つくば植物園では研究と保全のため約3,000種のランを育てており、世界有数のラン科研究施設として知られています。つくば蘭展では、その中から、今の時期に花が咲いているものを選んで、約200点が展示されました。
サトイモ科のカラスビシャクのような、ランとは思えない不思議な花です。花の中から舌をペロッと出しているのが花弁の1枚、唇弁です。ここから出る化学物質にだまされたキノコバエの雄は、花を雌と勘違いしてつかまり、交尾しようとします。その拍子に唇弁が後ろに倒れ、もがいて隙間から出ようとする雄の体に花粉が付きます。カラスビシャクの仲間もキノコバエなどをだまして受粉に利用するので、両者の「他人のそら似」はキノコバエをだますという同じ理由だったと分ります(植物園の説明から)
プテロスティリス・パプアナ
Pterostylis papuana ニューギニア島に分布

プテロスティリス・オブトゥサ
Pterostylis obtusa オーストラリア北東部、タスマニア島に分布

キバナシュスラン(黄花繻子蘭)
Anoectochilus formosanus
台湾、琉球列島に分布(八重山諸島は北限)。絶滅危惧1A類
小さな花です。唇弁が魚の骨みたいで面白いです

ヨウラクラン(瓔珞蘭)
Oberonia japonica 日本(宮城県以南)、朝鮮半島、中国福建省に分布
花序の垂れ下がる様を瓔珞(インドで貴族が身につける装身具)になぞらえた

コリバス・セルペンティヌス
Corybas seroebtunus ボルネオ島に分布
ランには珍しい球根植物です。葉に筋があり観葉植物にもなります

ハベナリア・ロドケイラ
Habenaria rhodocheila 原産はマレー半島~中国南部 花期は夏から秋
サギソウはこの仲間に分類されることがあります


ハベナリア・クルキアタ近似種
Habenaria aff. cruciaata バヌアツに分布
上のロドケイラと同属とは思えないような、小さな花です
この株は園内でいつの間にか生えたものだそうです

カランテ・アルゲンテオストリアタ
Calanthe argenteostriata 中国南部に分布
ハベナリア・ロドケイラに唇弁が似ていますが、エビネの仲間です

スパトグロッティス・アフィネス
Spathoglottis affinis インドシナ半島~ジャワ島に分布
日本産のコウトウシラン(紅頭紫蘭)の仲間です

スパトグロッティス・ポルトゥスフィンスキイ
Spathoglottis portus-finschii ニューギニア島に分布

スパトグロッティス・グラキリス
Spathoglottis gracilis マレー半島~ボルネオ島に分布

スパトグロッティス・種名不詳
Spathoglottis sp. フィリピンに分布

クレピディウム・メタリクム(=マラクシス・メタリカ)
Crepidium metallicum (=Malaxis metallica) マレー半島、ボルネオ島に分布
小さな花です。最初からこのような濃い銅葉色だそうです

(つづく)
この記事へのコメント
信徳
初めて見るランばかりでランの世界は奥が深いのですね。
イッシー
サトイモ科だとテンナンショウとかマムシグサは見たことあるけれどカラスビシャクというのもあるんですね。私の脳みそよりはるかに知能指数が高そうです(笑)
river
mina
珍しいランが沢山ありますね
クレピディウム・メタリクムは葉っぱが
変わった色していますね
ハベナリア・ロドケイラ、雰囲気が
サギソウに似ていますね
可愛いです
寿々木
nobara
top、たてもの園の野草ゾーンのカラスビシャクがこんな感じでした(^o^)丿
横に出てる細い角?髭?みたいなものがオモロイです。
なんだか、その他のも、にたようなのがあるんですね。
キバナシュスランも面白いです。
赤いサギソウですか?白いのはかなり雰囲気違いますね~
はるる
なのに、これでも花なのかしらと思うほど、珍しい姿ですね。
でも豪華で格があることは間違いないようです。
華やかさもあるのですから、ランは特別な美しさをもっていますね。
長さん
ランの種類は実に様々です。こんな多様性を見せてくれるランにすっかり嵌まってしまいました。しかし、まだまだ奥が深いです。
長さん
ランって実に多種多様でしょう?見に行く度に初めての品種に出会います。多種多様な故にと言うか、進化の過程で全く別の植物に似てくるものもあるんですよ。
長さん
ランは劣悪な環境でしか居場所がなかった故に、実に多様な発展を遂げましたよね。特定の昆虫に合わせて進化してきたものもあるわけで、その昆虫が絶滅したらどうなるでしょうね。
長さん
ランは原種だけで2万~2万5千種あるといわれています。それに交配種を加えると膨大な数になります。ですから、想像もつかないような進化を遂げたランもあるんですよ。
長さん
ウツボカズラやカラスビシャクに似ているランがあるなんて、普通、想像できませんよね。
長さん
花の色も緑色で、小さなカラスビシャクが並んでいるようにも見えますよね。細い部分は役に立たない側萼片が変化したものです。
キバナシュスラン、魚の骨みたいで、実に面白いです。
ハベナリアは大入り袋に書いてある文字みたいに見えませんか(笑)。
長さん
ランの花は他の植物が生存をあきらめたような所でしか生きる道がなかったので、その条件に合うように実に多様な進化を遂げました。ですから、美しいものもあるかと思うと、普通の花では考えられないような形になったものもあるんですよ。
eko
プテロスティリスはカラビシャク、マムシグサのような花でとてもランとは思えません。
ハベナリアはサギソウの仲間ですか。鮮やかな花色で雰囲気が全然違いますね。
葉が観葉植物になるラン、濃い銅葉色のランもユニークですね。
月奏曲
プテロスティリス・オブトゥサ…うにゅ~…虫っぽいというかエイリアン顔というか…
キバナシュスラン、坂の骨っぽいというか昔のアニメで電撃喰らった時の骸骨ぽいというか…ちょっとコメディタッチの花でかわいいw
長さん
ランは実に種類が多く、皆さんがよくご存じのカトレアやデンドロビウム、シンビジューム、ファレノプシス、オンシジューム、パフィオペディラムと言った6大有名属以外にも変わったものが、膨大にあります。ですから、これがラン?と思えるものもたくさんあります。
長さん
ランの花を色々なものに例えましたね。そのように、似たものを色々連想すしてみるのもランの楽しみ方の一つです。
うふふ
プテロスティリスは植物というより、アンテナを立てた潜望鏡のように見えます。
ウラシマソウも長い付属隊を伸ばしますね。
一度だけ小石川後楽園で見たことがあります。
自然界は本当に面白いです。
長さん
ランは綺麗なものばかりではなく、変わったものがたくさんあります。プテロスティリスは人差し指から薬指を折り曲げ、親指と小指を真っ直ぐ立てたようにも見えますね。
なおさん
プティロスティリスも、カラスビシャクやニオイハンゲのような面白い花で、見るほどに造形の妙を感じます。これもハエなどおびき寄せるように擬態した、というのも興味深いです。
他のランもいろいろで、気分もらんらん♪となりますねえ。
すーちん
生きていくために
長年にわたってよりよく生きる
為に変化していったんですねー
感心しますー
長さん
園内滞在時間はおよそ3時間、そのうち、園内で持参の弁当を食べた時間が30分ほどですから、2時間半ほど写真を撮りまくったことになります。妻にも呆れられました。
プティロスティリスは面白い形の花ですね。昆虫に合わせて進化した結果が似てくると言うのも興味深いです。
長さん
ランは植物の中では遅く分化した種類です。環境の良いところは他の植物が発達していましたから、劣悪な環境で進化しながら生きるしか道がなかったのです。
ロシアンブルー
一般的なランと違って「これがラン?」、同じとはとても見た目
思えませんね。
突起しているのが面白いですね。
野生ランって色々あって楽しいですね。
長さん
ランは品種数が膨大だけに、色々面白いランがあります。小さな原種ランですが、そのような品種が沢山展示されていました。