つくば野生ランコレクションから(1) パフィオペディルム、プティロスティルス、ハベナリアなど

つくば蘭展にて(1)
 つくば蘭展は今年3月に開催されたのですが、12月にも開催するとのことで、12日に早速行ってきました(~12月18日まで)。
 つくば蘭展の第1会場は熱帯資源植物温室で、「つくば洋蘭・水戸市植物公園蘭科協会作品展示」、第2会場は多目的温室で、「筑波実験植物園の世界の野生ランコレクション公開」となっています。
 今回は、第2会場に展示された野生ランからご紹介しようと思います。写真の下に記載したコラムは、つくば植物園による「見どころや育て方」の紹介文です。

パフィオペディルム インシグネ サンデラエ
Paphiopedikum insigne f. sanderae
インド北東部、バングラデシュ、ヒマラヤの
標高1000m~2000mの石灰岩地帯に生える
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 花弁の1枚が袋状になっていますが、昆虫を食べるわけではありません。袋の中に滑って落ちた昆虫が這い上がる時に、花粉を背中につけて受粉させる巧妙なワナになっています。
 この種は本来薄い黄褐色の花ですが、黄色い花を咲かせる突然異変株が1888年に発見され‘サンデラエ’と名付けられました。 この株はかつて新宿御苑からきたものです。1914年の同苑の栽培植物目録に掲載されていますので、100歳を超えたご長寿様です。


プテロスティリス オフィオグロッサ
Pterosthlis ophioglossa
オーストラリア、ニューカレドニアに分布する地性ラン
地下に小指大の球根(バルブ)を持っている
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 サトイモ科のカラスビシャクのような、ランとは思えない不思議な花です。花の中から舌をペロッと出しているのが花弁の1枚、唇弁です。ここから出る化学物質に騙されて、キノコバエのオスは唇弁をメスと勘違いして交尾します。その表紙に唇弁が後ろに倒れ、もがいて隙間から出ようとするオスの体に花粉がつきます。カラスビシャクの仲間もキノコバエなどを騙して受粉に利用するので、両者の「他人のそら似」はキノコバエを騙すという同じ理由だったことが分ります。


ハベナリア カルネア
Habenaria carnea
マレー半島の石灰岩地帯に分布する、サギソウやミズトンボに近縁
の植物。球根を持ち、冬期は地上分が落葉する
唇弁の形が面白い。花色は淡いピンクだが、個体差があるそうだ
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アッペンディクラ (種名不詳)
Appendicula sp.
ニューギニア島に分布する(アッペンディクラ属は中国、インド、タイ、
ベトナム、マレーシア、インドネシア、ニューギニア、フィリピン、
ニューカレドニアと太平洋諸島に130以上が確認されている
この種は、苞の間から花が咲いているように見える
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 これは、熱帯資源植物温室で撮った アマゾンリリー です。この花、好きなんです。
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ヒガンバナ科ユーチャリス属の球根性多年草
コロンビアのアンデス山地の10種が分布
別名ギボウシスイセン(擬宝珠水仙)

 12月12日撮影。
 (つづく)


この記事へのコメント

  • river

    またまたランの登場ですね。パフィオペディルムは「ヴィーナスの上履き」を意味する属名の通りスリッパを逆さにしたような唇弁がなんとも特徴的です。
     それにしても100年を超える長寿株というのはすごいです。
     アマゾンリリーの花も純白で清楚です。
    2016年12月15日 17:14
  • 無門

    こんにちは

    まさに競演というにふさわしい
    これ見よがしに変化する花の姿
    楽しいですね
    2016年12月15日 17:19
  • 寿々木

    パフィオペディルム、いろんな花色がありますね。ラテン語のパフィオはビーナス(美の女神)でペディルムはスリッパだそうです。
    2016年12月15日 18:39
  • shuuter

    アマゾンリリー 素敵な花ですね。

    わたくし 洋ランより 土佐カンランに熱が入ります。
    明日土佐カンラン 貼り付けます。
    2016年12月15日 20:18
  • なおさん

    あでやかな豪華なランもあれば、渋好みで面白い形のもあり変異幅が広くて、どんな好みもまかせなさい、という懐の広さがランの魅力で、ラン・バラ・クリローと3大ハマリものと言われるのもなるほどですよねえ。
    2016年12月15日 21:19
  • 長さん

    riverさん、コメントありがとうございます。
    パフィオペディルムは英語でレディースリッパとも言うようです。
    ランは育て方が良いと100年以上も生きるんですね。ビックリです。
    アマゾンリリーはミルククラウンみたいな副花冠が特徴ですね。
    2016年12月15日 21:22
  • 長さん

    無門さん、コメントありがとうございます。
    大好きなランの花、また見に行ってしまいました。第1会場も駄2会場もランの花の共演で、楽しかったです。
    2016年12月15日 21:24
  • 長さん

    寿々木さん、コメントありがとうございます。
    パフィオペディルムはスリッパみたいな唇弁が特徴です。
    クマガイソウやアツモリソウのように膨らんだものもありますね。
    2016年12月15日 21:28
  • 長さん

    shuuterさん、コメントありがとうございます。
    アマゾンリリーは下向きに咲くので、姿勢を低くしないと写真が撮れません。
    土佐寒蘭がお好みですか。私がお訪ねしているブログにもそういう方がいらっしゃいますよ。
    2016年12月15日 21:32
  • 長さん

    なおさん、コメントありがとうございます。
    一つの科でこんなに花のバラエティがある植物は他にはありませんよね。そこも、ランを好きになった理由の一つなんですよ。
    自宅で何種類も育てる技術はないので、もっぱら見て、撮って楽しんでいます。
    2016年12月15日 21:36
  • 月奏曲

    ハベナリア カルネア、サギソウに似てちょっと鳥が羽ばたく…というかエイのほうが似てるかw
    2016年12月15日 21:55
  • 長さん

    月奏曲さん、コメントありがとうございます。
    ハベナリア カルネア、面白い形でしょう。魚のエイに似ていますか?私はピンクの宇宙服を着た人に見えた(笑)。
    2016年12月15日 22:35
  • eko

    食虫植物のような袋状の花弁を持つ、パフィオペディルム花粉を運んでもらうためのユニークな形なんですね。100年を超えるとは素晴らしいですね。
    ランとは思えないようなユニークな花たちが並びましたね。
    アマゾンリリーの緑がかった白い花が素敵ですね。
    2016年12月15日 23:29
  • 長さん

    ekoさん、コメントありがとうございます。
    ランの花は花粉を媒介してくれる動物と共に進化してきたことが判りますね。100年を超えたのも裏に大変な努力の積み重ねがあったのだと思います。
    アマゾンリリー、好きな花に出会えて嬉しかったです。
    2016年12月15日 23:55
  • すーちん

    お早うございます
    パフィオぺディラムの
    綺麗に栽培されたのでなく
    野性的なのが良いですね
    2016年12月16日 07:20
  • 信徳

    ランの花が群生しているのは初めてみました。(3~4画像)
    この種の特徴なんでしょうか。
    珍しい花ですね。
    2016年12月16日 08:55
  • mori-sanpo

    つくばらん展が12月も開催されましたか。
     野生ランの数々、初めて拝見するものばかりですが、野生の力強さを感じました。
    2016年12月16日 10:27
  • 長さん

    すーちんさん、コメントありがとうございます。
    パフィオペディルムは原種ですらこんなに綺麗なんですから、これ以上改良する必要はないですよね。
    2016年12月16日 13:26
  • 長さん

    信徳さん、コメントありがとうございます。
    プテロスティリス属はほぼこのような花が咲くようです。花色は緑が多いようです、珍しいランですが、蘭展ではよく見かけます。
    2016年12月16日 13:30
  • 長さん

    mori-sanpoさん、コメントありがとうございます。
    今年はつくば蘭展が3月と12月の2回開催されたことになります。
    つくば植物園は原種ランのコレクションが多いことで知られているのです。
    2016年12月16日 13:32
  • nobara

    筑波の告知してたから・・
    長さんは行かれる?と思っておりました(笑)
    蘭三昧で、気持ちはランランですね(*^-゚)⌒☆
    プテロスティリス オフィオグロッサは
    ムサシアブミのようだと思いました。
    2016年12月16日 13:57
  • ジュン

    1つ1つ見どころを
    拝読しながら拝見
    美しいお花ですね
    2016年12月16日 14:51
  • 長さん

    nobaraさん、コメントありがとうございます。
    行動が読まれちゃいましたか。ランと聞くとじっとしていられない(笑)。実は、この日撮った写真がイマイチで、今日また行っちゃいました。
    プテロスティリス オフィオグロッサは、ムサシアブミに似ていますよね。
    2016年12月16日 15:34
  • 長さん

    ジュンさん、コメントありがとうございます。
    今回の野生ラン展示では、見どころのプリントが用意されていたので、早速使わせてもらいました。
    2016年12月16日 15:36
  • はるる

    ランがお好きなこと、よく伝わってきます。
    私はどちらかというと、普通と思っています。
    でもこうして見せていただくうちに魅力的な美しい花にひきつけられました。
    2016年12月16日 19:05
  • 長さん

    はるるさん、コメントありがとうございます。
    花好きなんですが、とりわけランは好きですねー。その美しさも然りながら、様々な色、形のランが次々に登場してくるので、好奇心をとても満足させてくれるのです。
    2016年12月16日 19:09

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