もと身元確認班長の手記

 先日、イオン南柏SCに行った際、妻が書店に寄ると言う。関口知宏の本を探すのだという。探すのに手間取っているようなので、その間、私は文庫本コーナーをブラブラ。
 雑学本コーナーで足を止め、タイトルに目を這わす。特に買いたくなるようなものはない。続いて、隣の書棚に目をやると、御巣鷹山の四文字が目に飛び込んできた。
画像 手に取ると、タイトルは「墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便」と「墜落現場 遺された人たち 御巣鷹山日航機123便の真実」、著者は飯塚訓氏。「墜落遺体・・・」の裏表紙には、「当時、遺体の身元確認の責任者として、最前線で捜査に当たった著者が、全遺体の身元が確認されるまでの127日間を、渾身の力で書きつくした、悲しみ、怒り、そして汗と涙にあふれた記録」とあった。
 「墜落遺体・・・」のほうは、氏が退官後の1998年に講談社から刊行され、2001年に文庫化されたものである。一方、「墜落現場・・・」は2001年の刊行で、2005年に文庫化された。私はハードカバーは殆ど読まないし、良く行く本屋には講談社+α文庫が無いので、これまで目に留まらなかった訳が分かった。

 事故当時、私は現地世話役としてご遺族に付き添い、ご遺体の発見に努めていたので、警察や医師、歯科医、看護士などのご苦労はある程度想像はしていた。しかし、「墜落遺体・・・」を読んで、私の想像を何倍も上回る壮絶な状況であったことが分かった。ご遺体の悲惨さはあえてここに書かないが、何と、最初の3日間は皆さん不眠不休、疲労が極限状態になるまで任務を遂行されたのだという。さぞ辛かったと思う。改めて、皆さんに深く感謝の意を捧げるとともに、事故でなくなられた方々のご冥福を祈りたい。

 「墜落遺体・・・」を読み終えるのに延べ3日掛かった。実体験とオーバーラップし、時には、涙で活字がぼやけてしまうので、読み続けるのが辛くなるからだ。昨日から「墜落現場・・・」を読み始めたのだが、これも読了に数日掛かることだろう。

この記事へのコメント

  • ライオネル・貧乏

    明けましておめでとうございます。私もこの本を読みました。事故以来、被害者の皆さんの境遇が変わってしまい、離婚した人もいるということでした。そんな暗い中で、日本航空の社員と心の交流が生まれ、家族を失ったにもかかわらず明るく生活しておられる年輩の女性の話は、辛い事件のなかで、心温まるできごとでした。昨年の暮れに、坂本九ファミリーコンサート「ママエセフィーユ」に行ってきました。遺族の奥様と二人の娘さん、そして、生前の坂本九さんがフィルムで出演。とても暖かいさわやかな風が吹いてくるようなコンサートでした。めげないで元気に活動する坂本九さん一家を応援したい気持ちで帰宅しました。
    2007年01月02日 04:33
  • 長さん

    ライオネルさん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
    私の担当したご被災者の現地墓標は、九ちゃんの墓標のすぐ近くです。山に登ったときは併せてお参りしています。
    航空会社が安全に徹しなければならないことを多くの皆さんに知っていただきたいですね。しかし、今のJALは大変不安です。
    2007年01月02日 08:13

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