映画「沈まぬ太陽」を観賞

 昨日、妻とMOVIX柏の葉に「沈まぬ太陽」を観に行きました。平日の午前なので、予約をしなくても十分な空席がありました。
 左下は、チケット売り場上の空席状況表示。右下は、シアター入口にあるディスプレーを見る人たち。
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 小説ですから、モデルとした人物像や事実とは大きく異なる部分があり、また、映画化に当たり、小説とも異なる描き方になったのは仕方がないところでしょう。
 しかし、僻地へのたらいまわし人事にあっても、自分の信念を曲げない生き方を貫いた男の壮大な物語として、また、人間としての尊厳を描いた映画として、純粋に楽しめる作品になったと思います。
 インターバルまでの前半は、小説のアフリカ編と御巣鷹山編を前後させつつ展開していきます。冒頭のジャンボ機墜落シーンに続き、主人公に撃たれた象が倒れるシーンがあって、映画のタイトルとなるのが印象的です。

 主人公・恩地元のモデルとなった小倉寛太郎さんと同じ時代に、彼の所属していた労組の役員を経験した私にとって、この映画は非常に重く感じられました。小説もそうでしたが、フィクションと分かっていても、この映画の世界をどうしても体験した事実と重ねてしまうからです。

画像 写真は、10年前、日航労組の定年退職者を祝う会で、在りし日の小倉寛太郎さん(中央)と談笑する私(左)です。右は、御巣鷹山事故のご遺族との窓口や御巣鷹の尾根の整備に尽力した、同期の大島君です。この頃の私は喫煙者でしたが、定年の翌日からスパッと止めました。小倉さんはこの3年後に他界されました。

 大企業の理不尽なエゴイズム、政府財界が利権を振りかざして企業に群がるいやらしさ、それに迎合する経営者、経営の中にあっては、安全や利用者などのことを全く考えず、あらゆる手段を使って出世に走る人間、提灯記事を書いては私腹を肥やす新聞記者などなどを見事に描いていますが、在職中にそんな姿を見聞きしてきたので、改めて怒りがわいてきました。

 10分間のインターバルの後は、小説の会長室篇に当たる部分です。小説では国見会長が主人公として書かれていますが、映画では恩地元が主人公の立場で描かれていきます。
 事故後、乞われて就任した国見会長は利根川総理にはしごを外され、任期半ばで撤退を余儀なくされてしまいますが、現在も続くJALの経営危機の根源を見る思いでした。

 主人公が社会人となった息子との牛丼屋でのシーンだったでしょうか、「波に逆らう生きかた」だったが、「波に乗る方が危ないかもしれない」と語り合う場面がありました。私も、会社が目の敵にした少数労組の組合員として、様々な差別や嫌がらせに抗して「波に逆らう生きかた」生き方を貫いてきました。しかし、今にして思うと、波に乗る危険を冒さなかったので、精神的には楽な面の方が大きかったような気がします。

 つまらぬ感想を書き連ねてしまいましたが、JALの経営危機に関する様々な報道がある昨今、その根本的問題は何だったのかも合わせて考えていただく映画として、ぜひ多くの皆さんに見ていただきたいと思います。

 映画のドキュメントブックが売られていました(左下)が、1,600円ではビビってしまいました。右下は公式パンフレット(600円)の中身と集客用チラシです。
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この記事へのコメント

  • まねき猫

    2度も頓挫して、ようやく完成した映画の舞台挨拶で、渡辺謙さんが涙を流されていたので、この作品に対する熱い思いが伝わって来ました。
    「映像化するのを止めてくれ」と手紙も製作者サイドに届いた事実があることからも伺えます。
    母が初日に新宿へ観に行き、「心に響く作品」だと、とても感動していました。
    モデルになった小倉さんが亡くなられたことを新聞の訃報欄を見て知った、父が愕然としていたのを思い出しました。
    貴重な写真を見せていただき、ありがとうございます。
    2009年10月30日 10:52
  • 信徳

    ご無沙汰しました。コメントを何時も有難うございます。小樽の続きから読ませて頂きました。私の小樽の記憶はやはり小樽運河とガラス工場です。最後に小樽運河が出てホッとしました(笑)。沈まぬ太陽、ぜひ見に行きたいと思っています。当時日本の組合は大企業でも会社べったりの御用組合もあれば、真っ向から対立する組合もあり様々だったように記憶しています。どの組合にも一長一短があるのでしょう。結果的に見ると改善も何もない先を見ていない企業が遅れて最後は沈没して行くのは共通して言えると思います。映画を見てからもう一度コメントさせて頂きたいと思っています。
    2009年10月30日 11:08
  • peko^^*

    私も見てみたい映画です。。
    感想、ご紹介有難うございましたm(__)m
    2009年10月30日 12:51
  • 長さん

    まねき猫さん、こんにちは。
    渡辺謙さん始め、三浦友和さん、石坂浩二さん、などなど、皆さんとても熱演でした。原作の良さもあるのでしょうが、俳優さんたちの思い入れが籠った良い作品だと思います。
    元日に恩地と国見が飛行機を見送るシーンは、バンコックで40℃もあった日だそうですが、渡辺さんも石坂さんも汗一つ見せない演技で、役者魂を見た思いです。
    2009年10月30日 14:03
  • 長さん

    信徳さん、こんにちは。
    小樽運河の写真、危うく投稿を忘れるところでしたよ。
    是非、映画をご覧ください。コメント、お待ちしています。
    労働組合の役割の一つに、経営に対するチェック機能を発揮することがあります。御用組合はこの点が全く抜け落ちているので、そんな組合が幅を利かす企業は社会的にも批判を浴びるところが多いように思います。残念ながら、JALもそんな企業です。
    2009年10月30日 14:10
  • 長さん

    ぺこちゃんさん、こんにちは。
    この映画の場合、皆さんとはちょっと立つ位置が違うので、ご参考になったかどうか分かりませんが、良い映画というのは間違いありません。ぜひご覧ください。
    2009年10月30日 14:12
  • ケン坊

    かなり前から予告していたので、機会を見つけて観てみようかなと思います。時おりしもJALの再建問題で毎日のニュースが流れてます・・・
    黙って数千億の公的資金を導入(国民の税金)というのは、なかなか国民の理解は得られまいというのが一般的な見方だが・・・果たして結論は・・・前原大臣のお手並み拝見というところ。
    国民の血税を使うなら、JALも社員もそれなりの処遇を甘んじなければ許されまい。処遇は現状維持のままで・・・というのは企業も社員も甘いのでは・・・。
    もちろん一生懸命に働く社員がいることは間違いないのだが・・・旧国鉄の親方日の丸と同じで一朝一夕には抜け切れないのだと思う。
    今朝の番組にでていたコメンティーター曰く。一旦整理してから再生させることが(国民も納得するし)一番だと言ってましたが・・・
    年4.5%運用を前提とした年金が足枷になっていることは明白だし、投入した税金が年金に化けるとなれば重大な問題で、今後、これがポイントになっていくものと思われますね~。
    2009年10月30日 19:51
  • 長さん

    ケン坊さん、こんばんは。昨今のマスコミ報道にはかなり根拠のないものや恣意的なものが見受けられます。ケン坊さんもそれに惑わされておられるのではないかと思います。現在の経営危機は失敗を続けてきた経営者や航空行政の責任であって、一般社員の責任ではないのです。
    ケン坊さんがご指摘のその他の問題についても意見を述べたいのですが、この記事の本旨ではありません。私が色々書き連ねるより、是非、「日本航空の年金を考える会」のホームページ( http://jalnenkin.web.fc2.com/ )へ寄せられたご意見を(特に156号や157号)をお読みいただき、一緒に考えていただきたいと思います。
    2009年10月30日 21:01
  • OSAMI

    最近映画館にご無沙汰しているこの頃ですが、見てみようという気になりました。
    2009年10月30日 22:11
  • 長さん

    OSAMIさん、こんばんは。
    是非見ていただきたい映画です。
    2009年10月30日 23:36
  • なおさん

    長さん、いろいろ多忙でコメントも思うように出来ませんでオソレいります。
     かつて勤めていた仕事場で、モデルになったかたとも親しい、というのであれば原作も映画も他の方とは違う重い感慨があることでしょうね。
     なかなか映画館に足を運ぶ機会もないのですが、機会があれば見てみたいものです。
    2009年10月31日 13:50
  • 長さん

    なおさん、こんにちは。
    毎日が日曜日の私と違って、お忙しいなおさんですから、たまにコメントがいただければそれだけで嬉しいですよ。
    この映画もいずれテレビに登場するでしょうから、その時でも良いので、是非ご覧ください。
    2009年10月31日 14:21
  • ドラちゃん

    いつもながら、
    ご無沙汰しています。
    久しぶりにお邪魔しますと、
    長さんの日記は厖大な量で、
    なかなか読みきれませんが、ちらちら見せていただくうちにこのページが目に留まりました。

    驚きました。
    フィクションとは言え、
    事実に基づいて書かれた小説でしょうから、
    その現場で実際に働いてみえた
    長さんのとって重い映画であると言う事が
    よく伝わってきました。

    主人の蔵書の中にもありますので、
    是非読んでみたいと思いました。
    映画も機会があれば見たいと思います。
    2009年11月13日 15:38
  • 長さん

    ドラちゃんさん、こんばんは。
    ブログは毎日更新を目標にしていますので、気が向いたときだけでもお出で下さい。
    小説「沈まぬ太陽」のモデルとなった人物や出来事は私の生き方にもかかわって来るものですから、どうしても力が入ってしまいます。小説は長いですが、読み始めると止まらないと言ってくれる方もおられます。是非お読みください。また、映画もきっと感動されると思います。
    2009年11月13日 18:01

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