トキワヤマボウシ(つぼみから開花まで)

 ヤマボウシの常緑種で、トキワヤマボウシ(常磐ヤマボウシ)または常緑ヤマボウシと呼ばれるものがあります。昨年発見した1本について、そのつぼみの頃から、総苞片が開き、更に、中央の花が咲くまでを追いかけてみました。
 流通しているトキワヤマボウシは、ヒマラヤヤマボウシとホンコンエンシスの二種類があるそうです。ホンコンエンシスの中で「月光」と名付けられた品種があり、これがとても花つきが良いのだそうですから、この木がそれではないかと考えています。

 3月27日、つぼみをつけた状態です。まだ、総苞片は見られませんが、緑の葉が目立ちます。
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 左下は、つぼみのアップです。右下は、3月30日に撮影した、普通のヤマボウシですが、つぼみだけで、葉はまだ出ていません。
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 5月9日、花茎と総苞片が伸び始めました。
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 6月3日、黄緑色の総苞片はかなり大きさを増しました。
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 この頃、総苞片の枚数には変異があることに気づきました。左下は6枚、右下は全部ダブルで8枚。
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 6月12日、花付きが良いので、樹全体に総苞片が広がった様子です(左下)。まだ、かなり黄緑色を帯びています。総苞片の枚数変異も確認できます(右下)。
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 6月24日、総苞片が白く変化し始めました。二日続きの夏日の後だったので、総苞片がぐったりしていました。
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 6月28日、見事な花付きで、緑の葉がすっかり隠れてしまうほどです。
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 総苞片は痛みはじめていますが、中央の本物の花が開花し始めました(右下)。
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 もう、どこを探してもヤマボウシの花は見当たりません。トキワヤマボウシは遅咲きなのです。

この記事へのコメント

  • teddyy

    こんばんは。
    ヤマボウシがこれほど変化しているとは!いつもは、樹全体に総苞片が広がった状態(6/12くらい)で写真に収め、後はあまり気にも留めていませんでした。大変参考になりました、ありがとうございます。
    2011年06月28日 23:26
  • 長さん

    teddyyさん、コメントありがとうございます。
    そうですね、ヤマボウシの姿としては、この写真で6月12日の頃が一番美しく見える時期ですね。でも、これは総苞片の話であって、本来の花にも注目してやりたいのです。
    2011年06月29日 00:03
  • ケン坊

    トキワヤマボウシは花付きが随分と良さそうですね。花弁じゃなく総苞片ですが、折り重なって咲く様は圧巻ですね。
    蕾から開花する様が良く判ります。ケン坊は本来の花より総苞片を花と認定してやりたいです。
    他にも、そんな花がありますが...
    2011年06月29日 05:26
  • なおさん

    ずいぶん見事な花つきで、遠くからでも目立ちますね。うちの近くでは見かけませんが、勤め先近くでまだそれほど大きい木ではないですが、咲いているのを見ました。遅咲きですね。
    2011年06月29日 07:19
  • 目黒のおじいちゃん

    丹念に観察されお疲れ様でした。もう立派な研究者の目線ですね。おじいちゃんがであった花にも月光と名札がついていました。
    2011年06月29日 07:21
  • 寿々木

    几帳面に記録されたのですね。素晴らしいです。
    2011年06月29日 07:25
  • 無門

    こんにちは

    月光に照らされた
    弁慶の立ち往生
    見事な常盤ヤマボウシですね
    花の開花がの状態が
    よく分かりました
    面白いですね
    2011年06月29日 07:47
  • 長さん

    ケン坊さん、コメントありがとうございます。
    トキワヤマボウシの中でも「月光」という品種は特に花付きが良いそうです。ハナミズキも総苞片ですが、こんなに花付きが良いものはないでしょうね。
    2011年06月29日 08:00
  • 長さん

    なおさん、コメントありがとうございます。
    これほど花付きが良いトキワヤマボウシはほかに見たことがありません。このお宅のシンボルツリーですが、壮観です。
    2011年06月29日 08:02
  • 長さん

    目黒のおじいちゃん、コメントありがとうございます。
    研究者の目線なんてことはありません。ダイエーなどに買い物にいく道をちょっと寄り道するだけですから。
    2011年06月29日 08:04
  • 長さん

    寿々木さん、コメントありがとうございます。
    たまにはこんな観察もよいかなとお思います。花期が長い花木ならではですね。
    2011年06月29日 08:05
  • 長さん

    無門さん、コメントありがとうございます。
    きっかけは、つぼみがたくさん付いたのに総苞片がないのに気づいたからです。いつ頃総苞片が出てくるのかに興味がありました。
    2011年06月29日 08:08
  • 菜の花

    なかなかの観察記録でした。
     今までトキワヤマボウシなるものを意識して見た事はありませんが、これからは気に留めて見たいものと思いました。
     きっとどこかにある、私の散歩道でもきっと出会える、そう思いながら歩く事に致します。
    2011年06月29日 08:28
  • たかようじ

    トキワヤマボウシの 3カ月にわたる観察、
    楽しく拝見しました。
    黄緑色の花(総苞片)のじつに 美しいこと。
    また 黄緑色~ 淡黄色~ 白への 変化が
    よく解りました。
    本物の花の 開花も 見届けられ、満足です。
    2011年06月29日 09:28
  • 長さん

    菜の花さん、コメントありがとうございます。
    ここは比較的良く通り場所なので、観察も大して苦になりませんでした。
    まだ、植えているお宅は少ないようですが、出会えるといいですね。
    2011年06月29日 09:56
  • 長さん

    たかようじさん、コメントありがとうございます。
    花の多さと、色の変化が両方楽しめるトキワヤマボウシ、壮観です。
    大きな総苞片に目を取られますが、本物の花にも光を当ててやりました。
    2011年06月29日 09:59
  • nobara

    素晴らしいレポートですね~
    湯布院で出逢ったのがこの子でした。
    花付きの見事さにびっくりしました。
    ご近所のは花が半分くらいの大きさで葉っぱは多肉。
    トキワヤマボウシの変種かと思います。
    新しいマンションの植栽にとても似合っていました。
    常緑(少しは黄変)って有難いですね。
    2011年06月29日 10:13
  • 長さん

    nobaraさん、コメントありがとうございます。
    nobaraさんが湯布院で出会ったころは、5月9日と6月3日ん中間辺りの頃でしたね。5月20日頃の写真があればよかったのですが、この間の1ヶ月、観察をすっかり忘れていた頃なのです。そう言えば、秋の写真が見当たりません。きっと秋には観察にアキたんでしょう。
    2011年06月29日 10:58
  • 信徳

    ハナミズキ、ヤマボウシは花と赤い実しか見ていませんのでこうやって最初から観察させて貰うとまた一つ物知りになったような気持ちです。有難うございます。
    2011年06月29日 11:27
  • tomi

    やまぼうし、凄い量の花がつくのですね、わーと言います感じです、これ やはり青陶さんのところで見ましたがこの家の程は重なって咲いていませんでした、ところで やまぼうしは野生でも育つのですか? 確か青陶さんのは野生だったようです。
    2011年06月29日 14:21
  • 花咲か爺

    見事な花付きですね。ヤマボウシの頃より遅れて咲くそうですが、この時期には真っ白の花がなんとも清楚で良いですね。蕾から開花まで何度も通われたのでしょうね。分かりやすく花の開花過程が良く分かり、白い花びらの様なのが総苞片で中央の目立たないのが花と言うのも面白いですね。
    2011年06月29日 15:42
  • shuuter

    ヤマボウシは延暦寺の山法師の面影を持つ樹木ですが、トキワヤマボウシは完全に違ったものですね。
    花が全面に咲くのですね。
    2011年06月29日 16:47
  • 長さん

    信徳さん、コメントありがとうございます。
    つぼみから開花まで追いかけたのはこれが初めてです。他の花木でも出来るかどうか思案中です。
    2011年06月29日 17:24
  • 長さん

    tomiさん、コメントありがとうございます。
    ヤマボウシは、「山地に普通に生え、本州から九州、および朝鮮半島、中国に分布する」そうです。そして、トキワヤマボウシは、中国南部~ネパールに自生しているそうです。こんなに花付きが良いのはかけ合わせの栽培種ですから、アメリカではあまり見られないかもしれません。
    2011年06月29日 17:31
  • 長さん

    花咲か爺さん、コメントありがとうございます。
    ハナミズキや普通のヤマボウシは皆さん見慣れていると思うので、数が少ないトキワヤマボウシを追いかけてみましたよ。花が咲くまでに葉があるかどうかを別にすれば、開花の様子は同じような経過をたどるものと思われます。
    2011年06月29日 17:35
  • 長さん

    shuuterさん、コメントありがとうございます。
    ヤマボウシは日本にも自生しますが、トキワヤマボウシは中国南部からネパールにかけて自生するものですから、完全に別の種類と考えれば良いと思います。
    2011年06月29日 17:40
  • あいべん

    誰にでも出来る事では有りません。
    凄いです。長さんだから出来る事ですね。

    これは、見習う必要がたとえ花や樹木だけでなく
    てもあります。
    感服しました。
    2011年06月29日 17:44
  • 長さん

    あいべんさん、コメントありがとうございます。
    お褒めにあずかり、恐縮です。何かの変化を伝えるとこ、文章では難しいこともあります。その点、写真なら分かりやすいですね。
    2011年06月29日 17:51
  • hanasaku

    こんばんは
    すっかり花だと思い込んでおりました。花は真ん中の部分だけなのですね。びっくりしました。総苞片は同じ木で変異があるのですか?不思議です。勉強になりましたありがとうございます。
    2011年06月29日 19:01
  • 長さん

    hanasakuさん、コメントありがとうございます。
    ヤマボウシもハナミズキも花と思われているものは総苞片と言われるものです。これがつぼみより後から出てくるとは思いませんでした。花弁も異変があるものがありますが、総苞片も変異があることを知ったのも今年なんです。
    2011年06月29日 21:22
  • ムー

    我が家にも昨年「常緑やまぼうし」がやってきました。
    垣根の木が1本枯れたので「常緑」に釣られて買いました。
    丸い蕾はずいぶん前からついていたのになかなか開花しませんでした。
    開き始めても「緑色であまりさえない花」と、妻は不満そうでした。
    最近になってやっと花らしくなってきたので近いうちにUPしようと思います。
    2011年06月29日 23:36
  • 長さん

    ムーさん、コメントありがとうございます。
    トキワヤマボウシは普通のヤマボウシに比べると随分遅咲きでしょう。それが、奥方は不満でしたか。
    そちらの花付きはどうですか。投稿を楽しみにしています。
    2011年06月29日 23:50

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