「花粉を運ぶ方法の進化」「動物が作った色とりどりの花」

 つくば植物園には研修展示館があり、時々興味ある企画が展示されています。今回は3階のロビーに展示してあった2枚のパネルを紹介します。
 パネルの写真では文字が読みづらいのでブログ用に編集してみました。

花粉を運ぶ方法の変化

 花が誕生したときの受粉は、大量の花粉を風まかせに飛ばして雌しべにつける、風媒というやり方でした。
 より確実な受粉の手段を求めて進化した植物は、動物に花粉を運んでもらう方法、動物媒を獲得しました。花の驚くべき多彩な色、形、大きさ、香りは、動物との駆け引きで実現したものです。
 長い進化の歴史の中では、イネのように再び風媒に戻った種類、クロモのように水の流れに花粉をのせて運ぶ水面媒を作り上げた種類なども現れました。

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動物が作った色とりどりの花

 動物の好みに合わせて、花はめざましく進化しました。いまや動物媒は被子植物の種の80パーセント以上を占めるまでに繁栄しています。
 花粉を運ぶ動物の種類ごとに、花は共通した特徴が見られます。

画像ハチが花粉を運ぶ種類

 花弁の1枚の形や色を大きく変えて、蜜や花粉が出る花の中心に導く種類が良く見られます。甘く香る花が多く、においはそれほど強くありません。主な花色は、紫、青、緑、黄で、ヒトには見えない紫外線域の色の模様がついている花が多いのも特徴です。

画像チョウやガが花粉を運ぶ種類

 花の一部が変形してチューブ状になり蜜を貯えます。チョウやガが口吻を伸ばして蜜を吸うと、花粉を体に付着させる仕組みです。昼に行動する種類を誘う花はピンク、赤、黄などで、多くは良い香りがします。夜行性の種類を誘う花は暗闇で目立つ白になり、夜だけ強い香りをまき散らします。

画像甲虫が花粉を運ぶ種類

 甲虫の嗅覚が発達しているためよい香りがします。また体が重いので花の作りはしっかりしていて、こじあけられるまで開かない花もあります。多くの甲虫は受粉に適した形の口を持たないため、すぐれた花粉の運び手ではありません。

画像ハエが花粉を運ぶ種類

 花の形・色・においがキノコや動物の遺体に似ているものがあり、食べ物や産卵場所と勘違いしたハエが集まります。一方ハナアブが花粉を運ぶ花は、黄や白の美しいものが多いのが特徴です。花の一部が空気の動きによって微妙に揺れる種類も良く見られます。

画像鳥が花粉を運ぶ種類

 チョウが花粉を運ぶ花に似ていますが、鳥のくちばしはチョウの口吻ほど細長くないため、花の付け根は太い筒状になります。また鳥は嗅覚が発達していないので、香りがありません。花色は鮮やかな赤やオレンジが多く見られます。

画像哺乳類が花粉を運ぶ種類

 哺乳類の好みが種類により異なるため共通した特徴はありませんが、夜に花を開き強烈な香りと大量の蜜や花粉でコウモリを誘う種類や、地面すれすれに香りの高い花を咲かせ、地表を行動する有袋類を誘う種類などが知られています。

 7月27日撮影。


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