サザンカは日本を原産地とし、ツバキとともに冬枯れの季節に庭を彩る数少ない植物で、現在でも約300もの品種が知られています。くらしの植物苑では約140種・300鉢のサザンカを育てていますが、それらは2000年に、東京農工大学によって収集・維持されてきた主要な系統を寄贈されたものが主体になっています。
サザンカの園芸品種は、開花の時期、花の形、樹性などの違いから、大きくサザンカ群、カンツバキ群、ハルサザンカ群、タゴトノツキ群という4つのグループに分けられています。
4つのグループとツバキの主な特性を、くらしの植物苑で頂戴した資料を基に纏めてみました。画像クリックでPDFが開きます。
今回は展示数が少なかったタゴトノツキ群とハルサザンカ群、及び、サザンカ群の一部を紹介します。
タゴノトツキ群
中国原産の「油茶」の系統を引くものと考えられています。園芸品種は少なく、古くから知られているものは「田毎の月」ただひとつです。
ハルサザンカ群
サザンカとヤブツバキの自然交雑により生まれたと考えられています。その名前が示すように、開花の時期が遅く、初冬から春にかけて、一重や八重、千重咲きまで、多様な花を咲かせます。樹形も、立性から横張性まで様々です。
取材日(12/16)には開花数鉢が少なく、2種類のみ紹介します。会期は1月末までなので、追加取材したいと思います。
サザンカ群
秋から冬にかけて、一重~二重の花を咲かせます。大輪花も多く、また、「江戸サザンカ」の代表的なものもこの品種群の仲間です。生態、形態的には、サザンカの自生種に近いグループで、樹形も自生種に似て、多くは立性です。
羽衣
白地に淡紅ぼかし、一重、平開咲き、中輪、11~12月
クリムソンキング
濃鮮紅色の一重、海外品種
磯千鳥
桃色、一重~二重、平開咲き、中輪、11~12月、よく分枝し枝密生
天女の舞
ナバホ(ナバジョ)
白地に濃紅の覆輪が鮮明に入る八重の中輪、11~12月、海外品種
これは花弁に白がないが、枝変り?
朝日鶴
白地に濃紅ぼかし、弁数の多い一重、大輪、11~12月
華子姫
白地にピンクの覆輪のぼかし、花弁の少ない八重、中輪、11月~12月
明月
白地に紅ぼかし、一重、中輪、11~12月
12月16日撮影。白地に淡紅ぼかし、一重、平開咲き、中輪、11~12月
クリムソンキング
濃鮮紅色の一重、海外品種
磯千鳥
桃色、一重~二重、平開咲き、中輪、11~12月、よく分枝し枝密生
天女の舞
ナバホ(ナバジョ)
白地に濃紅の覆輪が鮮明に入る八重の中輪、11~12月、海外品種
これは花弁に白がないが、枝変り?
朝日鶴
白地に濃紅ぼかし、弁数の多い一重、大輪、11~12月
華子姫
白地にピンクの覆輪のぼかし、花弁の少ない八重、中輪、11月~12月
明月
白地に紅ぼかし、一重、中輪、11~12月
(つづく)
この記事へのコメント
目黒のおじいちゃん
サザンカ科4群とツバキ科の特性比較。
年初に素晴らしいレポを拝見させて頂きました。
秋月夕香
ご近所の山茶花はそろそろ、お花が枯れたのが目立ってきましたが、まだまだですよね。
寿々木
river
タゴノトツキ群は確かに「田毎の月」が有名ですが「銀宝」と言う品種もあります。
日本にはもう一つ別のヒメサザンカ(ルッチェンシス)(奄美大島から西表島に分布)と言うのがあります。別名が「香り椿」とも呼ばれるもので芳香があります。ツバキでもサザンカでもない別種扱いですが最近気になっています。家にある「エリナ」もヒメサザンカのような気がします。
nobara
田毎の月?があるなんて@@ びっくりしました。
品種ではなく、分類されているんですね。
なんだか、奥ゆかしい名前ですね。
棚田のそれぞれの田に映る月を連想します。
そういう企画でもないと?
なかなか分類するなんて思いもよりませんが・・
おもしろい企画ですね。
数えるぐらいしか知りませんから~((((^Q^)/
我が家にはありふれた、山茶花が咲いています。
虫害に対応してトピアリーに仕立てています。
フローティングが綺麗です。
私も深皿に水を張っていろいろ浮かべるのが好きです。
しばらく楽しめますね(Xmasローズなど)
イッシー
花を見てパット違いが判りません。カタカナの名前のって
なんとなく山茶花っぽい名前じゃあいけれど(笑)
そんなことより、まとまって咲いているところは当面閉鎖・・。
市井の綺麗そうなのを写真で拾い歩くしかなさそうですね。
長さん
半月以上も前の写真で恐縮です。コラナ禍で取材先が限られてきたので、少し詳しくしてみました。
長さん
サザンカは銘があるものだけで300品種もあるそうで、その半分近くがここで見られますが、行った時はまだ咲いていない品種もありました。品種群によって咲く時期が少しずれていますね。
長さん
年が明ければツバキも本格的に咲き始めますね。サザンカの次はツバキの色々を投稿しようかと思っています。
長さん
この植物苑にも「銀宝」があるのですが、早咲きで11月中旬頃には咲いているそうです。
この植物苑では、ヒメサザンカをツバキに分類しており、2月頃ならみられるようです。
なおさん
こじんまりと鉢植えで展示してあると、違いを見比べるのも容易ですね。武蔵丘陵森林公園のは地植えですので、自然らしさはありますが、見て回るのがタイヘンです。
長さん
サザンカは4つのグループに分けるそうです。タゴトノツキ群では代表的な「田毎の月」しか咲いていませんでしたが、収集品種には「銀宝」があるそうです。
流通しているサザンカにもそれぞれ名前があったようですが、長い間に分らなくなったものが多いそうです。
花を見ずに浮かべておくと、長持ちするのかも知れませんね。
長さん
花を見て品種名まで分る人は少ないと思いますよ。カタカナ名のものはアメリカなど海外で作られたものです。
この植物苑は1月5日から開苑しますが、佐倉だと遠いですよね。
長さん
この植物苑は研究機関でもあるので、資料も詳しいものが頂けます。
保存している品種が多いですから、地植えにしたら相当広い場所が必要ですよね。その点、鉢植えなら動かすのも簡単で、広い展示場所を用意する必要も無いですものね。
月奏曲
星飛龍がなかなか素敵
この分類のPDFファイルいいですね、勉強になります。
緊急事態宣言、今更出されてもねぇ…出すなら12月のgoto停止のタイミングでよかったじゃんとしか…
共通テスト直前でゴチャゴチャされて受験生可哀相…
あと私も仕事増えて可哀相
eko
サザンカも奥が深いですね。海外品種まであるんですね。
名前を見ながら鑑賞するのも楽しいですね。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
長さん
タゴトノツキ群は元々品種が少なかったのです。この植物苑には田毎の月と銀宝があるのですが、銀宝は咲き終わったみたいです。
我々素人はどの群に入るのか、ツバキとどこが違うのかが良く分らないので、この表は少しは役立つかも。
コロナで仕事が増えましたか。菅内閣は全てが後手後手ですね。要するに、器じゃないんですよ。
私の孫は今年高校受験なんです。
長さん
ツバキも品種が多いですが、サザンカも多いですね。
海外ではアメリカで栽培が盛んなのだそうです。
うふふ
驚きました。
サザンカとカンツバキしか知りませんし、どれがサザンカでどれがカンツバキなのかも良くわかっていません。
これからはサザンカの垣根を通る時は心して見ることにします。
なんて・・ウソです(笑)
良く見てもきっとわからないですもの。すみません。
すーちん
椿が咲いてきました
ニオイ確かにしません
近くの公園に
サザンカ咲いてるので
チョッと嗅いでみようと
思います^^
コスモス
タゴノトツキは初めて見ました。
この表も先日お聞きしたもののエクセル版ですね。
エクセル表は不鮮明なので、より鮮明に見えるPDFを貼り付けておくというわけですか。
この表は保存させてもらいました。
長さん
サザンカを4つのグループに分けることが出来るというのは数年前に知りました。しかし、実物を見て度のグループに入るかを見分けるのは、素人には難しいことです。今回からシリーズで色々投稿しますから、ご覧になったものに似ているものを探してみてください。
長さん
椿が咲き出しましたか。我が家の近所のツバキは皆、つぼみなので、今日は車に乗って取材に行ってきます。
長さん
田毎の月は名前を知っていましたが、私も実物はここで初めて見ました。
エクセル表は普通に印刷すると罫線や文字が細いので、見易くありません。それで、PDFに変換する際、拡大印刷をしています。
草凪みかん
正直驚きました。
「山茶花」という字をあててますが、お茶の木も同じツバキ科。でも茶畑ではお茶の花が咲くと摘んでしまうんですよね、花に栄養を取られていい茶葉が育たないのだそうで…。
長さん
名前が分るサザンカは約300品種、そのうち140品種がここにあるそうです。
中国語で山茶花はツバキ科の植物一般を指す名前だったのだそうですが、日本では何故かサザンカを指すようになったのだそうですよ。
信徳
今年も宜しくお願い致します。
サザンカ展ですか、一度に色々なサザンカを鑑賞できるのは良いですね。この時期草花が無くて苦労しています。
長さん
ここは地植えではないので、多くの鉢植えが展示されており、効率よく取材が出来ました。
冬は花が少ないでうね。ラン展もないので、取材先を探すのが大変です。