。
    ラン展会場はさほど広くないですから、この日のそう歩行数は2000歩ちょっとで、負担にならずに済みました。
    ランはとても変化に富んでいますね。それが好きになった理由の一つでもあります。
    きのこに擬態するなんて、面白すぎる進化ですよね。
    2021年11月07日 21:05
  • 長さん

    riverさん、コメントありがとうございます。
    パフィオペディルム・サンデリアヌムは螺旋状の花弁が揺れて昆虫を誘うのではと考えられていますが、そのポリネーターは分っていないようです。
    コリバス・ピクツスはきのこに擬態するなんて、人間が考えも付かない特異な進化をしたものですね。
    2021年11月07日 21:10
  • 長さん

    イッシーさん、コメントありがとうございます。
    この植物園には原種ランが3000種も集められているそうで、変わったものも大変多いです。
    足の痛みはかなり和らいできたので、運転をしてみました。片道1時間ですが、大丈夫でしたよ。
    2021年11月07日 21:12
  • 長さん

    月奏曲さん、コメントありがとうございます。
    足の使い方もコツを掴めは何とかなるものです。
    ディモルフォルキス・ベッカリーは草なのに、花茎はまるで木のような性質を持っているんです。
    パフィオペディルム・サンデリアヌム、螺旋状の長い花弁は風に揺れて光を反射することで昆虫を誘っているのではないかと考えられています。
    2021年11月07日 21:16
  • 長さん

    信徳さん、コメントありがとうございます。
    2つの温室内を歩くだけなので、それほど足には負担がかかりませんでした。勿論、移動は足下を見ながらでしたよ。
    パフィオペディルムだけでも、ランは変化に富む植物だと言うことが分かりますね。
    2021年11月07日 21:19
  • 長さん

    はるるさん、コメントありがとうございます。
    大好きなランですから、足のことなんか忘れて一生懸命写真を撮りましたよ。
    ランは変化が多様な植物だというのは。この記事だけでもご理解いただけるのではないでしょうか。
    2021年11月07日 21:21
  • 長さん

    コスモスさん、コメントありがとうございます。
    ブレーキはかかとで、アクセルもやんわり足首を曲げれば良いので、運転は可能なことが分りました。
    大好きなランですから、名札を含めて、写真を700数十枚も撮っていました。
    花弁が細長く垂れるパフィオペディルムや、唇弁が袋状になったパフィオペディルムは愛好団体のラン展でも良く目にする人気の品種なんです。
    2021年11月07日 21:25
  • ロシアンブルー

    ご紹介のどのランも見たことのない奇妙な花ですね。
    それぞれの地域で自生する珍しいラン、つくば植物園が
    育てたランなのでしょうか。
    お好きなランから癒しと元気を頂きましたね。
    2021年11月07日 22:15
  • 長さん

    ロシアンブルーさん、コメントありがとうございます。
    好きなもの見たさで行ってみましたが、仰る通り、元気をもらいましたよ。
    つくば植物園では3000種類以上の野生ランを収集して、保全、研究、繁殖を行っています。
    2021年11月07日 22:43
  • すーちん

    おはようございます
    原種ですか
    原種には興味ありますねー
    2021年11月08日 08:47
  • 長さん

    すーちんさん、コメントありがとうございます。
    原種ランは綺麗なものばかりではありませんが、変化に富んでいて、とても興味がありますよ。
    2021年11月08日 09:15
  • nobara

    長さんのランに対する執念?を感じました(^o^)丿
    奥様も運転して下さるのも後押しして下さってますね。
    おみ足も具合もさることながら、
    好きなモノと対峙するのは精神衛生上、良いですね。
    それにしても会期が短い?こんなモノなんですか?
    その会期中に開花を合わせるなんてスゴ技ですね。
    コリバス・ピクツス、凄く変わってますね\(◎o◎)/ピックリ\(◎o◎)/
    しっかりしたレポ、見させて頂きました。
    2021年11月08日 11:36
  • 長さん

    nobaraさん、コメントありがとうございます。
    ネタも尽きたので、大好きなランだけは見ておきたいと出かけてきました。足の具合が良ければ、他の音質や屋外の花や実も撮りたかったのですが・・・。
    つくば植物園の原種ランコレクションは3000種もあるそうなので、今の時期に咲いている品種を展示したものと思われます。
    愛好団体が出展した花は既に痛んだり、落ちてしまったものもありましたよ。秋は会期に合せるように咲かせるのは難しいのでしょう。
    コリバス・ピクツス、きのこに擬態するなんて、面白すぎ。
    2021年11月08日 11:53
  • 無門

    こんにちは

    ニューギニア島とボルネオ島では
    植生も違いますが
    蘭の花はそのボーダーも
    軽く超えてしまうのかもね
    2021年11月08日 16:51
  • 長さん

    無門さん、コメントありがとうございます。
    ランの種はごくごく小さなものだそうで、風に乗れば海を渡ることは容易なのでしょう。着いた先で条件が合えば育つのでしょうね。
    2021年11月08日 18:16

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