ユリノキ、3種類のスズカケノキ、精子発見のイチョウ

小石川植物園にて(10)
 4月30日に行った小石川植物園です。
 大きな植物園や公園にはユリノキが植えてあることが多いですが、ここも例外ではありません。高い梢の先に花が確認できたので、超望遠ズームで撮ってみました。
 我が家の近くのユリノキ並木は毎年強剪定をされて、殆ど花が付きませんでしたが、今年は、小さな花ですが、かなり咲いています。

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ユリノキ (百合の木)
モクレン科ユリノキ属の落葉高木
北アメリカ中部原産
日本へは明治時代初期に渡来
ユリノキ(モクレン科)
 ユリノキとシナユリノキはそれぞれ「北米と中国とに分布しており、近縁な種が隔離分布する例にあげられます。
 この木は明治の初め頃に植えられた我が国でももっとも古い株のひとつで、理学部植物学教室の員外教授として植物園で活躍した伊藤圭介が米国からもらい受けた種子を育てたものです。
 明治23年、大正天皇が皇太子の頃にご来園された際に、この木を見てユリノキと命名されたと言われています。 (植物園の説明板から)
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属名は、ギリシャ語の「leirion(ユリ)+ dendron(樹木)」が語源
(大正天皇はこの語源を知っておられたようだ) 
葉の形や花の形から、半纏木、軍配の木、奴凧の木、
蓮華木、チューリップツリーなどの別名がある


3種類のスズカケノキが近くに植えられており、比較できるようになっています

スズカケノキ (鈴掛の木、篠懸の木)
スズカケノキ科スズカケノキ属の落葉広葉樹
原産はヒマラヤ地域~バルカン半島
この木は明治9年に導入された日本で最古の木のひとつ
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葉の切れ込みが深い
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アメリカスズカケノキ (亜米利加鈴懸の木)
原産は北米東部。日本には明治時代に渡来した
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葉の切れ込みは浅い
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モミジバスズカケノキ (紅葉葉鈴懸の木)
英国でアメリカスズカケとスズカケノキを交雑して作った雑種
プラタナスとも言われ、街路樹としてもおなじみ
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葉の切れ込みは両者の中間
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精子発見のイチョウ
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精子発見のイチョウ
 1896(明治29)年 平瀬作五郎は この雌の木から採取した若い種子において精子を発見した。
 それまで種子植物はすべて花粉管が伸長し造卵器に達して受粉するものと思われていたので、この発見は世界の学会に大きな反響を起こした。
 平瀬は当時帝国大学植物学教室の助手で、講義や研究のために図を描くかたわら「イチョウの受胎期および胚の発生に関する研究」を行っていた。
 このイチョウ精子発見は池野成一郞のソテツ精子発見とともに日本の近代植物学の発展期における最大の貢献と言われている。  (植物園の説明板から)

 4月30日撮影。
 (つづく)





テイカカズラ (定家葛)

 5月9日、所用で通りがかった日比谷公園のフェンスにテイカカズラが絡みついていました。
 キョウチクトウ科テイカカズラ属のつる性常緑低木。有毒植物。
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花弁はわずかに捻れており、スクリューみたい
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 和名は、式子内親王を愛した藤原定家が、死後も彼女を忘れられず、ついに定家葛に生まれ変わって彼女の墓にからみついたという伝説(能『定家』)に基づく。


この記事へのコメント

  • 黄昏龍

    今日は~
    本日は朝からアカバナトチノキを午前中に
    見に行っており先程帰宅しました。

    テイカカズラも久しくお目にかかって
    おりませんが、土曜日に目白に仕事で
    いきますので、学習院大傍の下り坂に沢山
    植えてあった事を思いだしたので・・・
    確認してきます。
    2016年05月12日 15:49
  • 花咲か爺

    先日、こちらでカラタネオガタマの花を拝見して、早速今日緑化植物園へ出かけてきました。木の側に寄ると良い香りがしていました。テイカカズラ、スイカズラも咲き花の移り変わりの速さにうっかりしている間に見過ごしてしまいそうです。ユリノキの花、高い場所で大きな葉の影に成り撮るのには苦になる花ですが良く撮れていますね。
    2016年05月12日 16:06
  • みっきい

    初めてユリノキの花を見た時はビックリしました。
    5年ほど前、官公庁街の街路樹はプラタナスか?と見上げていたら、花が咲いていたのです。チューリップツリーとも呼ばれているんですね。
    小石川植物園には3種の鈴懸の木が並んでいるんですね?
    葉の切り込みが違うだけで同じに見えますが、プラタナスは雑種なのですね?
    ここに60年前精子発見のイチョウの木が有るのですね。
    裸子植物のソテツにも精子があるとは全く知りませんでした。
    テイカカズラの花も白から黄色に変わるのですね!?
    スイカズラとは関係ないですね!?
    本当に知らない事ばかり…ごめんなさいね。
    2016年05月12日 17:36
  • なおさん

    ユリノキは新宿御苑にも大きいのがありますね。あまり大きいとなかなか花の中の様子が見られません。プラタナスも葉が大きいので夏には木陰になり良いものです。街路樹のは剪定されてばかりで可哀想です。

     テイカカズラはうちの近くのスーパーのフェンスに絡ませて沢山伸びています。恋しい女の墓石にまとわりつく執念もかくや、という茂り具合です。
     花はクリーム色のスクリューのようで、香りも良いですよね。
    2016年05月12日 17:49
  • river

    ユリノキは樹高が高いのでなかなか花が見えませんね。
     3種のスズカケが比較して見られるのは良いですね。でも街路樹に使われているのはプラタナスがほとんどです。
     家にちりめんテイカカズラと言う斑入りのものが一鉢ありますが何年たっても花が咲きません。
    2016年05月12日 18:53
  • 無門

    こんにちは

    大正天皇は
    詩歌文学に長けた方
    ユリノキの命名をしたんですね
    藤原定家
    今日も百人一首の学習をしてきました
    2016年05月12日 19:01
  • 長さん

    黄昏龍さん、コメントありがとうございます。
    アカバナトチノキをご覧になりましたか。私も昨日、南流山のアカバナトチノキ並木を見てきました。
    テイカカズラ、まだ咲いていると良いですね。
    2016年05月12日 21:24
  • shuuter

    テイカカズラ 今日武田尾で撮りました。

    スズカケノキ まだ見たことないです。鈴懸の道 うたがありましたね。jazz化した歌よく聞きました。
    2016年05月12日 21:25
  • 長さん

    花咲か爺さん、コメントありがとうございます。
    タカラネオガタマの良い香りを確認されましたか。
    今年はあらゆる花が早く咲きますから、うっかりすると花期を過ぎてしまいますね。
    ユリノキはかなり高かったのですが、1400mm相当の超高倍率ズームコンデジで撮ることが出来ました。
    2016年05月12日 21:32
  • 長さん

    みっきいさん、コメントありがとうございます。
    ユリノキの花、大きさは違いますが、形はチューリップに似ていますね。
    日本ではプラタナスが有名で、街路樹などに採用されているものは殆どこれです。
    イチョウやソテツで精子が発見され、植物の花粉授受のメカニズムが解明されたんですね。
    テイカカズラの花は次第に黄色が濃くなるようです。カズラはつる性の植物という意味ですから、科が違っても不思議ではありません。
    2016年05月12日 21:42
  • 長さん

    なおさん、コメントありがとうございます。
    新宿御苑のユリノキはイギリス風景式庭園にありますが、花の頃に行ったことはないのです。プラタナスの並木の奥から眺めると正面に見えますね。
    テイカカズラは半日陰で適度に湿った土なら良く育つそうですね。
    2016年05月12日 21:51
  • 長さん

    riverさん、コメントありがとうございます。
    ユリノキは成長が早く、高木になりますね。葉が大きく、日陰が出来るので、街路樹でも採用されていますが、毎年剪定されてしまい、大きくなれません。
    ススカケの木が3種類見られるのは、植物園だからですよね。
    チリメンテイカカズラは葉が縮れている矮性種だそうですね。何故花が咲かないのでしょう。
    2016年05月12日 21:58
  • 長さん

    無門さん、コメントありがとうございます。
    大正天皇は文学だけでなく、植物にも興味があったようですね。
    テイカカズラですが、気根をだして樹木や岩壁をよじ登る性質が、藤原定家の執念深さに例えられたんですね。
    2016年05月12日 22:02
  • 長さん

    shuuterさん、コメントありがとうございます。
    テイカカズラを撮られましたか。
    日本で見かけるのは殆どがプラタナスですから、スズカケノキは見つからないかもね。
    2016年05月12日 22:06
  • nobara

    ユリノキも国会議事堂の辺りに多く植えられていますね。
    マイパークにもたくさん聳えています。
    花後の花殻ほどには花は目立ちません。
    テイカカズラも壁面いっぱいに花が着いてるところもあります。
    スズカケの木の葉、見分けられません((+_+))
    前頁のカラタネオガタマですが・・・
    長さんはあえてタカラネオガタマって?
    何か謂れがあるのでしょうか?気になりました。
    2016年05月12日 22:38
  • 長さん

    nobaraさん、コメントありがとうございます。
    国会議事堂前のユリノキは知りませんでした。高いところで咲いているから目立たないんですかねー。我が家の近くのユリノキ並木、今年の花は小さいです。
    スカケノキの見分けは葉の切れ込みで方を覚えると、簡単みたいですが。
    あっ、タカラネオガタマになっていますね。カラタネオガタマが正しいです。すっかり勘違いしていました。ご指摘、感謝。
    2016年05月12日 23:45
  • eko

    ユリノキのチューリップのような花高い場所で咲くので撮りにくいですが、綺麗に撮れていますね。
    スズカケノキも様々ありますね。葉の違いなどよく分かりました。
    テイカカズラは芳香がきついですね。すぐわかります。
    墓にまで絡みついたという伝説が凄いですね。
    2016年05月12日 23:52
  • 寿々木

    スズカケノキ3種類有るのですか、生家のあった国道1号線の街路樹でした。
    ユリノキの葉が奴凧のようで面白いです。
    2016年05月13日 07:13
  • すーちん

    お早うございます
    大正天皇がお好きだったという
    ユリノキ、近くの公園にも有り
    ますが、高過ぎて花がよく見えません
    2016年05月13日 07:29
  • 長さん

    ekoさん、コメントありがとうございます。
    超望遠のコンデジ、安いのに優秀で、意外に良く撮れます。
    3種類のスズカケノキ、葉の切れ込みだけで同定できそうですね。
    テイカカズラは気根で実際に岩でも這い上るそうですよ。
    2016年05月13日 09:16
  • 長さん

    寿々木さん、コメントありがとうございます。
    日本でスズカケノキというと大抵はプラタナスで、並木として採用されていることが多いです。
    ユリノキの葉は半纏のような形で、奴凧とも似ていますね。
    2016年05月13日 09:20
  • 長さん

    すーちんさん、コメントありがとうございます。
    ユリノキは高木になりますから、葉の陰になって花が良く見えないことが多いですね。秋に葉が散ると実殻がたくさん付いていることに気づきます。
    2016年05月13日 09:22
  • はるる

    ユリノキ、きれいな花ですが、高いところなので、咲いているかどうか見上げたことあります。
    テイカカズラ、変わった形ですね。これは絡みつく植物なんですね。
    2016年05月13日 19:46
  • 長さん

    はるるさん、コメントありがとうございます。
    ユリノキは高木ですから、花を近くで見ることが出来ないのが難点ですね。
    テイカカズラは花弁が捻れているのが変わっていますね。石にも絡みついて登っていくそうですよ。
    2016年05月13日 23:16

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