前回2回は西洋の風景でしたが、今回は東洋の風景のなかから取り上げてみました。 (解説は美術館の案内板から)
洛中洛外図 筆者未詳
江戸時代(17世紀)、紙本金地着色、六局一双・屏風、各10702×270.0cm
洛中洛外図は、京都の洛中=市内と洛外=郊外の景観を、俯瞰した視点で展望
するように描いたもので、多くは六局一双屏風の形式で製作されています。
本作の右隻には、豊臣家を象徴する方広寺大仏殿、左隻に徳川を象徴する
二条城が配されています。手本となる図をもとに制作されたと思われ、
本作と構図がほぼ同一の作例が知られています。
有名な神社仏閣や、祇園祭の山鉾巡行、派手な装束の武者行列を
たどるのは、今も昔も変わらぬ楽しみ方です。
三笠山 酒井抱一(宝暦11年~文政11年)
江戸時代、絹本着色・軸、46.0×65.6cm
現在、新春の山焼きで知られる若草山を三笠山と通称していますが、阿倍仲麻呂が歌に
詠んだ三笠山はその隣、春日大社は以後の御蓋山(みかさやま)のこと。
傘を伏せたような、なだらかな山容からついた名前とも。抱一の三笠山も、御蓋山を描い
ています。薄の原を歩む番の鹿、振り返る雄鹿の姿は宗達・光琳もよく描いた琳派の
典型的な図像を継承しています。
嵯峨野常寂光寺 牧野三生郎(さぶろう)
昭和54年(70歳)、再興第64回院展、紙本着色・額、181.0×151.1cm
京都嵯峨野の古刹、常寂光時の仁王門を手前から仰ぎ見た、鮮やかな紅葉の風景。
小倉山の中腹に建つ常寂光時は、京都でも屈指の名所です。
初夏としても活躍した作者は、本作に見られるような、紅葉や新緑の季節の寺社の、
門前から仰視した構図を得意としました。
街の中の聖堂 山本知克(昭和2年~平成15年)
昭和56年(54歳)、第13回日展、紙本着色・額、210.0×155.0cm
緑のドームが美しい聖堂、建設者ニコライ大主教の名から、ニコライ堂の名で
親しまれています。正式名称は日本ハリストス正教会教団東京復活大聖堂。
数々の名建築を手がけた英国人建築家コンドルが実施設計にあたり、
明治24年(1891)に完成、昭和37年(1962)重要文化財に指定されました。
俯瞰した視点で西洋建築を理知的に描くのは、作者の得意とするところ。
周囲のビルを押さえた色調で統一し、聖堂の存在感と美しさを際立たせています。
江戸時代(17世紀)、紙本金地着色、六局一双・屏風、各10702×270.0cm
洛中洛外図は、京都の洛中=市内と洛外=郊外の景観を、俯瞰した視点で展望
するように描いたもので、多くは六局一双屏風の形式で製作されています。
本作の右隻には、豊臣家を象徴する方広寺大仏殿、左隻に徳川を象徴する
二条城が配されています。手本となる図をもとに制作されたと思われ、
本作と構図がほぼ同一の作例が知られています。
有名な神社仏閣や、祇園祭の山鉾巡行、派手な装束の武者行列を
たどるのは、今も昔も変わらぬ楽しみ方です。
三笠山 酒井抱一(宝暦11年~文政11年)
江戸時代、絹本着色・軸、46.0×65.6cm
現在、新春の山焼きで知られる若草山を三笠山と通称していますが、阿倍仲麻呂が歌に
詠んだ三笠山はその隣、春日大社は以後の御蓋山(みかさやま)のこと。
傘を伏せたような、なだらかな山容からついた名前とも。抱一の三笠山も、御蓋山を描い
ています。薄の原を歩む番の鹿、振り返る雄鹿の姿は宗達・光琳もよく描いた琳派の
典型的な図像を継承しています。
嵯峨野常寂光寺 牧野三生郎(さぶろう)
昭和54年(70歳)、再興第64回院展、紙本着色・額、181.0×151.1cm
京都嵯峨野の古刹、常寂光時の仁王門を手前から仰ぎ見た、鮮やかな紅葉の風景。
小倉山の中腹に建つ常寂光時は、京都でも屈指の名所です。
初夏としても活躍した作者は、本作に見られるような、紅葉や新緑の季節の寺社の、
門前から仰視した構図を得意としました。
街の中の聖堂 山本知克(昭和2年~平成15年)
昭和56年(54歳)、第13回日展、紙本着色・額、210.0×155.0cm
緑のドームが美しい聖堂、建設者ニコライ大主教の名から、ニコライ堂の名で
親しまれています。正式名称は日本ハリストス正教会教団東京復活大聖堂。
数々の名建築を手がけた英国人建築家コンドルが実施設計にあたり、
明治24年(1891)に完成、昭和37年(1962)重要文化財に指定されました。
俯瞰した視点で西洋建築を理知的に描くのは、作者の得意とするところ。
周囲のビルを押さえた色調で統一し、聖堂の存在感と美しさを際立たせています。
次回から「やきもの どこへ行く(中国・日本の陶器)」をご紹介します。
(つづく)
~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~
第90回箱根駅伝の観戦記録
1区 日体大・中山が区間賞、早大・大迫5位に沈む
2区 駒大トップに、山梨学院・オムワンバ途中棄権
3区 東洋・設楽弟区間賞でトップ、駒大に56秒差
4区 駒大・中谷区間賞、35秒詰めて21秒差の2位
5区 東洋・設楽兄区間賞で往路優勝、駒大は59秒差
6区 東洋首位キープ、明大・広瀬区間新に迫る
7区 東洋・服部弟区間賞、駒大との差を1分54秒に
8区 東洋・高久歴代4位の好走で区間賞、駒大に大差
9区 駒大・窪田、28秒詰めるも、区間賞取れず
10区 東洋・10区も区間賞で復路は新記録、歴代総合2位の記録で優勝
この記事へのコメント
コスモス
長さんも箱根駅伝ファンですか。
我が家は元旦から3日まで駅伝三昧です。
もっぱらTV観戦ですが。今年の東洋大は歴代2位の記録を出し、さすがの駒大も追いつけませんでしたね。
無門
洛中洛外図は
貴重な記録写真のようなもの
当時を知る大切な資料ですね
本年もよろしくお願いいたします
長さん
私も元日から三日続けて駅伝観戦です。もっとも、元日は家族の新年会なのでチラ見しか出来ませんが・・・。
鶴見なら沿道観戦も出来たのではないですか?
長さん
洛中洛外図は類似の作品がたくさんあるらしいですが、松岡氏が購入したものならかなり出来が良いものなのだと思います。当時の人も、観光する代わりに楽しんだのでしょう。
Tatehiko
ケン坊
今年もよろしくお願いします。
箱根駅伝って毎年ドラマが生まれ、長時間なのについついTVの前に居座ってしまいますよね。母校は出場していない何故なんでしょうか>笑<
山梨学院の棄権・数秒の差で襷が渡せない光景・双子や兄弟が意外に多い...等々、今年も話題に事欠かない駅伝でしたね。
東洋大8区の高久の走りが復路優勝一番の功労者かな? コレ素人解説者(ケン坊)の見方...です。
なおさん
洛中洛外図、見事ですねえ。学生時代の教科書でしか見たことがないのです。他の日本画も素晴らしいものですね。
箱根駅伝ご覧になりましたか。いろいろじっくり見るとドラマがあるのでしょうね。個人的には駅伝やマラソンは途中で飽きてしまうので、見たためしがないのです。
nobara
東洋の風景もおつなものですね。
牧野三生郎氏の嵯峨野常寂光時(寺?)
こういうタッチが好きです。
額縁仕立て?みたいな感じで。
私も実業団に箱根、用事をしながら見ました。
3日のゴールインはジムのストレッチコーナーで見届けました。応援してる山梨学院が悲劇(疲労骨折)だったので早くからぐやじかったですが・・
マラソンにはいつも逸話が満載ですね~
初ジムはピラティス。鍛えられてきました。
INSがやけに張り切っていたので参りました。
shuuter
本年も宜しくお願いいたします。
洛中洛外図 よく話題になる絵ですね。実物まだ見たことないです。
他の絵も素晴らしいものがあるのですね。
妻が絵をならい始めたもので展覧会に行く機会がふえま
した。
長さん
屏風の1面、1面を写真に撮ったので、これをつなげて、手前に置いてある説明板と見比べて見ています。実際の位置とはちょっと違いますが、面白いですよ。
長さん
今年の箱根は2区から波乱があって、見ていて面白かったです。
勝因は1万メートル28分台の選手を8名も揃えた東洋大の層の厚さですね。双子と兄弟の活躍も話題になりました。駒大も強かったですが、それを上回る高速レースになりました。MVPは意外にもアンカーの大津だったんですよ。
長さん
洛中洛外図はTVでよく紹介される国宝や重文ではないらしいですが、それでも見事なものでした。
箱根駅伝は独身時代から見続けている正月行事です。毎年波乱があって面白いですよ。
長さん
スミマセン、常寂光時は変換ミスです。この絵は、構図的にも色彩的にも素晴らしいです。
nobaraさんも駅伝ファンですか。年末の高校駅伝も見逃してはません。
妻も今日が初ジムで、私は明日からです。
長さん
洛中洛外図は手本の図があって、それを模したものが多いそうです。
展覧会に行く機会が増えたのは良いことです。良い絵を描くには先輩の良い絵をたくさん見ることも勉強になりますからね。
藍上雄
昨年は、拙い当ブログに、沢山の気持玉下さりありがとうございました。
美術館の日本画最近あまり見に行く機会が少なく、何とかしなければと、思案中です。屏風絵などは、見応え有りそうですね。個人的には、片岡球子さんの日本画好きなので、すみません。でも素朴な雰囲気も素敵です。
拙い事も多々ありますが、今年もよろしくお願いいたします。
ポン太
洛中洛外図の屏風は美術の教科書でしか見たことありませんが良く見ると美術品としても京都の風物を知る上でも貴重なものですね。
今年もよろしくお願いします。
長さん
実は新聞販売店のチケットプレゼントに毎月応募しているんですよ。最近、第一志望の美術館の招待券が当たる確率が高いので、嬉しいことです。片岡球子さんは富士山の絵が有名ですね。
長さん
洛中洛外図は当時の建物は勿論のこと、風俗や風習なども描かれていて、とても興味深いものがあります。
目黒のおじいちゃん
芦ノ湖畔に駅伝ミュージアムがありますので機会がありましたらお立ち寄りください。
身内に日大出身(故人)がいまして創立者で初代部長兼監督兼選手でしたからなじみ深いイベントです。
長さん
箱根駅伝はおじいちゃんの馴染みのイベントでしたね。それなのに、今年は全くご覧になれなかったとは残念でした。
すーちん
2日からは箱根駅伝ですね
今年も宜しくお願い致します
長さん
今年の箱根駅伝も面白かったですよ。駒大の三冠を期待していたんですがねー。
今年もよろしくお願いします
miki
「洛中洛外図」について興味を持って
いましたのでじっくり見せていただきました。
「洛中洛外図」の制作に取り組む絵師の物語を
読んだばかりでしたので…
ありがとうございました。
今年もよろしくお願いいたします。
ミキ
しまいます、すみませんミキでした
長さん
洛中洛外図は展示場の照明を落としてあるので、よく写せませんでした。フラッシュ撮影は禁止ですから仕方がないところです。
当時のお金持ちにとって流行の図柄だったので、絵師たちが腕を振るったことでしょうね。
今年もよろしくお願いします。