カエデガイドツアー(1) なぜ楓と書くの?
11月21日、都市緑化植物園の展示棟前広場で昼食中に、カエデのガイドツアーがあることを知り、参加しました。
「専門家ガイドツアー 楓 講演会」と題するもので、講師にはNHK趣味の園芸でもおなじみの川原田邦彦氏が予定されていました。ところが,東京外環が杭打ち機倒れ込みで通行止めになった関係で到着が間に合わず、急遽、元園長の山下英夫氏(森林公園マイスター)が担当されることになりました。
13時半に都市緑化植物園の展示棟前からスタートしたガイドツアーは、まず、「カエデがなぜ『楓』と書かれるようになったのか」というお話です。
以下はお話の覚え書きですが、適当に読み飛ばして下さい。
◎楓(フウ)は、本来、マンサク科(現在はフウ科)フウ属の落葉高木の名である。 ◎カエデはカエデ科カエデ属である(カエデ科は、新しいAPG植物分類体系ではムクロジ科に含められている)。 ◎中国で黄葉する木と言えば、フウが一般的で、紅葉する木はあまり無い。 ◎昔(奈良時代)はカエデのことを「かえるで(蛙手)」と言っていた(それがなまってカエデに)。 ◎平安時代、中国から「楓」という文字が伝わってきて、「かえるで」を「ふう」とも言うようになり、「楓」の字が当てられた。 ◎有史以前、紅葉する木は世界にあったが、氷河期に殆ど絶滅した。比較的温暖だった日本列島には多くの種類のカエデが生き残った。
楓についての講義を終わり、「カエデ園」に向かいます。カエデ園には日本産約35種のうちの18種、外国産2種、園芸品種約50種で、約500本植栽されています。
カエデ園の紅葉ガイドです。右上から左下方向へ歩きました
ハナノキ(花の木、別名:ハナカエデ)
本州(長野県、岐阜県、愛知県)の湿地に分布。雌雄異株。日本固有種
愛知県の県木。絶滅危惧II類。 高木で、葉が殆ど散っていた
名の由来は、4月頃、葉が展開する前に赤い花を咲かせるから
ちょっと古いですが、新宿御苑で2010年11月末に撮ったハナノキです
チドリノキ(千鳥の木、別名:ヤマシバカエデ)
北海道~九州の山地、渓間に分布。雌雄異株。日本固有種
カエデらしくない葉で、2枚ずつ出る
花序が長く、果実も長く垂れ下がる。この姿を群れ飛ぶ千鳥に見立てた
オオモミジの紅葉
ハナノキ(花の木、別名:ハナカエデ)
本州(長野県、岐阜県、愛知県)の湿地に分布。雌雄異株。日本固有種
愛知県の県木。絶滅危惧II類。 高木で、葉が殆ど散っていた
名の由来は、4月頃、葉が展開する前に赤い花を咲かせるから
ちょっと古いですが、新宿御苑で2010年11月末に撮ったハナノキです
チドリノキ(千鳥の木、別名:ヤマシバカエデ)
北海道~九州の山地、渓間に分布。雌雄異株。日本固有種
カエデらしくない葉で、2枚ずつ出る
花序が長く、果実も長く垂れ下がる。この姿を群れ飛ぶ千鳥に見立てた
オオモミジの紅葉
(つづく)
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つくば植物園にて(2) 11月13日撮影
ジャーマンダー・セージ
シソ科アキギリ属の常緑多年草。アメリカ中南部~メキシコ北部原産
学名:サルビア・カマエドリオイデス、別名:メキシカンブルーセージ
(熱帯資源植物温室の南側、屋外花壇にて)
スミシアンサ‘ジュンコ’
イワタバコ科スミシアンサ属の多年草。原産はメキシコ~グアテマラ
イギリスで多くの園芸種が作出された。‘ジュンコ’は日本作出か?
(熱帯資源植物温室の入口、風除室にて)
シソ科アキギリ属の常緑多年草。アメリカ中南部~メキシコ北部原産
学名:サルビア・カマエドリオイデス、別名:メキシカンブルーセージ
(熱帯資源植物温室の南側、屋外花壇にて)
スミシアンサ‘ジュンコ’
イワタバコ科スミシアンサ属の多年草。原産はメキシコ~グアテマラ
イギリスで多くの園芸種が作出された。‘ジュンコ’は日本作出か?
(熱帯資源植物温室の入口、風除室にて)
(つづく)
この記事へのコメント
寿々木
フウの実はイガイガでプラタナスのみに似てますね。モミジバフウも同じようなのをつけます。
river
面倒なので赤く色づくのがモミジと答えることにしています。
無門
カエデも
氷河期の贈り物だったんだね
いろいろに呼ばれるのは
それだけ人気がある証拠だね
長さん
落葉広葉樹は北半球の温暖地域に多く存在していましたが、その多くが氷河期に絶滅したと考えられています。日本は黒潮のお陰で冷え切らず、生きながらえたのだそうです。
タイワンフウとアメリカフウは同属ですから実の形はそっくりですね。プラタナスは同じ丸い実ですが、イガイガがないところが異なります。
長さん
カエデとモミジ、非常に曖昧に使われていますね。そんなこともあり、園で頂戴したチラシの裏面を貼り付けておきました。
紅葉と黄葉、読み方は同じですが、黄葉は正確には「おうよう」ですよね。これも曖昧な国民性の表れでしょう。
長さん
暖かい黒潮のお陰で、日本は氷河期でも氷に覆われることがなかったのですね。これは奇跡と言っても良さそうです。
みっきい
良く分かりました!と言いたいところですが、
タイワンフウ、アメリカンフーなどが楓(フー)で、
楓(カエデ)と言われているのがモミジでしょうか?
赤くなるのがモミジと言えますか。
ハナノキは愛知県の県花ですが、木は見ていますが花は未だ見ていません。
あいまいさの国民性ですか、紅葉・黄葉も紅葉です。
今日は寒波がやってきましたが、木々はびっくりして赤くならないで落葉しそうです。きれいな紅葉には、気候が影響するようですね。
ハナノキ(花の木
なおさん
武蔵丘陵森林公園の里山サポータークラブのボランティアの方限定の「里山マイスター講座」でも、この山下さんが講師となり、いろいろ教えていただけます。
カエデ見本園も11月後半はいちばんいい時期で、毎年ガイドツアーがありますし、夜間ライトアップの「紅葉見ナイト」もありますので、楽しみなことですね。
eko
カエデ園は約500本もの木が植栽されているんですか。たくさんの種類がありますね。
フウはイガイガの面白い実が付きますね。
今年の紅葉は少し残念な気がします。
今日から気温がぐんと下がりましたが、もう色づかないで散ってしまいそうです。
ハナノキは見たことがありません。一度花を見たいと思います。
長さん
フウの木と漢字をカエデの木に付けちゃったのが間違いの元ですね。
モミジの名は広い意味だったのですが、それが狭い意味であるカエデの代名詞みたいになったりするから、余計ややこしくなりました
私もハナノキの花を見たことがないのです。
昨日から急に寒くなりましたね。これで紅葉が一気に進むかも知れませんね。
長さん
山下さんは急遽ピンチヒッターになられたのですが、さすが元園長、色々知っておられて、とても楽しく拝聴しました。公園のHPで知りましたが、サポータークラブも様々な活動をしておられますね。アンケート活動をされておられる方も多く見かけました。今回もアンケートに協力し、花の種を頂戴しました。
この日も紅葉見ナイトがあったのですが、今回は夜に用事もあったので、16時20分頃退園しました。
長さん
カエデ類は40年前から植え始めたそうですが、赤松も一緒に植えたのだそうですよ。なぜ赤松なのかは次々回に載せようかと思っています。
フウの木は綺麗に紅葉しますが、それが散るとイガイガの実だけが残って、これも面白いものです。
ハナノキは日本でも一部にしか生えていないので、岐阜県にお住まいの方としてはどうしても見ておかないとね。
shuuter
アメリカハナノキとフウを後日い貼り付けます。
長さん
紅葉の進み方は、地域でも緯度でも気温の変化でも変動しますね。京都の紅葉は12月が本番じゃないですか。
アメリカハナノキは紅葉が綺麗だそうですね。
行き当たりばったり
木々の説明を聞きながら、贅沢な有意義な時間を過ごされました。こういう時間が貴重です
素晴らしいことですね
りりい
大変勉強になりました。カエデとモミジ、フウのことなど。
ミックン
こんなふうに、ガイドさん付だといろんなことが分かって面白いですね。「もみじ」と「楓」、勉強になります。以前に、タカオモミジの枝の途中で皮を剥きそのままにしているとその先だけが紅葉するという実験をしたことがありました。不思議がいっぱいの楓ですね。
すーちん
カエデの紅葉マップ
詳しく描かれてますね~
ガイドさんが居て下されば
尚更良いですね~
信徳
高い山に行くと見られます。
長さん
この公園は広いので、歩きの場合は目的地を決めて3つある入口の何処が近いかを調べなければならないほどなんですよ。
専門家の話を聞けるのは滅多にないチャンスです。
長さん
ハナノキは長野県、愛知県、岐阜県にしか自生がない絶滅危惧種なので、県の木になっていることを学校でも子供たちに教えた方が良いですね。
長さん
植物については知らないことがまだ多いですから、専門家のガイドはありがたいことです。紅葉のメカニズムは葉に樹液を送らなくなるようにすることですから、樹皮を剥ぐことはそれを人工的に引き起すことになりますね。
長さん
殆どのカエデには名札が付けられていますが、紅葉マップには葉の形から樹種がわかるイラストがあるので非常に参考になりました。これからもガイドツアーがあれば参加したいです。
長さん
紅葉や黄葉する落葉樹の種類は日本ほど恵まれた国はありませんね。お住まいの群馬県の紅葉も素晴らしいです。
nobara
昭和公園の約2倍?!足を踏み入れられないかも。
モミジやカエデ、みんなが不思議に思います。
なかなか面白いですね~~
行灯が三角形?なんて変っています。
スミシアンサ‘ジュンコ’色合いが好み☆
長さん
広い公園でしょう。車で行くと同じ入口まで戻ってこなければなりませんから、歩くと大変なんです。
モミジとカエデ、元園長のよどみない説明で良く理解でシマした。
12月6日までカエデ園などはライトアップがされていますから、通路に沿って三角行灯が並んでいました。
スミシアンサ‘ジュンコ’はまだ紹介するHPも少なく、お尋ね掲示板で教えてもらいました。
ロシアンブルー
ライトアップされた紅葉も綺麗でしょうね、見たいですね。
モミジバフ-の実が面白くて、落ちたての実を拾って机においてみてますが小さな種が出てくる時が面白いですね。
長さん
逆光で見るモミジが良いのですが、夜のライトアップも魅力ですね。
モミジバフウの実は拾ってきたことがないので、種の実物は見たことがないのですが、写真で見ると羽がついていて、羽アリみたいな形ですね。
はるる
ますます知識が増えましたね。
でも私には難しいです。
この公園もライトアップされるのですね。
長さん
モミジは全部ひっくるめてモミジとする傾向にありますが、こうして実物を見ながら解説してもらうと違いがよく分ります。
ライトアップは12月6日まで実施されています。