「ウツボカズラ」の和名で知られる食虫植物の一種であるネペンテス属は、「ボルネオ島(カリマンタン島)」をはじめとする東南アジアの熱帯地域を中心に、遠くアフリカのマダガスカル島まで広く分布しています。自生地の環境は低地~標高3,000m付近の高地まで様々で、100種を超える原種が存在し多種多様な形をしています。
ネペンテス属に見られる特徴的な袋状のものは「捕虫袋(ピッチャー)」と呼ばれ、虫を捕まえる器官です。フタの裏の「蜜腺」から分泌される蜜によって昆虫をおびき寄せて袋の中に落とし込む「落とし穴式」の食虫植物です。落ちた虫は袋の中に堪っている消化液で分解されて栄養となります。
袋の部分は花や蕾のようにも見えますが、これらは進化の過程で葉の一部が変化したものと言われています。これらの袋には寿命があり、短いもので1~2ヶ月程度、長いものだと1年近くもつものもあります。
開花時に独特の臭いを放つ原種もあり、この臭いに誘われて来た虫に受粉を助けてもらっています。 (掲示されたパネルから)
右上のネペンテス・アンプラリア 'ビッタタ’はマレー半島からボルネオ・スマトラ島それにニューギニアに分布しいており、葉先に捕虫袋を付けるほか、根元からも多数の捕虫袋ができる。
右は、ネペンテス・ベントリコーサ(フィリピンのルソン島北部の固有種)。
下は、ネペンテス・トルンカータ(フィリピンのミンダナオ島に分布)。
食虫植物と一緒にパフィオペディラムが展示されていました。「袋」ができるのは共通ですが、食虫植物は葉の先が変化したもので、虫を溶かして栄養を取る器官なのに対し、パフィオペディラムは花の一部の唇弁が変化したものです。それには虫から栄養を吸収する性質はなく、袋に落ちた虫が這い出るときに花粉を運んでもらうためのものです。
このように「袋」はあるものの、出来方や役割が全く違うものなので、一緒に展示してあることに非常に違和感を感じました。
ロスチャイルディアナム(ボルネオ島固有種) サンエリアナム(ボルネオ島北西部)
この光る花は、深海のプランクトンから発見された蛍光物質を使って人工的に作られた花です。
遺伝子を組み替えているから、外の空気に触れないよう、厳重に管理されています。
初代の光る花として、光るトレニアも一緒に展示されていました。
光るトレニアは4年ほど前、国立科学博物館の「ヒカリ展」で初めて見ました。
「下村脩博士が発見した緑色蛍光タンパク質を、遺伝子組み換え技術でトレニアに入れたところ、花も光らせることに成功した(下村博士は緑色蛍光タンパク質発見で、2008年ノーベル化学賞受賞)」と説明されていたので、このシクラメンにも同じ緑色蛍光タンパク質が使われたのでしょう。
今年も、大使・大使夫人のテーブル・ディスプレイが展示されました。
バングラデシュ人民共和国 ベルギー王国
ラバブ・ファティマ特命全権大使 ラヘル・スレーワーゲン大使夫人
モロッコ王国 ニュージーランド
ファティハ ベナニ大使夫人 ジャネット・ロー大使夫人
パラグアイ共和国 ルーマニア
マリア・リス・アキノ・デ・フロレンティン大使夫人 タティアナ・ヨシペル大使
2月16日撮影。
(つづく)
この記事へのコメント
目黒のおじいちゃん
光る苔は色々なところで見かけますね。
寿々木
nobara
そういえば光る苔は麦草ヒュッテでも展示してありました。
極々、普通の場所の水槽のなかに植えてありましたよ。
光る?シクラメンですか? 暗闇で楽しむお花???
色々~考えるものですね(*^-゚)⌒☆
river
信徳
ヒカリゴケは毎年軽井沢植物園で見ていますが
その内に夜行性の植物がドンドン出て来そうです。
降魔成道
各国大使・大使夫人のテーブル・ディスプレイも素晴らしいですね。
長さん
日本人が発見した緑色蛍光タンパク質の遺伝子をトレニアに組み込んだのが第一段階で、今回のシクラメンはその第二弾です。まだ実験段階ですが、この先どのように利用されるのでしょうね。
長さん
ピッチャーは投手と意味と共に、洋風の水入れという意味があります。生ビールを一度にたくさん注文するとピッチャーに入れて持ってきます。
葉が特殊な形に変化したものですから、一定の役割を終えれば枯れるのでしょう。
長さん
食虫植物の捕虫袋もいろんな形がありますね。ネペンテス・トルンカータはまるでブーツですよね。
光る苔は長野県に多いようですね。小笠原諸島にはヤコウタケという光るキノコもありますよ。
光るシクラメンなどは緑色蛍光タンパク質がどのような形で利用できるかの実験段階でしょうね。光る生糸が出来る繭は既に量産が可能になったそうです。
長さん
ウツボカズラとパフィオペディラムの組み合わせは、らん展だからという事なんでしょうが。植物の性質を知らない素人的な発想じゃないかと・・・。
遺伝子組み換えが他の植物に与える影響なんかも調べないといけないでしょうね。
長さん
光るシクラメンは、光るトレニアが出来てから5年も経ちますから、遺伝子組み換えがとても難しいと言うことが分かりますね。しかし、これはあくまでも実験ですから、十分に管理されないと困ります。
長さん
光るトレニアも光るシクラメンも、自然界に遺伝子が流出しないよう、プラスチック容器の中で厳重管理されていました。
沖縄の大使・大使夫人のテーブル・ディスプレイはデザイナーがいましたが、ここも同様じゃないかとみているのですが・・・。
月奏曲
さすがプロという感じです。
シクラメンは…シクラメンはちょっとk面と差し控えたいかな?w
くれぐれも事故起こさないように管理しっかりとw
うふふ
遺伝子組み換えで出来上がったのですね。
なんとなく恐ろしく感じました。
流失は絶対にあってはなりません。
無門
動物から植物へ
光る遺伝子の転移ですね
おかげで人も光らせて
がん研究に役立って
なおさん
遺伝子組み換えで光るシクラメンもでてきましたか。ヒカリゴケやツキヨタケは見たことがあるのですが、まだ光るシクラメンは見たことないですねえ。
長さん
食虫植物は大きな植物園では大抵そのコーナーがあります。
遺伝子組み換えはまかり間違えると大きな問題を引き起こしますから、厳重管理が必須ですね。
長さん
光るシクラメン、遺伝子工学の進歩で出来たものですね。
自然界に流出すると大変な問題になります。
長さん
がん細胞に光る遺伝子を持ったタンパク質を結びつけて、がんを早期発見するシステムですか。
長さん
ウツボカズラとパフィオペディラムの組み合わせが唐突です。パネルに違いが説明されているのですが、小さな文字なのでどれだけ読まれたか?パフィオペディラムが食虫植物と間違う人も出てくるのではないか、そんな不安があります。
光るシクラメン、ここが世界で初披露だそうですよ。
ロシアンブルー
食虫植物は不思議な植物ですね~(^^
よく温室で見かけますが葉が進化した、考えたら恐ろしい植物の生態ですね。
光るシクラメンにも驚きですね、深海のプランクとを利用、新しいものが出てきますね~、面白いです。
eko
光るシクラメン、遺伝子組み換えで誕生したのですか。驚きます。
すーちん
パフィオペディルムそういえば
袋がありますね
そういう意味だったんですか
イッシー
そこがまた魅力なんだなー。
光るシクラメンははじめて見ました。
長さん
食虫植物はある意味、動物に近い進化をしたとも言えますね。こんなのが巨大化したら人間も消化されてしまうかも、なんて考えると恐ろしいですね。
光るタンパク質は将来色々なことに役立つと考えられていますから、その過程の実験なのでしょう。
長さん
袋という形態は似ていますが目的が全く違うわけで、一緒に展示するのは誤解を招きかねませんね。
今は光るタンパク質の遺伝子を組み込む実験ですが、人間にも役立つような研究が続けられることでしょう。
長さん
食虫植物の袋には消化液がありますが、パフィオペディラムはそれがありませんから、小さな昆虫は逃げることが可能です。その時送粉者になるわけですね。
長さん
植物にも面白い性質を持つように進化しているのですね。進化の目的は違っても、袋状になったという共通点に注目して、一緒に展示したんでしょう。
光るシクラメン、世界初公開ということは日本でも初公開なのです。
ジュン
はじめて拝見しました
驚きでいっぱいです
大変な技術
これからお花も色々な
変化が起きるのでしょうね
長さん
日本人ノーベル賞受賞者の発見した緑色蛍光タンパク質を植物に利用したものですが、今後どんな方面に利用されるのでしょうね。がん細胞を光らせて早期発見に繋げる実験なども行われているようです。
はるる
これから先もきっと不思議な花が現れるのではと思ってしまいます。
大使・大使夫人のテーブル・ディスプレイも見ごたえありますね。
昭和記念公園、花みどり文化センターでまた始まるんですね。
都合で行けませんので、ここで見せていただきます。
長さん
光る苔はご存じだと思いますが、花が光るなんて自然界には起こりえませんからね。
大使夫人のテーブル・ディスプレイはご本人がいらしてアレンジしたのか、デザイナーが監修を受けてアレンジしたのか知りたいところです。
花みどり文化センターで、妻が参加するフラワーアレンジメントの講習があるので、8日に行ってきます。9日から始まる雪割草展も見たいのですが、日程が明けられません。