皇居東御苑にて(3) クロヤナギの冬芽、ヤドリギの戦略、シナマンサクの咲き始めなど

 1月27日、皇居東御苑の「植物観察ガイド」に参加しました。その報告、3回目です。
 ツバキやウメの花の紹介は後日にして、冬芽観察の続きです。写真は芽の出方を説明するガイドの二宮さん(二の丸雑木林で)。
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 ドウダンツツジの冬芽は赤いうろこ状の芽鱗に包まれている(二の丸・諏訪の茶屋付近で)。
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 クロヤナギの姿。まだ黄葉が残っていた(本丸・松の広場付近で)。
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クロヤナギの冬芽は黒い毛に包まれている
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 ケヤキの木に取り付いたヤドリギ(本丸・松の広場付近で)。
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 ここで、二宮さんがヤドリギの種を見せてくださった。種は粘着性の物質によって包まれており、それは長く伸ばしても切れることはない。二宮さんは、ヤドリギの戦略についてお話になったが、それは下記コラム参照。
 下の写真で先端についているのが種。
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ヤドリギの戦略(ナショナルジオグラフィックのHPから引用)
 木の枝に根を張って養分をいただくとともに、自分でも光合成を行って育つ半寄生植物のヤドリギの場合、地面に種を撒かれても育つことはできない。そのためヤドリギは種をビシンと呼ばれる粘着性の物質で包むことにした。
 このビシンは野鳥の胃の中でも消化されず、糞とともに種が排泄されると、ビシンの粘着力によってヤドリギの種は、野鳥のお尻にまるでキンギョの糞のように付着することになる。お尻に種が付着するのだから、野鳥にとってはさぞ気持ちの悪いことだろう。木の枝にお尻をこすりつけて種を取ろうとするが、これこそヤドリギが狙っていたこと。樹木の枝にこすりつけられたヤドリギの種はビシンの粘着力で枝に留まり、半寄生の生活を始めるようになる。

 ユズリハの冬芽(数枚の芽鱗で包まれている)。葉腋にある小さい方は花序が伸びる花芽らしい(本丸・松の広場付近で)。雄株か雌株かは聞き漏らした。
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 本丸休憩所付近でシナマンサクが見つかった。まだ枯れ葉が多数残っている。
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シナマンサクのつぼみ
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咲き始めたシナマンサクの花。つぼみと冬芽も写っている
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 1月27日撮影。
 (つづく)

 次回は、池袋のらん展で見た原種ランの色々を紹介します。


この記事へのコメント

  • goki

    こんにちは
    ドウダンツツジなど木々の冬芽も観察
    して行くと面白そうですね、特に
    ヤドリギの習性には驚きました。
    凄い方法で他の木々に寄生して大きく
    成るのですね。大変勉強に成りました。
    有難う御座います。
    今日は、花の名前をありがとう
    ございました。詳しくは、コメ返に
    書かせて戴きました。
    2016年02月05日 14:19
  • 花咲か爺

    冬の間は花が無いので余り公園などへ出かけませんが、冬芽、葉痕など探せば面白い物が沢山ありますね。シナマンサクももう直ぐ花が咲きますね、観察会などで説明を受けながら植物を見ると新しい思いで花にも触れられますね。
    2016年02月05日 15:18
  • river

    こちらでもヤドリギはよく見かけます。特にこの時期は寄生主に葉がないのでよく目立ちますね。また今は実がなっているので野鳥がやってきます。前橋の大室公園では桜の木についたヤドリギの実を食べにくるヒレンジャクが見られます。それを撮影する人が集まって来ます。
    2016年02月05日 15:54
  • nobara

    ヤドリギって信州の白樺などにも多いですね。
    ヤドリギの黄金の実、小っちゃい頃はよく遊んでいました。
    粘着質の糸を引くのが面白くて~
    生命の樹とか創造の樹とか言われていますよね。
    実のついたヤドリギ、絵になります。
    それにお話を伺うにつけ逞しいモノですね。
    黒柳っていうのがあるんですね@@
    2016年02月05日 16:38
  • 長さん

    gokiさん、コメントありがとうございます。
    ヤドリギの戦略は面白いですね。ネットで画像検索すると、鳥がおしりから種をぶら下げている姿を見つけることが出来ました。gokiさんも野鳥観察がお好きなようですから、そんな姿を見ることが出来るかもしれませんね。
    2016年02月05日 17:36
  • 長さん

    花咲か爺さん、コメントありがとうございます。
    私も花の時期はあれこれ見て回りますが、冬の時期、花のない植物には無関心でした。今回の植物観察ガイドで、冬でも植物観察が楽しめると言うことを知りました。
    2016年02月05日 17:38
  • 長さん

    riverさん、コメントありがとうございます。
    木の葉が少なくなると常緑のヤドリギが目立つようになりますね。ヤドリギがなぜ高いところに寄生できるのか、いままで関心がなかったのですが、今回の説明で俄然興味がわきましたよ。
    ブログ友さんの写真を見ると、ヒレンジャクはくちばしの付け根と尾の先端が赤い鳥のようですね。
    2016年02月05日 17:43
  • 長さん

    nobaraさん、コメントありがとうございます。
    ヤドリギの実で遊んだことがおありですか。今回、粘着性の糸を見せてもらいましたが、長く伸ばしても切れませんね。こんな性質なら子供たちの興味の的になりますね。
    クロヤナギはネコヤナギの突然変異で、雄株しかないそうです。黒柳さんがおられるので、昔から知られている木なんですかねー。
    2016年02月05日 17:48
  • みっきい

    植物観察ガイドさんお冬芽の説明は楽しいですね。
    ヤドリギは見た事ありますが、こういう方法で小鳥に食べられてヤドリギになるのですね!?勉強になりました。
    ドウダンツツジの冬芽ですが、うろこ状の芽鱗とありました。今日私も剪定された街路樹ですが、赤い頭のマッチ棒が並んでいるようで、可愛いなぁ~と写真に撮ってきました。
    紫陽花の冬芽の下にお猿さんはいませんでした。
    花水木の冬芽が枝先にびっしりついていました。
    冬の木々の姿も楽しいものですね。ありがとう!
    2016年02月05日 17:52
  • 長さん

    みっきいさん、コメントありがとうございます。
    鳥に実を食べさせ、種を遠くに運んでもらう植物は多いですが、ヤドリギは良くまあこんな方法を考え出したものですね。
    細菌はマッチを見なくなりましたが、そういえばマッチの頭は赤かったですね。
    ハナミズキの冬芽は花になるので、花芽と言っても良いのかもしれませんね。
    2016年02月05日 18:45
  • mori-sanpo

    大町にある長田谷津では、市川市の学芸員が中心になって毎月30人ほどで自然観察会を行っています。
     2年間ほど参加しましたが、最近では少しさぼっています。
     参加者と歩くたびに、いろいろ発見がありましたが、ヤドリギの種ついては見落としていました。
    2016年02月05日 20:01
  • 無門

    こんにちは

    ヤドリギの戦略
    はじめに粘着ありきなのか
    それとも
    後天的に学習したものか
    2016年02月05日 20:42
  • eko

    冬芽をしっかり見ませんので、こうして見せて頂くと面白いものですね。
    ヤドリギの戦略、鳥を介して子孫を増やすための仕組みが興味深く面白いですね。
    2016年02月05日 21:24
  • 長さん

    mori-sanpoさん、コメントありがとうございます。
    大町自然観察園でも植物を案内してくれる自然観察会があるのですね。それは良いことを知りました。機会があれば参加してみたいと思います。
    ヤドリギの粘着力、すごいです。
    2016年02月05日 21:25
  • なおさん

    万葉のいにしえには「ほよ」と呼ばれたヤドリギですが、神聖なものと考えられていたようです。それは西洋でも同じようで、フレイザーの「金枝篇」など読みますと、やはり神聖視されていたことが分かります。
     
     新潟の燕温泉に行ったときも、近くの山に見事なボール状のヤドリギがついている樹が多く見られましたし、軽井沢周辺の林でも、ずいぶんヤドリギを見ました。

     シナマンサクの花もほころんできましたね。満開になると香りがするものもあり、良いですよね。
    2016年02月05日 21:29
  • 長さん

    無門さん、コメントありがとうございます。
    ヤドリギの粘着力、威力を発揮するのは鳥に食べられた後ですよね。それを予知できるなんて不思議ですね。
    2016年02月05日 21:30
  • 長さん

    ekoさん、コメントありがとうございます。
    冬芽の観察なんて今までやってみようなんて思いませんでしたが、この観察ガイドが良い機会を与えてくれました。
    ヤドリギの戦略、面白いですね。運良く宿主に取り付けると、「宿主の樹皮を破って幹や枝の内部に「寄生根」を伸ばし、維管束付近にまで進入する」のだそうです。
    2016年02月05日 21:36
  • 長さん

    なおさん、コメントありがとうございます。
    ヤドリギは神聖なものと考えられていたのですか。ヤドリギの子孫を残す力に神秘的なものを感じたのでしょうか。
    ヤドリギは私も何カ所かで見たことがあるのですが、実が付く頃は見ていないです。もっとも、高いところだから実が出来ていても見えない?
    シナマンサク、2度目に行ったときもこの姿でしたから、早く咲きすぎて「しまった」と思ったのかもね。
    2016年02月05日 21:41
  • shuuter

    植物観察会にさんかされましたか、ヤドリキの話おもしろいですね。アララしい話が聞けますね。

    シナマンサクさきはじめたようですね。黄色の花春の花です。
    2016年02月05日 21:53
  • 長さん

    shuuterさん、コメントありがとうございます。
    ヤドリギが種に粘着性の物質をまとわせるなんて、うまい繁殖方法を考え出したものです。半寄生植物の知恵ですね。
    シナマンサク、一輪咲かせてみたものの、まだ寒かったと言うところでしょうか。
    2016年02月05日 23:46
  • 寿々木

    譲り葉は葉柄が赤いから雌株ですね。シナ満作、赤花満作は当地で花が咲き始めている枝を1月28日に撮りました。明日紹介します。
    2016年02月06日 07:24
  • 長さん

    寿々木さん、コメントありがとうございます。
    ユズリハの雌株の葉柄は赤くないと聞いていますが、どちらなんでしょう。
    シナマンサクやアカバナマンサクが咲き始めましたか。当地でもあと一週間くらいでしょうね。
    2016年02月06日 08:31
  • 小梨

    ヤドリギの戦略、面白いですね~。
    2016年02月06日 09:55
  • 長さん

    小梨さん、コメントありがとうございます。
    ヤドリギの戦略、どうしてこのような性質を見つけたのか、とても不思議ですね。
    2016年02月06日 10:14
  • りりい

    冬芽の観察、興味深く拝読いたしました。
    我が家のドウダンツツジも小さい赤い芽が見えます。
    ヤドリギのお話、面白かったです。へ~え、そうだったんだと納得です。
    これからの季節、マンサクを始めとして、黄色の可愛い花が楽しみになってきますね。
    2016年02月06日 15:43
  • 長さん

    りりいさん、コメントありがとうございます。
    今まで漠然と見ていた冬芽、植物により色々な形態や色があることが分かりました。ヤドリギの種の話もそうですが、ガイドが付いてくれると新しい発見があって楽しいです。
    2016年02月06日 17:59
  • はるる

    ヤドリギ一度見てみたいと思っています。戦略、おもしろいし、すごいものですね。冬芽、たしかにこうなっています。
    ガイドさんは全部知っていて、わかりやすく話されているのだと思いますが、これも特技ですね。
    2016年02月06日 21:14
  • 長さん

    はるるさん、コメントありがとうございます。
    ヤドリギは我が家の近くでも目にしたりしますから、高い木が何本も生えているようなところなら見つかるかもしれません。ただ、高すぎてよく見えない(笑)。
    このガイドは、公益財団法人菊葉文化協会がガイド養成を行い、認定された方が努めていらっしゃいます。知識や経験が必要ですね。
    2016年02月06日 22:21

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