アシナガムシトリスミレ、アングレカム・セスキペダレなど

夢の島熱帯植物館にて(9)
 夢の島熱帯植物館の温室で咲いていた花を紹介しています。今回は、Cドームやイベントホールで咲いていた花などです。

コダチヤハズカズラ (木立ち矢筈葛)
キツネノマゴ科ツンベルギア属のつる性小低木
熱帯西アフリカが原産。別名ツンベルギア・エレクタ
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シャリンバイ (車輪梅)
バラ科シャリンバイ属の常緑低木
日本、韓国、台湾までの海岸近くに分布する
材が堅く、しなやかので、斧の柄に使われたこともある
一時期、小笠原固有種と考えられていたため、この
植物館では小笠原諸島の植物コーナーに植えてある
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タコノキ (蛸の木)
タコノキ科タコノキ属の常緑高木。雌雄異株。小笠原諸島の固有種
名の由来は、気根が支柱のように幹を取り巻きタコのように見えるから
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 屋上には、食虫植物を集めた温室が作られています。そちらで見たのは・・・。

アシナガムシトリスミレ (足長虫取菫)
タヌキモ科ムシトリスミレ属の多年草。原産はメキシコの熱帯高山
葉の表面から消化酵素を含む粘液を出し、その粘着力で獲物を捕らえる
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 温室を出て、イベントホールに下りてきました。ここにも多くの植物が展示されています。

クレロデンドルム・クアドリロクラレ
クマツヅラ科クサギ属の常緑低木。原産はフィリピン
集散花序の花の様子から、ファイヤーワークス(花火)という英名がある
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アングレカム・セスキペダレ
マダカスカル島に固有の着生ラン。長い距を持ことで有名
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画像 自然科学者チャールズ・ダーウィンがこの花を見て、「距の奥の蜜腺まで届くほど長い口吻を持った送粉者のガ」がいることを予測しました。
 ダーウィンの死後、マダガスカル島でキサントパンスズメガ(画像右、Wikipediaから拝借)が発見され、ダーウィンの予測が正しかったことが証明されました。

 1月24日撮影。
 次回もイベントホールで見た花などを紹介しまします。
 (つづく)


 昨日(2/08)、無事沖縄旅行から帰宅しましたので、コメント欄を再開しました。


この記事へのコメント

  • ののはな

    なるほどね。植物と昆虫たちってこうしてある意味進化していったのですね。花をみて、こうした世界に思いを馳せるって楽しいですね。
    2017年02月09日 16:24
  • コスモス

    花を見てここまで(昆虫との関係)考えるって素晴らしいですね。
    ただ美しいということだけでなく、こういうことを考えると世界が広がっていきますね。
    2017年02月09日 17:03
  • 長さん

    ののはなさん、コメントありがとうございます。
    花の形がどうしてこうなっているのだろうと、突き詰めて考えることなんて、我々凡人には出来ないことです。チャールズ・ダーウィンは偉大ですね。
    2017年02月09日 17:17
  • 長さん

    コスモスさん、コメントありがとうございます。
    花の色や形、匂いなどは、私たち人間のためではなく、花粉送受舎である昆虫たちのためだったのですね。私たちはその恩恵を受けているだけなんですよ。
    2017年02月09日 17:19
  • 信徳

    シャリンバイには思い出があります。
    最初に家を作った時に一番最初に植えた木がシャリンバイでした。
    その時は木の名前も分からず、葉が綺麗だった事、枝ぶりも良かったことで白い花が咲くことすらも知りませんでした。
    2017年02月09日 19:10
  • はるる

    花と昆虫は切っても切れない関係なんですね。
    次から次へ花に囲まれたここは楽しいですね。
    無事に旅からお帰りになられたようで、またおもしろいお話や写真など楽しみにしています。
    2017年02月09日 19:27
  • river

    ムシトリナデシコの仲間は日本にはムシトリスミレとコウシンソウの2種類が自生します。どちらも氷河時代に生き残りではないかと言われているもので暑い所では育ちません。尾瀬にもありますが赤城山にもあります。もう何年もムシトリスミレの定点観察の為に山に登っています。盗掘により消えてしまったところもあります。
     アングレカム・セスキペダレとダーウィンの話は有名ですね。
    2017年02月09日 19:29
  • 寿々木

    シャリンバイの花はこの時期に咲くんでしたか、ご近所の庭に黒い実が出来ていたような気がするのですが・・
    2017年02月09日 20:15
  • みっきい

    ムシトリスミレは、葉の表面から消化酵素の粘液を出すそうですが、すみれの花に粘液が送られて虫を取るのでしょうか?
    セスキペダレのランの為に、こんなに長い口を持った蛾がいるとは、とても不思議です。ダービンはそれを予測できたのですね!?花と虫の関係は面白いですね。
    沖縄旅行から、お帰りなさい!!カンピザクラが咲いていましたか!?楽しみにしております。
    2017年02月09日 20:16
  • nobara

    シャリンバイを見て一瞬、フェイジョアだぁーと思いました。いわゆるシャリンバイとは趣が違いますねe---
    クレロデンドルム・クアドリロクラレは
    ファイヤーワークス(花火)の別名がぴったりですね。
    沖縄からの無事のご帰還、良かったですね。
    2017年02月09日 20:28
  • shuuter

    クレロデンドルム 私の京都で撮りました。まだ蕾で花開いていませんでした。
    花が美しく開いています。素敵です。
    2017年02月09日 20:48
  • なおさん

    アングレカムとスズメガの関係は有名な話ですね。緑花文化の知識認定試験にも、この問題が出ました。
     東京ドームの世界らん展でも資生堂のアングレカムの香り、というのが以前販売されていましたね。
    2017年02月09日 21:25
  • イッシー

    沖縄に行ってらっしゃいましたか。
    お帰りなさーい。一枚目などは背景が美しいですね。
    色々な花があるんですねー。葛西臨海に行ったとき
    ここに寄れば良かった。
    2017年02月09日 21:36
  • 月奏曲

    アシナガムシトリスミレってアシナガムシだけ捕るのかと思ったw違うっぽいwwwなんの足が長いんだろう????

    ダーウィン、ダーウィン博士…(´ε`;)ウーン…

    進化論とそれに付随する生物に関する著述で有名ですがぢつは生物学者じゃなくて地質学者だったという…謎だ、でもないかw
    2017年02月09日 21:40
  • 長さん

    信徳さん、コメントありがとうございます。
    シャリンバイは新築時の思い出がある花なんですね。耐寒性もあるようで、丈夫なため、生け垣代わりに植えられていますね。
    2017年02月09日 21:53
  • 長さん

    はるるさん、コメントありがとうございます。
    花を咲かせる植物は自家受粉するものを除き、花粉を運んでくれる昆虫がいないと絶滅してしまうでしょう。
    暖かい沖縄へ行ってきました。花も沢山撮ってきましたよ。
    2017年02月09日 21:56
  • 長さん

    riverさん、コメントありがとうございます。
    日本のムシトリスミレは涼しい山の上に分布しているので、温室展示は出来ませんね。メキシコ産のアシナガムシトリスミレは熱帯雨林帯に分布しているので、温室でなければ育てられません。
    コウシンソウの花、見てみたいです。
    2017年02月09日 22:02
  • 長さん

    寿々木さん、コメントありがとうございます。
    シャリンバイの花期は5月で、秋には黒い実ができますが、晩秋になっても花を見ることがありますよ。ここは温室なので、何時咲いてもおかしくはないですが・・・。
    2017年02月09日 22:07
  • 長さん

    みっきいさん、コメントありがとうございます。
    食虫植物の中には、花の中に虫を閉じ込めるものもありますが。ムシトリスミレは葉の表面から粘液を出し、小さな昆虫を捕らえて消化します。
    アングレカム・セスキペダレは花の裏側に伸びた細い管(距)の奥に蜜を分泌しており、そこまで届く吸密管を持っている昆虫がいるに違いないと、ダーウィンは予測したのです。
    寒緋桜、咲いていましたが・・・。この続きは後日のお楽しみ。
    2017年02月09日 22:15
  • 長さん

    nobaraさん、コメントありがとうございます。
    シャリンバイは同じ木でもしべの色が白い物や途中まで赤いものがありますね。
    花の英名は時々日本人の感覚と異なるものがありますが、クレロデンドルム・クアドリロクラレのファイヤーワークスはピッタリです。
    沖縄では天気に恵まれませんでしたが、無事帰還しました。
    2017年02月09日 22:20
  • 長さん

    shuuterさん、コメントありがとうございます。
    京都府立植物園ではクレロデンドルム・クアドリロクラレが咲いていませんでしたか。それは残念でしたね。
    2017年02月09日 22:24
  • 長さん

    なおさん、コメントありがとうございます。
    アングレカム・セスキペダレとスズメガの関係は花緑文化士の試験に出ましたか。ダーウィンの共進化論では必ず登場しますね。
    世界らん展日本大賞の会場には資生堂のブースがありますね。今年は何を売るでしょう。
    2017年02月09日 22:28
  • 長さん

    イッシーさん、コメントありがとうございます。
    沖縄では観光と共にランなどの花を沢山撮ってきました。
    夢の島熱帯植物館は葛西臨海公園と一駅ですから、次回はお立ち寄り下さい。
    2017年02月09日 22:32
  • 長さん

    月奏曲さん、コメントありがとうございます。
    アシナガムシトリスミレの足長とは、花茎が長いと言うことを意味しているそうです。
    チャールズ・ダーウィンは地質学者であると同時に生物学者でもありましたが、それだけに止まらず、自然科学全般に興味を持っていたようです。
    2017年02月09日 22:37
  • うふふ

    お帰りなさいませ。
    沖縄は暖かかったでしょう。
    今日の寒さにビックリなさいませんでしたか?
    温室ではシャリンバイが今咲いているのですね。
    垣根でよく見るお花はまだまだ先ですね。
    2017年02月09日 23:11
  • eko

    お帰りなさい。沖縄は暖かかったでしょうね。こちらは異常な寒さです。お風邪をひかれませんように!
    コダチヤハズカズラの花色が素敵ですね。
    セキスペダレとスズガの話は面白いですね。花粉を運んでくれる虫が花にとっては大事なんですね。
    2017年02月09日 23:38
  • すーちん

    お早うございます
    沖縄にいらしてたんですね
    暖かでしたでしょう
    雪のニュースが多い日々です^^
    2017年02月10日 07:35
  • 長さん

    うふふさん、コメントありがとうございます。
    この時期の沖縄は何度も行っていますが、曇りが多いせいもあり、その中では一番気温が低かったような感じです。予報で知ってはいましたが、昨日の雪にはビックリです。
    シャリンバイは5月頃の花ですが、温室では周年開花する植物も多いですね。
    2017年02月10日 09:42
  • 長さん

    ekoさん、コメントありがとうございます。
    昨日は寒かったですね。沖縄は予想より涼しく、風があると上着が必要でした。
    コダチヤハズカズラ、花は小さいですが、色が良いですね。
    まさかこんなに長い吸蜜管を持った蛾がいるなんてね、それを予測したダーウィンって凄いですね。
    2017年02月10日 09:48
  • 長さん

    すーちんさん、コメントありがとうございます。
    今回の沖縄はあまり良い天気ではなく、予想より暖かくなかったです。そのせいで、カンヒザクラの開花が遅れていました。
    今日は快晴ですが、風が冷たいです。
    2017年02月10日 09:50
  • ジュン

    お帰りなさい
    お花は綺麗だけでいいと
    思っていましたが
    昆虫と深い繋がりがあり
    研究するともっと
    楽しくなるのでしょうね
    2017年02月10日 14:19
  • 長さん

    ジュンさん、コメントありがとうございます。
    花は美しい物だけではありません。花は私たち人間のために咲いているのではなく、花粉を運んでくれる昆虫などのために咲いているからです。そんなことを考えるより前に美しいかどうかで判断しちゃいますけどね。
    2017年02月10日 19:15
  • ミキ

    お元気にお帰りのようで何よりです。
    こちらの寒さに驚いたことでしょう。
     花と昆虫たちの関わりは、今でこそ
    いろいろな情報で知っていますが、
    ダーウインが予測したということは凄い
    ですね。植物も昆虫も命がけなのですね。(^^♪
    2017年02月11日 23:15
  • 長さん

    ミキさん、コメントありがとうございます。
    沖縄から帰宅翌日が雪ですから、温度差は大きいです。日課のウォーキングをサボってしまいました。
    ダーウインが吸蜜管の長い昆虫を予測したのは今から150年以上も前のことです。常人では思いつかないことですよね。
    2017年02月11日 23:37

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