9月5日、つくば植物園(正式には、国立科学博物館 筑波実験植物園)に行ってきました。午後から雨が降るとの天気予報だったので、降られたら温室に逃げ込むつもりでしたが、一向に雨になる様子がなく、園内をあちこち歩きまわりました。
先ずは、「絶滅危惧植物温室」で見た花です。なお、ここは育成温室としても使われており、全てが絶滅危惧種ではありません。
キンレイカ(金鈴花)
スイカズラ科(←オミナエシ科)オミナエシ属の多年草
関東以西の本州太平洋側と九州に分布。絶滅危惧ⅠA類(CR)
ハクサンオミナエシ(コキンレイカ)の変種。花期は7~8月
ハクサンオミナエシに似るが、こちらの方が距が長い
マツムラソウ(松村草)
イワタバコ科マツムラソウ属の常緑多年草。絶滅危惧IA類(CR)
沖縄(石垣島、西表島)、台湾、中国南部に分布。花期は7~10月
花の長さは3.5cm(赤褐色の斑がある)。花序は10~50cm
タイワンルリソウ(台湾瑠璃草)
ムラサキ科オオルリソウ属の多年草。南九州~沖縄に分布
花期は5~7月。花径は3mmほど。花色は白~淡青紫色
絶滅危惧種ではない
続いて、「多目的温室」で開催中の「亜熱帯の希少植物展」で見た花です。
コナミキ(小浪来)
シソ科タツナミソウ属の多年草。絶滅危惧Ⅱ類(VU)
本州(千葉県以西)~沖縄の海岸近くの林下や草地に分布
花期は3~5月。花の長さは7~8mm
ミヤコジマソウ(宮古島草)
キツネノマゴ科イセハナビ属の常緑多年草。絶滅危惧IA類 (CR)
原産は東南アジア~宮古島(北限、海岸の砂地など)
花期は6~8月。花径1.5cm。一日花。別名:ヒロハサギゴケ(広葉鷺苔)
ハマゴウ(浜栲、浜香、蔓荊)
シソ科(←クマツヅラ科)ハマゴウ属の常緑小低木。本州~琉球の海岸に分布
ヤエヤマハマゴウ(八重山浜栲)
シソ科ハマゴウ属の常緑小低木。マレーシア~ポリネシアに分布
沖縄(西表島、石垣島)は台湾とフィリピンを飛び越した隔離分布で、北限
開花期は5~10月。ミツバハマゴウの変種。絶滅危惧IA類(CR)
開花間際のつぼみ一つで、殆どは実が出来始めていた
イソマツ(磯松)
イソマツ科イソマツ属の低木状多年草。絶滅危惧Ⅱ類(VU)
琉球列島、伊豆七島、台湾の海岸沿いの乾燥した石灰岩地に分布
地下部は薬として利用されるため、採取により減少している
花茎は7~15cm。花期は8~9月。別名:イソハナビ(磯花火)
ダイトウワダン(大東わだん、大東海菜)
キク科アゼトウナ属の2年草。ホソバワダンの変種。絶滅危惧IA類(CR)
沖縄県北大東島・南大東島に分布。日本固有種。葉は食用とされる
花期は11~3月。花径は約1.5cm。ブタナやオニタビラコに似ている
ハマトラノオ(浜虎の尾)
オオバコ科クワガタソウ属の多年草。絶滅危惧Ⅱ類 (VU)
日本固有種:九州南西部・奄美大島・琉球(慶良間列島の座間味島)
花期は9~11月。本来は青紫の花で、白花種を見たのは2度目です
ケサヤバナ(毛鞘花)
シソ科サヤバナ属の多年草。絶滅危惧IA類(CR)
与那国島、台湾、フィリピン、マレーシアの海岸などに分布
花序の長さは7~10cm。花期は10~12月
リュウキュウツルマサキ(琉球蔓柾)
ニシキギ科ツルウメモドキ属の常緑つる性低木。絶滅危惧IA類(CR)
日本(琉球列島)、朝鮮、中国に分布。ツルマサキの変種(葉が大きい)
花期は6~7月、花径は5mmほど。マサキ同様、地味な花だ
(つづく)
この記事へのコメント
寿々木
もこ
なじみのない花ばかりですが 見せて頂きました
信徳
似たような花が一緒に咲きますね。
違いが判ると楽しくなりますがならないと皆一緒に
黄色い花になってしまいます。(笑)。
庭でオミナエシが咲き出しました。
nobara
マツムラソウ、いかにもイワタバコって感じのお花ですね。
ミヤコジマソウ、宮古島に行きましたが見た記憶がありませぬ(^o^)丿
ヤエヤマハマゴウは記事にした記憶があります。海辺で?
ワダンってブタナやオニタビラコに似るというのがピンと、こなくて。
ケサヤバナはヤマハッカみたいな花の形ですね。狐顔?
ロシアンブルー
小さな花が多いですね。
ピント合わせ苦手です、手振れをおこしそうです。
殆ど見たことない絶滅危惧種が多いですね。
はるる
何回見ても覚えられませんが、見るたび花に魅了されます。
小さい花、小さいながら主張しているかのように、可愛くてきれいでいいものですね。
なおさん
ハマゴウやハマトラノオは見たことがあるのですが、他は見たことがないのです。
うふふ
ここで大切に育てられているのですね。
特に絶滅危惧種は少しずつでも増えていくと良いですね。
国立科学博物館の自然教育園には行ったことがありますが、つくば植物園も行ってみたいです。
長さん
ハマゴウは海岸近くに自生していますね。今回ハマゴウを載せたのは、絶滅危惧種のヤエヤマハマゴウの花が咲いていなかったからなのです。
長さん
この植物園は絶滅が危惧される植物を保存育成するのが目的の一つになっています。
長さん
ハクサンオミナエシは野反湖畔で見たことがありますから、信徳さんなら当然ご存じですよね。
オミナエシがやっと咲きましたか。こちらでは小さな実が出来ているものがありますよ。
長さん
ハクサンオミナエシ(キンレイカ)は群馬県の野反湖畔で見たことがあります。コキンレイカにそっくりな花でした。
マツムラソウは4年ほど前、箱根湿性花園で見たことがあるので、2度目でした。
ミヤコジマソウは絶滅一歩手前だそうですから、観光地では見つからないでしょう。
ヤエヤマハマゴウは数十個体程度だそうですから、現地で見られたのはラッキーですね。
ワダンなどキク科の花は似たものがあって難しいです。
ケサヤバナはシソ科の顔立ちですよね・
長さん
小さくてもオートフォーカスで撮れる範囲でした。でも、しっかり構えないと手ぶれしますね。
長さん
つくば植物園は我が家から車で1時間程度で行けますから、ネタが不足しているときは重宝するのです。それに、ラン展も開催されますから(今年6月は中止になりましたが)。
長さん
7月に行ったときも希少植物が展示されていましたので、今年2度目です。花期が異なるものがあるので、入れ替えがありましたから、初めて見るものも多く展示されました。
ハマゴウやハマトラノオはご覧になりましたか。
長さん
つくば植物園はこうした絶滅危惧種や希少な植物を保護育成するのを使命の一つにしているので、今回のような展示が時折行われます。
ここは車が便利なですが、つくばエクスプレスのつくば駅(つくばセンター)からバスがでています。
月奏曲
いやまぁ儚げで確かにほっといたら絶滅しそう(;´Д`)
長さん
そうなんです。ほっといたら絶滅してしまう植物が展示されているのです。そうした植物の収集と保護・育成はこの植物園の使命なんです。
イッシー
知りませんでしたがさすがに最先端だな~。
絶滅危惧種ばかりで貴重な写真ですね。
長さん
ここでは「絶滅危惧植物の進化と保全に関する研究」が行われており、そのような植物の保全と育成が行われているのです。
mina
珍しい植物が一杯ですね
ハマトラノオ白花種は初めて見ました
可愛いですね
ハマゴウ、涼しそうな良い色ですね
長さん
この植物園は絶滅危惧種の収集、育成などに力を入れていて、年に何度か、こうした希少植物が展示されるのです。
すーちん
よく見ていた花でも
大分絶滅危惧となって
いくんでしょうねー
長さん
つくば植物園では絶滅危惧種の研究を続けていますが、そのHPに「日本の維管束植物7000種(変種・亜種を含む)のうちの4分の1の1700種が絶滅危惧植物です。このままの状態がつづけば、自然に起こった絶滅よりも、100~1000倍もの高いスピードで絶滅に向かっていると指摘されています」と記載されていましたよ。
コスモス
希少植物は初めて見る花ばかりですが、その中でハマゴウという名前が気になりました。
調べると3年前の10月に下田で見ました。
花が少ない浜辺でやっと見つけたのがハマゴウでした。
実ができている頃でした。
長さん
今日は未明に降ったようですが、日中は降りませんでしたね。昨日は、交通安全の旗振りの時に波状的に降られました。
ハマゴウを下田でご覧になりましたか。私は3年前、城ヶ崎海岸で自生を見ましたよ。9月だったので、まだ花が残っていました。