つくば野生ランコレクションから(6) 吸血鬼ドラキュラ?、ミャンマーの国花になったラン

つくば蘭展にて(6)
 12月10日から18日まで開催されていた「つくば蘭展」の第2会場で見た、「筑波実験植物園の世界の野生ランコレクション」の中から紹介しています。
 写真の下に記載したコラムは、つくば植物園による「見どころや育て方」の紹介文です。

ドラクラ レズリー (ドラキュラ ロエズリー)
Dracula roezlii
コロンビアの高地の雲霧林に原生する着生ラン
ドラクラは「小さな竜」という意味
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ドラクラ ベラ
Dracula bella
コロンビアなどの標高1700~2000mの雲霧林に原生する着生ラン
ベラは「美しい」という意味だそうだ
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ドラクラ (種名不詳)
Dracula sp.
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 花を覗いてみて下さい。誰が始めに気づいたのか、モンキーオーキッド(猿顔のラン)としてにわかにブレイクしました。まさか日本の女子にこんなにモテるとは、森にいた頃は思いもしなかったでしょう。でも、属名は「吸血鬼ドラキュラ」のイメージで付けられていて、オカルトな雰囲気も。
 生きた水苔を使って乾かないように育てると、元気な実がたくさん出来ます。南米の雲霧林がふるさとなので、暑さと乾燥に弱く、夏に調子を落としてしまうデリケートな植物です。


タジン (ブルボフィルム アウリコムム)
Thazin (学名:Bulbophyllum auricomum)
ミャンマーやタイ、スマトラ島、ジャワ島に原生する着生ラン
アーチ状になった花茎に1cmほどの白い花を咲かせる
国内で花が公開されているのはつくば植物園だけという
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19世紀頃からミャンマー王室のランだったので、現在はミャンマーの
国花の一つになっている。「タジン」の名は、ミャンマー語のThant Sin
Pan(純粋無垢な花)に由来する。気品に満ちた香りがあるので、
ミャンマーの女性は競って髪飾りにするそうだ
もう一つの国花はインド紫檀(いわゆるカリン)


デンドロビウム インファンディルブルム
Dendrobium infundibulum
インド東北部~ベトナムに原生する着生ラン
葉や茎に毛が生えている
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デンドロビウム クルエンツム
Dendrobium cruentum
ミャンマー、マレー半島、タイに原生する着生ラン
英名The Blood Red Dendrobium(赤い血のデンドロビウム)
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 コトネアスター の赤い実が綺麗でした。

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バラ科コトネアスター属の常緑低木
サンザシの実に似るが、葉に鋸歯がなく、枝に棘がない


 ゴンズイ (権萃)の実がまだたくさん残っていました。

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ミツバウコギ科ゴンズイ属の落葉小高木
実の形から「狐の茶袋」という別名がある

 12月12日、16日撮影。
 (つづく)


この記事へのコメント

  • 寿々木

    珍しいランを拝見しました。いずれも初めてです。
    ラテン語でベラは美しいという意味ですね。ドンナが女性という意味で、ベラドンナという植物があるんですが、毒草です。美しい女性には気をつけろと言うことだそうです。
    2016年12月22日 17:18
  • イッシー

    よかった。
    血を吸うわけじゃなくって。
    南国の花っていう感じですよねー。
    南国のお姫様が髪飾りにしたらさぞかし似合うだろうなと想像してしまいました。
    2016年12月22日 18:01
  • river

    ランはもっとも進化した植物ですね。地上に最も遅れて現れたために残された場所は厳しい環境の所ばかりでした。昆虫にいかに効率よく花粉を運んでもらえるように進化しました。
     ランの原種はおよそ2万5千種あると言われていますから見たことも無いランがほとんどです。高温多湿の日本の夏で高原の雲霧林などの環境を作るのは大変ですね。
    2016年12月22日 20:01
  • 長さん

    寿々木さん、コメントありがとうございます。
    モンキー・オーキッドは今年2月の世界らん展日本大賞の報告の際に紹介しましたが、あの時はドラキュラ属と記載しました。つくば植物園ではドラクラ属としてあるので、それに従いました。
    美しいという感じ方は各人各様ですからね。
    2016年12月22日 20:11
  • 長さん

    イッシーさん、コメントありがとうございます。
    ドラキュラ属なんて名前を付けられちゃったので、吸血鬼と間違われちゃいますが、本来はひっそり咲いているランなのです。
    髪に飾るなら、モンキーオーキッドじゃなくて、タジンでしょう。
    2016年12月22日 20:18
  • 長さん

    riverさん、コメントありがとうございます。
    高地の雲霧林に原生しているランたちにとって、乾燥する冬の日本ではいかに温室と言えども、気の毒な環境ですよね。ですから、ランは数日で入れ替えているようで、12日には展示してあったドラクラ・レズリーやベラは16日にはありませんでした。
    2016年12月22日 20:27
  • shuuter

    ゴンズイ でてきましたね。
    光沢のある黒い色の種子 よく撮れています。
    2016年12月22日 20:44
  • 長さん

    shuuterさん、コメントありがとうございます。
    ゴンズイの実の画像、お待たせしました。
    ゴンズイの実は、赤と黒の2色効果で鳥を騙して食べさせるのが狙いなんですね。
    2016年12月22日 21:26
  • nobara

    面白い蘭ですね。
    タジンって?確かお鍋でもありましたよね。
    それとは似ても似つかぬ繊細なお花ですね。
    筑波にだけの蘭ですか?凄いですね~~~
    コトネアスターも垂れ下がると見事です。
    ゴンズイもここまでなるのですね。
    2016年12月22日 21:28
  • 長さん

    nobaraさん、コメントありがとうございます。
    ランのタジンはミャンマー語ですが、鍋の方のタジンはアラビア語なんですって。タジン(またはブルボフィルム アウリコムム)で画像検索しても、つくば植物園以外のものは見つかりませんでした。
    コトネアスター、地を這うようなものが多いですが、ここのは高さ1.5mほどの木でした。ゴンズイの方はかなり樹高がありました。
    2016年12月22日 21:42
  • eko

    モンキーオーキッドを見せて頂いたの覚えています。インパクトが強かったので忘れません。ほんとにユニークなランですね。
    タジンは髪飾りにしたら素敵でしょうね。
    ゴンズイの実まだたくさん残っていますね。
    2016年12月22日 22:02
  • 月奏曲

    ドラクラベラ美しい?深海生物みたいに見えるのですがw

    タジン可愛いw花冠みたい…と思ったらやっぱり髪飾りにするか…するよねw

    昨日の卵ですが『イースター祭』ですね。春分辺りからやらかすと思うんですが…
    2016年12月22日 22:36
  • 長さん

    ekoさん、コメントありがとうございます。
    モンキーオーキッド、確かにインパクトが強いですよね。今回の展示は花が真下を向いているので、極めて撮影しにくかったです。
    タジンは花茎がカールして、髪飾りにはうってつけですね。
    ゴンズイの実を撮ってからもう10日以上過ぎましたから、もう亡くなっているかもね。
    2016年12月22日 22:45
  • 長さん

    月奏曲さん、コメントありがとうございます。
    ドラクラ・ベラの名付け親はどんな審美眼をしているんでしょうね。
    タジンは小さな花ですが、良い香りがします。
    あー、イースターですか。そう言えば、イースターエッグというチョコレートがあった。
    2016年12月22日 22:49
  • mori-sanpo

    世界の野生ランの中には、ドラキュラなどの名がついた変わった形と色の花があるんですね。
     一方、タジンはミヤンマーの国花だけのことがあり、無垢な感じの花ですね。
    2016年12月22日 22:58
  • ロシアンブルー

    今晩は。
    変わった珍しいランですね~。
    ドラクラとは色といいネーミングも驚きですね。
    紅葉の始まるころ筑波実験植物園へ行ってみました。ゴンズイの実が鈴なりでみごとでした。
    2016年12月22日 23:53
  • 長さん

    mori-sanpoさん、コメントありがとうございます。
    これらの風変わりなランを見てドラキュラを連想した人は凄いですね。気味が悪いかもしれないので、清楚なタジンの花を載せました。
    2016年12月23日 00:05
  • 長さん

    ロシアンブルーさん、コメントありがとうございます。
    ランはこんなに変わった花が咲くのもあり、奥深いですよね。
    このゴンズイはW5区で見たものですが、多分同じ気をご覧になったのだと思います。
    2016年12月23日 00:09
  • なおさん

    小竜というのと吸血鬼というのではずいぶんとイメージが違いますが、渋い色あいで個性的な形で面白いランがあるものですよね。
     タジンは清楚で香りも良いとは良いですね。髪飾りなどにも良いのでしょうが、そうそうたくさんあるものでないでしょうから、見て楽しむのが良いのでしょうね。

     コトネアスターやらゴンズイやらこの時期は実を捜し歩くのも楽しみですね。
    2016年12月23日 06:10
  • すーちん

    お早うございます
    長く伸びた髭の様な
    ものは如何いう効果
    が有るんでしょうね~
    面白いですね~
    2016年12月23日 07:39
  • 長さん

    なおさん、コメントありがとうございます。
    ランの名前は先に登録した人に権利があるので、花のイメージとは異なった名前が付くことがありますね。
    ミャンマーでは髪飾りに使われるくらいですから、鉢植えでも花が咲くタジンですが、日本で開花させるのは難しいそうです。
    2016年12月23日 10:16
  • 長さん

    すーちんさん、コメントありがとうございます。
    ドラクラ属(ドラキュラ属)の花から長く伸びたものは、花粉を媒介してくれるある種のハエを誘っているのではないかと思います。
    2016年12月23日 10:21
  • ジュン

    モンキーオーキッド
    属名は「吸血鬼ドラキュラ」なのに
    日本ではモテモテでしたね
    タジン
    綺麗なお花と思いましたら
    髪飾りになるのですね
    品があってステキですね
    2016年12月23日 13:11
  • 長さん

    ジュンさん、コメントありがとうございます。
    モンキーオーキッドは、さる年にちなんで、今年の世界らん展日本大賞でも展示されていました。
    つくば植物園によると、タジンの香は「新しい干し草のような」という形容を使っていました。想像できますか?
    2016年12月23日 15:36
  • K.たじまん

    吸血鬼ドラキュラとは名前が可哀相ですね!珍しい見たこともない蘭があるので驚いています。蘭って本当にたくさんの種類があるんですね!
    2016年12月23日 20:52
  • 長さん

    K・たじまんさん、コメントありがとうございます。
    ドラキュラなんて属名を考えた人はどういう神経をしているんでしょうね。しかし、こんな変な花が咲くものもあるのがラン科の特徴です。奥が深いですよ。
    2016年12月23日 22:01
  • 無門

    こんにちは

    ミャンマーの女性のやさしさ
    花に表れているようですね
    タイとビルマ国境に3か月ほど・・
    懐かしいです
    2016年12月24日 18:41
  • 長さん

    無門さん、コメントありがとうございます。
    タイとビルマの国境に滞在されたことがあるのですね。もしかすると、タジンの髪飾りをご覧になったかも。
    2016年12月24日 21:34
  • 蘭の花は、種類も多く美しいですね。
    初めて出会う蘭の花たちに感激しています。
    いつも優しいコメントを頂き有難うございました。
    来年も宜しくお願い致します。
    良いお年をお迎えください。
    2016年12月31日 13:51
  • 長さん

    心さん、コメントありがとうございます。
    こちらこそ来年もよろしくお願いします。
    これまで多くのランを見てきましたが、毎回初めて出会う品種に出合います。中には不細工なランもありますが、多くは美しいものです。来年も1月初旬かららん展が開催されますので、出かけてみたいと思っています。
    よいお年をお迎えください。
    2016年12月31日 14:41

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