蜂になったラン 「ビー・オーキッド」

つくば蘭展から(13)

 つくば蘭展の第三会場となった研修展示館の2階には、「ハチになった?ラン ビー・オーキッド」の展示がありました。
 それは、世界らん展日本大賞2015の特別展示「ランの妖精・オルキス」と共に展示されていた、オルキスの近縁種「オフリス」です。
 オフリスは、昆虫みたいな花だなと思ったのですが、実は「雌蜂に擬態」していたのです(詳しくは、末尾のコラム参照)。

オフリス・テンスレディニフェラ
地中海西部沿岸地域に分布
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    ① オフリス・フスカ (スペイン~アフリカ北部)
    ② オフリス・クレティカ・アリアドナエ (ギリシア)
    ③ オフリス・オメガイフェラ (ギリシア~トルコ)
    ④ オフリス・スフェゴデス・マモサ (モンテネグロ~イスラエル)
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    ⑤ オフリス・フラビカンス(自然交雑種、マルタ島固有種)
    ⑥ オフリス・スペキュラム (地中海沿岸地域)
    ⑦ オリフス・クレティカ (ギリシア)
    ⑧ オフリス・ヴェルタ (自然交雑種、トルコ~ギリシア)
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ラン科オフリス属
 オフリス属はヨーロッパ地中海沿岸を中心とする草原に生え、約25種が知られています。蜂そっくりなので、、英語ではビー・オーキッド(Bee Orchid)と呼ばれています。なぜ蜂に似てしまったのでしょう。
 雄蜂はオフリスの花を雌蜂と勘違いして交尾しようとし、その時、体に花粉がつきます。そして、花粉は雄蜂によって別の花に運ばれるのです。つまり、オフリスは雌蜂に似るほど子孫を残しやすくなるため、結果的に雌蜂そっくりに進化しました。オフリスは雌蜂に擬態しているのです。

だましのテクニック
 ① 花からアルカンと総称される物質を放つ。アルカンは、交尾前
    の雌蜂が放つ性フェロモンと類似した物質です。
 ② 唇弁の形、色、光沢などが雌蜂とよく似ており、雄蜂を引きつ
    ける要因になっている。
 ③ 唇弁に生えた毛も重要で、唇弁の毛の伸びる方向に雌蜂の
    生殖器があると勘違いした雄蜂が交尾しようとする。

 ちょっと気持ち悪かったですか?

 最後に、同じ会場にあった、縞模様が美しいランの花を貼り付けておきます。

アナカンプティス・パピリオナケア
Anacamptis papilionacea
地中海沿岸~アルプス山脈、カスピ海沿岸
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 3月18日撮影。
 (つづく)


 旅行中につき、コメント欄を閉じています。

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