12月10日から18日まで開催されていた「つくば蘭展」の第2会場で見た、「筑波実験植物園の世界の野生ランコレクション」の中から紹介しています。
写真の下に記載したコラムは、つくば植物園による「見どころや育て方」の紹介文です。
ニューギニア島と周辺の標高750~2500mくらいの苔むした木の枝に付いています。花もちが大変長く、ひとつの花が6ヶ月以上も咲いています。自生地は半日くらい霧がかかり、風がよく通ります。こんな環境を温室で作ることは難しいので、世界中で栽培に成功した例は殆どありません。プラスチックの小さい鉢に水苔で植えて、1年を通して鉢の中がしっとりした状態を保つと、良く育ちます。夏の暑さにもとても弱いので、夜温を下げるのも大切なポイント。
プレウロタリス ヴィドゥアタ
プレウロタリス ヴィヅアタ Pleurothallis viduata
葉から花茎が伸びて、小さな花が咲いています


クリオネに似ているというのですが、下から覗ける角度では
なかったので、「花写真素材館」から写真を拝借しました

プレウロタリス ヴィヅアタ Pleurothallis viduata
葉から花茎が伸びて、小さな花が咲いています
クリオネに似ているというのですが、下から覗ける角度では
なかったので、「花写真素材館」から写真を拝借しました

この花、何かに似ていませんか?そう、クリオネそっくり。ルーペでしっかりご覧下さい。種小名のviduataはラテン語で「見捨てられた・やもめになった・失われた」といった意味の不思議な名前です。ルアー(Luer)さんという研究者がアメリカの植物園で咲いたこのランを調べたら新種でした。しかし、誰がどこで採集したのか分らなかったので、こんな名前を付けたそうです。自生地はエクアドルらしいのですが、いまだ誰も野生で生えている姿を見ていません。
セロジネ オヴァリス (コエロジネ オヴァリス)
Coelogyne ovalis
中国南部~インド東部の標高600~2100mに分布する着生ラン
偽鱗茎(茎の節間から生じる貯蔵器官)を伸ばして、その先端に咲く

セロジネ ツロヴェッツィイ
Coelogyne zurowetzii
カリマンタン島(ボルネオ島)に分布する着生ラン

セロジネ インクラッサタ
Coelogyne incrassata
カリマンタン島、スマトラ島、ジャワ島に分布する着生ラン
葉は枯れているのではなく、緑から変化するらしい

ホルコグロッサム キンバリアヌム
Holcoglossum kimballianum (=Vanda kinbarianum)
中国(雲南)~インドの1200~1800mに分布する着生種
花弁に網目があるので、昔は近縁のバンダ属に分類されていた
ネット画像は唇弁を大きく改良したものばかりが目立つ

エランギス ルテオアルバ ロードスティクタ
Aerangis luteoalba var. rhodosticta
アフリカ大陸東部が原産の小型の着生ラン
クリーム色(または白)の花弁の中央にある赤い蕊柱が可愛い

Coelogyne ovalis
中国南部~インド東部の標高600~2100mに分布する着生ラン
偽鱗茎(茎の節間から生じる貯蔵器官)を伸ばして、その先端に咲く
セロジネ ツロヴェッツィイ
Coelogyne zurowetzii
カリマンタン島(ボルネオ島)に分布する着生ラン
セロジネ インクラッサタ
Coelogyne incrassata
カリマンタン島、スマトラ島、ジャワ島に分布する着生ラン
葉は枯れているのではなく、緑から変化するらしい
ホルコグロッサム キンバリアヌム
Holcoglossum kimballianum (=Vanda kinbarianum)
中国(雲南)~インドの1200~1800mに分布する着生種
花弁に網目があるので、昔は近縁のバンダ属に分類されていた
ネット画像は唇弁を大きく改良したものばかりが目立つ
エランギス ルテオアルバ ロードスティクタ
Aerangis luteoalba var. rhodosticta
アフリカ大陸東部が原産の小型の着生ラン
クリーム色(または白)の花弁の中央にある赤い蕊柱が可愛い
カメラの腕が未熟なもので、ピントが合っていない写真を量産してしまいました。悔しいので、16日にまたつくば植物園に行ってしまいました。
朝一で行ったのですが、この日はとても寒く、4cmほどの霜柱が出来ていました。
寒いのに、熱帯資源植物温室の外で、ゴクラクチョウカ (極楽鳥花) が綺麗に咲いていました。
12月12日、16日撮影。
(つづく)
この記事へのコメント
寿々木
イッシー
小さな花も可憐ですねー!
shuuter
大きな鉢にしていましたが、場所の関係で小さい鉢に変えました。花咲いてくれるかどうかわかりません。
花は新春に咲くのですが、楽しみにしています。
長さん
コップ入りのクリオネですか。それは面白いですね。6、7年前、紋別流氷科学センタークリオネを見たことがありますが、確かに頭から旨に掛けて橙色ですね。プレウロタリス ヴィドゥアタは橙色じゃなく、赤紫でした。
長さん
ランは標高の高い森林や岩場にしがみつくように生息している種類が多いようです。
長さん
セロジネを育てていらっしゃいますか。雲霧林に着生するランだそうですから、水を切らさなければ、来春きっと花が咲きますよ。
nobara
こんなに小さくてかわいくて~
花のもちもイイとなると欲しいですね。
ほんとにクリオネですね。
私も長さんと同じく流氷科学センターで見ました。
月奏曲
次回から16日の分になるのかな?一気に冷え込んだから霜でてますね。
16日は綺麗に撮れたのかドキドキしつつ…w
river
なおさん
寒い朝の霜柱もこの時期ならではのものですので、寒さを伝えるには良い素材ですね。
長さん
ランは華やかな大きな花という印象が強いですが、原種ランの中には小さくても綺麗なものもあります。6ヶ月も咲き続けるとは驚異的ですね。
nobaraさんも、紋別でクリオネをご覧になりましたか。写真に撮るのに苦労した記憶があります。
eko
プレウロタリスはほんとにクリオネにそっくりで可憐です。
クリーム色に赤い蕊柱の花も可愛らしいですね。
冷え込んで霜柱が見られたのですね。こちらではどうだったのか朝遅いので見ていません(苦笑)
長さん
実は、返り討ちに遭ってしまったので、当面、2日分の中から選んでアップすることになると思います。マクロレンズを持って行かなかったのが敗因です。
長さん
つくば蘭展は、その時期に開花している野生ランの中から選りすぐって展示してくれるので、毎回楽しみなんです。今でも蘭ハンターはいるのでしょうね。
長さん
オートフォーカスに頼ると駄目ですね。花が小さくなると、後ピンや前ピンが多くなる確率が高いです。モニターで確認するようにしているのですが、撮影対象が多すぎて(なんて、言い訳ばっかり・・・笑)。
我が家のあたりは霜柱が出来るような土が少ないので、こういう風景は新鮮です。
長さん
つくば植物園の学芸員たちはとても優秀らしく、自生していた環境に合わせた飼育法を研究しています。ですから、こういう展示会は、本当は、彼らにとってあまり良くない環境なんですね。
我が家のあたりで氷点下になる日はまだないし、私も早起きは苦手なんで、こんなシモバシラを踏みつけて歩くと嬉しくなっちゃう(笑)。
mori-sanpo
やはり、プレウロタリス ヴィドゥアタの小さな清楚な花の方に魅力を感じます。
長さん
野生ランは15,000種以上あるそうですから、美しいものばかりとは限りません。今回のらん展でもグロテスクなランが展示してありました。
プレウロタリス ヴィドゥアタは花経2.5cm位の小さなランです。
すーちん
プレウロタリア、葉から
茎が出てるんですね
花筏思い出しました
shizuo
悔しいので、16日にまたつくば植物園に」。
んん~、再チャレンジ、さすが長さん!
わかりますそのお気持ち、さすがです。
心地よかったですね、霜柱を踏む音^^。
長さん
プレウロタリスは葉の主葉脈から花茎が伸びています。ランの中には主葉脈から直接花が咲いているものも見たことがあります。これはハナイカダと同じですね。
長さん
再チャレンジしてきたのですが、予定した時間内にたくさん写真を撮ろうとすると、矢張り粗製濫造気味になってしまい、結果的に返り討ちに遭ってしまいました。
ジュン
葉が大きいのに小さな可愛いお花で
驚きました
無門
ニューギニアは
赤道直下にありながら
高山ではとても多湿で
こういった蘭には絶好の地でしょうね
長さん
プレウロタリス ヴィドゥアタ、こういう大きな葉を持つランは、概ね生育条件が悪いところでしか生きる場所を見つけられなかった植物だと思います。それだけに、昆虫を視覚的におびき寄せる可愛い花を付けたのでしょう。
長さん
高温多湿の環境で原生するランは多いですね。加湿された温室とは言え、彼らには酷な環境なんでしょう。
K.たじまん
はるる
大変なご苦労だと思います。こうして出来上がったもの、貴重ですね。クリオネに似ているもの、葉が枯れているように見えるもの、いろいろありますね。撮り直しにお出かけになってご苦労さまでした。お気持ちわかるような気がします。
長さん
ヴィヅアタの3枚目の写真がよく見えましたか。私が撮った写真じゃないんだけれど・・・、まっ、いいか。
長さん
原生ランはその生息していた環境を再現してやらないと上手く育たないものがあるから、大変なんですよ。
綺麗なもの、可愛いもの、変わったもの、等々、色々あるのでたくさん写真を撮りたくなってしまうのですが、結果的に粗製濫造気味で・・・。